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四季さん家の鬼退治  作者: ぞのすけ
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鬼兵隊本部

 焼肉を堪能した一行は会計を済ませ、迎えに来ていた人物と合流した。

「可愛さん、ありがとうございます。ついでにドライブに付き合ってください」

「お前、ちゃんと免許持ってんのか? ペーパーじゃねぇだろうな」

 千春にそう言われた可愛は睨みつけるように千春を見た。

「ちゃんと持っているわよ! それにゴールド免許です!」

 可愛がそう言うと千春は興味なさそうに「へぇ」と言った。

「上手い具合にこいつが乗っている所だけぶつけてやろうかしら…」

「おい」

「冗談よ。それで、駒走さん。どこに向かえばいいのでしょうか?」

 助手席に乗った駒走は後部座席に座っている千春を見て「どこに行きますか?」と尋ねた。

 千春は少し考える仕草を見せ、「鬼兵隊本部があるところまで」と答えた。

「え、ここから、一時間はかかりますよ。それに私、まだ書類の整理が終わっていないんですけど」

「あはは、それは帰ってから済ませましょう」

「う~、また残業だ~

 千春! この恩、絶対返しなさいよ!」

 可愛は愚痴をこぼすと車を走らせた。

 道中は驚くほど何事も無く、鬼兵隊本部がある山の麓までやって来た。

「私達はここまでしか送れませんので」

「ここまで送ってもらえただけで充分過ぎます。駒走さんも帰りは気を付けて。それと焼肉ご馳走様でした」

 千春がそう言うと駒走は手を振りながら車へと戻っていった。

「よし、ここはそこら中に罠が仕掛けてあるから油断するんじゃねぇぞ」

 千春はそう言って山に足を踏み入れた。

 山に足を踏み入れてから約一時間。様々な罠を潜り抜け、一行はとうとう鬼兵隊本部がある場所まで辿り着いた。

 千春達が現れると門の前に立っていた門番が駆け寄って来た。

「失礼ですが、貴方達は? ここは私有地ですので要件が無い方はお引き取り願います」

 門番にそう言われると千春は一つ咳ばらいをして門番に話しかけた。

「四季千春と申します。鬼比良詩織様はいらっしゃいますか?」

「どういったご用件で? ご予約は?」

「予約はありませんが、朽網会長の件で急ぎの話があると言えば伝わると思います」

 千春がそう言うと門番は「少々お待ちください」と言って門の内へと消えていった。

 それから十五分程待たされ、鬼比良が現れた。

「何? 今、忙しいんだけど」

「そうは見えねぇけどな。突然で悪いけどさ、今日泊めてくれよ」

「なんで?」

 鬼比良にそう尋ねられ、千春は事の顛末を鬼比良に話した。

「ふーん、なるほどねぇ。まっ、一日だけなら泊まっていってもいいよ」

 鬼比良はそう言うと門番に何か話している。少し話すと門番はどこかに消えていった。

「今、部屋の準備させているから少し待ってね。私は用事があるから後は門番についていって」

 鬼比良はそう言ってどこかへ行った。そして、再び待たされた。三人は会話を交わすことなく待っていると門番が戻ってきて中へと案内した。

 門を潜ると豪華絢爛な装飾を施した和風造りの建物があった。屋根には鳳凰と思われる飾り物があり、庭から見えた部屋の一室には虎の絵が飾ってあった。

 門番に案内され、三人はとある一室へと通された。

「ここを自由にお使いください。お手洗いは室内にありますものをお使いくださいませ。お風呂と夕食はまた連絡いたします」

 門番はそう言うと自分の仕事へと戻っていった。そして、それと入れ替わりのようにして鬼比良がやってきた。

「どうせ晩御飯まで暇でしょ? 私達の訓練相手になってよ。鬼人だけ借りたいのだけど構わないでしょ?」

 鬼比良がそう言うと千春は不満そうな顔をした。

「なんで私達は使わねぇんだよ」

「私達は対人間なんて想定していないわよ」

 鬼比良はそう言った後にハッとした表情を浮かべ楓を見た。

「あんなこと言われた後に無神経な発言だったわ。申し訳ない」

「い、いえ、気にしていないって言ったら嘘になりますが、今は気にしても仕方ないので。なってしまったものはどうしようもないと思っています。今は自分に出来ることを精一杯やりますよ」

 楓がそう言うと鬼比良は感心したような表情を浮かべた。

「あなた本当に中学生? 随分立派な考えの持ち主だわ。どこかの誰かに爪の垢を煎じて飲ませてあげたいわね。

 まぁ、本人の同意を得たことだし、借りていくわね」

 鬼比良はそう言うと楓を連れて部屋を出た。

「いいの? 楓を貸し出して」

 夏樹は心配そうに尋ねた。

「なんの心配をしているんだ、お前は」

「いや、絶対ないと思うけど、もし仮に鬼比良さんが会長とツーツーだったら…?」

「なんでそう思うんだよ?」

 千春がそう言うと夏樹は首を傾げた。

「いや、今はなんかそう言うのに過剰に反応しているだけかもしれない」

「そんなに引っかかるなら本人に聞けばいいじゃねぇか」

 千春はそう言って部屋を出ようとした。するとここは通さないと言わんばかりの屈強な男が扉の前に三、四人立っていた。

「…なんだ?」

 千春は屈強な男を睨みつけ、そう言った。

「申し訳ありませんが、しばらく部屋から出すなと通達を受けましたので」

「じゃあ詩織をここに連れて来い」

「現在、来客の対応中ですので」

「楓は?」

「私共は貴女方を部屋から出すな。としか通達を受けていませんので」

 千春は男の一人に歩み寄り胸倉に掴みかかった。

「実力行使でも構わねぇよな」

「出来るものなら」

 男は表情を変えることなくそう言った。

 今まさに事を起こそうとしている千春を夏樹が慌てた様子で止めた。

「千春姉さん」

 夏樹の顔を見た千春は自分が力を失っていることを思い出し、舌打ちをした。そして、部屋に戻るとふんぞり返るようにしてソファーに腰掛けた。そして一言。

「もし、楓に何かあったらここの奴ら皆殺しじゃ済まさねぇからな」

 確かな殺気に男たちは冷静さを保つのに精一杯と言った様子だった。

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