食事
所変わって三鬼の溜まり場。
「あら? この人間達は?」
氷鬼は溜まり場にしている廃墟の中に無造作に縛られ放置されている人間の数々に目をやった。性別、年齢は様々だ。どれも怯えた表情をしている。
「ボクが喰うために連れてきたんだよ」
風鬼は窓の外を眺めながらそう言った。
「珍しいわね。もう喰わなくても相当な力がついているはずでしょ?」
「今日、四郎園を見に行ったんだ。あの右腕、やばいよ。かなりの力だ。右腕だけであれなら他の部位が鬼化すればどれだけの力を得るか分かったもんじゃない」
「へぇ、だから人間を喰って力をつけるという訳ね。
四鬼と恐れられていたはずなのに、たった一人の半人半鬼を恐れるなんて落ちたものね」
「そう言う氷鬼も実際は四郎園が力をつけることを恐れているんじゃないの? だから、わざわざあんたの始まりを警察まで取りに行ったんでしょ?」
風鬼がそう言うと一瞬、氷鬼の眉毛がピクリと動いた。
「何を馬鹿なことを言っているの。私は鬼としての道を歩み始めてから最強なのよ。それはこれから先も揺らぐことは無いわ」
氷鬼がそう言うと風鬼は鼻で笑った。
「はっ、人を喰ったこともないくせに鬼を名乗らないでよ。その覚悟があるのとないのとじゃ天と地程の差があるんだよ」
「へぇ、でも私と貴女の実力は天と地程の差があるけどね。実際、人を喰わない方が強くなれるんじゃないかしら」
「あか、ごめん。この話を君としても不毛な話にしかならない。ボクは食事で忙しいから相手ならまた今度してあげるよ」
風鬼はそう言って氷鬼を追い払うような仕草を見せた。
「まぁ、どうだっていいわ。それよりも喰うならちゃんと殺してからにしてよね。悲鳴が煩くて眠れもしないわ」
「食べ方は人の好みでしょ。喰った後はちゃんと片付けるんだから一々文句を付けないで」
風鬼は周防いうと目の前に転がっていた男性に掴みかかると首元に噛みついた。鮮やかな鮮血が辺りに飛び散る。それと同時に部屋中には叫び声と悲鳴が木霊する。
氷鬼はそれを見た後、ため息をつき自室へと戻っていった。




