「俺がモテモテ天才サーファーだったらどうする?」って聞かれたら、どうする?
リハビリ作品第7弾。
「第3回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品の為、1000文字以内の超短編です。
「俺がモテモテ天才サーファーだったらどうする?」
左の席の北原が聞いてくる。
「え!? お前サーファーだったの!?」
右の席の南が大声で驚く。
「いや、泳げすらしない。もしもだよ、もしも」
「なんだよ、『いじめられてた俺が実は天才サーファーだったんだけど気付いたころにはもう遅い』とかそういうラノベ的展開かと思ってたわ」
「ないない……っていうか、俺いじめられてんの?」
「もしもだよ、もしも」
もしもとはちょっと違うだろう。
「で、どうする?」
「そうだな、オレに女を紹介して欲しい」
「いいだろう奈々子をお前に紹介しよう」
奈々子?
「奈々子?」
「奈々子は良い子だぞ。サッカー部の女子マネで、クラス一の美少女、金髪ロングで瞳は青。しかも、お前の幼馴染だ!」
「やった!」
南?
「しかし、奈々子は大変だぞ」
「なんだよ! お前に奈々子の、オレの幼馴染の何が分かる!」
南?
「奈々子は、実は不治の病に侵されているんだ!」
「そ、そんな! オレには何も言ってくれなかったじゃないか」
「幼馴染のお前の負担になりたくなかったんだろうな、俺にだけ話してくれたんだ」
「奈々子……!」
奈々子?
「しかし! 助ける方法が一つだけある!」
「そ、それは何ですか! 先生!」
先生?
「ヨルムング山に生えるベラボウナ草をのませることだ!」
「そんな! ヨルムング山のベラボウナ草を!?」
ヨルムング山?
「しかも、そのヨルムング山には伝説のドラゴンがいるという」
「ま、まさか! ギャリオドスが!?」
ギャリオドス?
「お前に戦う覚悟があるか!?」
「勿論だ! お師匠!」
お師匠?
「しかし! ギャリオドなんとかを倒す為には、聖剣が必要だ!」
「まさか、グランギャリオセイバーが!?」
グランギャリオセイバー?
「そして、グラン……聖剣を手に入れるには海を渡る必要がある!」
「む、無理だ! オレは魔族の実の呪いでカナヅチなんだ!」
魔族の実?
「いや、お前なら大丈夫だ」
「何故そんなことが貴様に言える! オズワルド!」
オズワルド?
「お前には、俺の天才サーファーの血が流れているからな……ぐふ!」
「父さん……? 父さーん!!!!」
父さん?
「お父さんの意思を継ぐのね……」
「ああ、オレ、天才サーファーになる! なってみせるよ! 母さん!」
母さん?
「おめでとう! お前こそが天サーファーだ!」
「……というわけで、オレが天才サーファーになったら、お前どうする?」
南と北原がこっちを見ている。
「奈々子に同情するわ」
最後までお読み下さりありがとうございました。
書いてる側は楽しかったです。
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