合宿
翌日、港には四季家の姿があった。そして、もう一人、鬼兵隊隊長の鬼比良の姿もある。
「ちょ、ちょっと! 千春! なんで四季家全員がいるのよ! 私はカッコいい男が来るって聞いたから今回ここに来たんだけど!」
「男ならいるじゃねぇか」
千春はそう言って楓を指差した。
「誰があんな中学生相手にすんのよ!」
二人はそう言って言い争いを始めた。そんな二人を横目に楓は美冬利に話しかけた。
「あの、美冬利さん。あの人は誰なの?」
「あの人は鬼兵隊と言って、私たちと同じ、鬼退治をしているところの隊長で鬼比良詩織さんです。二人は昔からの付き合いなのです。まぁ、二人と言うより四季姉妹は皆知り合いですね」
「そ、そうなんだ」
楓は視線を千春と詩織に戻す。二人の言い争いは更に加速していた。
「聞いてた話と全然違うわよ! なんであんたの家族旅行に私が付き合わないといけないのよ! 私、帰るから」
「おっと、帰れるとでも?」
千春はそう言って武鬼を構えた。
「チッ、卑怯な。あんたマジで碌な死に方しないわよ」
「構わない」
「そこまでくると、いっそ男らしいわね」
「よせやい、照れるだろ」
「…はぁ、もう逃げる気も失せるわ」
詩織は諦めたようにため息をついた。
「よし、じゃあ、出発しようか」
千春がそう言うと皆、港に泊まっている船に乗り込んだ。そして、船長が最終確認をすると、船は動き出した。
一時間程船に揺られ、目的の無人島へと到着した。
「楓、大丈夫か? だから酔い止めを飲んどけって言っただろ」
千春はそう言いながら、船酔いをした楓の背中を摩った。
「すみません…」
「まぁ、そこで少し休んどけ。私たちはテントの準備をしてくるから」
千春はそう言うと、全員を引き連れて島の奥の方へと進んでいった。
一人残された楓は海を眺めながら休憩していると、不意に声をかけられた。
「あれ? あなたは四郎園さんじゃないですか。こんなところで何を?」
楓は声のする方に目をやるとそこには駒走と見知らぬ女の人の姿があった。
「あなたは… たしか、駒走回収の駒走さんでしたよね?」
「えぇ、そうですよ。あっ、もしかして、四郎園さんも今回の合宿に参加しているんですか?」
「はい、そうです。ここまで来たのはいいんですが、船酔いをしまして」
「はははっ、船は思ったより揺れますからね。
じゃあ、他の皆さんはもう奥に行ったんですか?」
「そうですね。ついさっきそこから奥の方に行きました。
あれ? そう言えば駒走さんは一緒の船に乗っていましたっけ?」
「いえいえ、私たちは別便ですよ。先程到着しましたし。
じゃあ、私たちも行きましょうか。
四郎園さんはどうしますか? 体調が戻ったなら一緒に行きますか?」
「そうですね。幾分かはマシになったので一緒に行きます」
楓はそう言って立ち上がり、駒走の後に続き、千春たちの後を追った。




