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4・カワイイヒト?

粛々と式は進み、教諭紹介となった。


壇上に一同に並ぶ教諭たち。



その中でも一段と小さく、そして挙動不審とも取れる

落ち着きのない一人を見つけて、思わず笑みがこぼれる。



黒のパンツスーツで、いかにも教師らしいカッコウではあったが

どことなく、背伸びしたようにも見えて。




何でも着こなして当たり前とされ、自分のものにしていくモデル。

いかに表現するかを考え、創り上げていくのを常としていた恵太には、

今、壇上に上がっている

その人物が、とても新鮮に映った。



一生懸命、一番教師らしく見えるものを選んだのだろう。

なんとなくその光景が浮かんでくるようで。




そんな姿も、恵太には微笑ましかった。



緊張しているのだろう。

小さな手に愛らしいハンカチをぎゅっと握り締め、

俯いている。



左から順番に自己紹介をしていき、

ついにその人物の番になった。



「ち、中等部特進クラスと、

こ、高等部国公立文系、私立文系、

あ、あの、あと国公立理系クラスの英語担当となりました、


ひ、雛沢亜子です。



えっと・・・・。




ふ、ふ、不束者ですがっ、す、末永くよろしくお願いいたしますっ」






勢いよく頭を下げた、亜子。





一瞬、どう反応していいのか分からない挨拶に

静まり返る会場。








「・・・・・・アコちゃん・・・・・・どこに嫁ぐんだ?」


「ぶっ・・・・!!!」





暁の的確な突っ込みに、

国公立理系クラスの面々はたまらず噴出した。




その笑い声に反応したかのように、ぱらぱらと拍手が起き

そして何事もなかったように次へとマイクが渡されていった。



「たまんないねぇーーー!アコちゃん。

アレで授業できるのかねー」



よっぽどツボだったらしい暁が涙目で、ひーひー言いながら

恵太の肩をバシバシと叩いた。



「まぁ・・・なんとかなるんじゃない?」



適当に返しながら、その目はやはり、亜子しか映していなかった。



やり遂げた感をたっぷりと出しながら、

ホッとしたように前髪を直している。


うっすらと紅潮した頬、緊張で潤んだ瞳。




やっぱり恵太は、亜子を綺麗だと思った。




飾らない、その姿が。









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