再会
部屋を出た三人は楓の元に向かいながら鬼比良に事の顛末を聞いた。
「…なるほどね。まぁ、ほぼほぼ鬼だとは思っていたが、まさか自分の口から漏らすとはな。
というより、お前呪文字使えたんだな。大体の理屈は分かるんだけど、力の込め方がイマイチ分からないんだよな」
「え? 気になるところそこ? クソジジイが鬼だっていうところが気になるところでしょ、普通は」
鬼比良は呆れたようにそう言った。
「そんなくだらねぇことどうでもいいよ。ジジイが鬼になったということよりも、もしかしたらジジイを従えている奴がいるかもしれないと言う方が気になるわ」
千春がそう言うと夏樹が首を傾げた。
「従える? 会長を? 何でそう思うの?」
「だって、あのジジイはすげぇ我儘な奴だぞ。今の会長しか知らないお前は優しそうな見た目の爺さんに見えるかもしれないけど、数年前まではそうでもなかったんだ。
あのジジイなら、楓の所有権が駒走さんのところに渡る前になんとしても捕らえたいはず。でもジジイは仕事後言って全部見回っていない屋敷を後にしたんだぜ? そんなこと絶対にありえねぇ」
千春がそう言うと鬼比良は納得したように頷いた。
「確かに言われてみればそうね」
「まぁ、あくまでも仮説の域を出ないけどな」
「でも、そう考える方が納得がいくわ。そうだったらかなり面倒臭いけどね」
鬼比良がそう言うと千春はため息をついた。
「だりぃ。帰ったら調べ物しないといけねぇじゃんか」
三人がそんな会話をしていると楓が居る場所に着いた。
「こんなところに牢屋なんかあるのかよ。そして、本当に楓の姿見えねぇし」
千春は辺りを見渡しながらそう言った。
「今回のは自信作だからね」
鬼比良はそう言いながら牢屋の扉に掛けられていた南京錠を手に取る。そして、人差し指で南京錠を撫でた。すると、今まで何も無かった牢の中に楓の姿が現れた。
「…本当に寝ていやがる」
千春は呆れたような表情を浮かべると、牢の中に入り楓を起こした。
まだ寝ぼけているのか、未だ状況が掴めていない楓に千春は容赦なく事情を淡々と説明した。
話が終わるころには脳が完全に覚醒した楓は驚きと納得の表情を浮かべていた。
「まぁ、さっき話したように会長を叩くのは後だ。まずは情報集めからしねぇとな。裏で誰が動いているのか分からない以上は下手に動けない。
とにかく今日はゆっくり休むとするか。滅茶苦茶疲れたわ」
千春はそう言って自分の肩を揉んでいる。
「そうしましょう。部屋はさっきの場所使っていいから。楓君は別の部屋を用意してあるからそっち使ってね」
鬼比良がそう言うと、皆その場を後にした。




