朽網
全ての事を済ませた鬼比良は朽網の元へと戻って来た。
「すみません、かなりお待たせしてしまって」
「来客か?」
「どうやら、一般人が山に入り込んだようでその対処をしばし。
うちの山は山菜やらが豊富に採れるようで一般人が足を踏み入れるのが後を絶たないのです。そこら中に罠が仕掛けてありますので、一般人が罠に掛かってしまったら問題になりますからね」
鬼比良がそう言うと朽網はニヤリと笑った。
「ふむ、四季が訪ねてきたのではないかと思ったのだがな」
朽網がそう言うと鬼比良の眉がピクリと動いた。
「そこまで仰るのならば屋敷内を探索していただいて構いませんよ」
「ほう、ようやく許可が下りたか。早速行こうじゃないか」
朽網はそう言って立ち上がろうとしたが、鬼比良がそれを止めた。
「その前に少し尋ねたいことがあるのですが、もし、私が鬼の力を得たなら四季に勝てますか?」
鬼比良がそう言うと朽網は少し考える素振りを見せた。
「やはり、あの日の事を恨んでいるのか?」
「いえ、あれは事故だと思っているので。今は仕方がなかったと思っています」
「では、何故力を得て四季に勝てるのか聞くのだ?」
朽網がそう尋ねると鬼比良は鼻で笑った。
「何故って、鬼になったことが四季にバレてしまったら私も退治の対象になるではありませんか。彼女には友人だからという特別な感情はありません。折角力を得てもすぐに倒されてしまえば何の意味もないではないですか」
鬼比良がそう言うと朽網は再びニヤリと笑った。
「今日の会議を見たであろう。千春君が何も出来なかったことを」
「…なるほど、それで四季はどうとでも出来るから、四郎園の処分をしようとしていたわけですね」
「彼の力はまだ発展途上中だからな。どう力を付けるのか見当もつかない。まさか雷鬼を倒すなど夢にも思わなかったからな」
「そう言えば会長は四鬼との繋がりはなかったのですか?」
鬼比良がそう尋ねると朽網はおもむろに立ち上がった。
「それは屋敷を巡りながらでも話そうか」
「…そうでしたね。では案内します」
鬼比良はそう言って部屋の扉を開け、鬼比良邸の探索が始まった。




