夏休み
夏休みに入り、一週間が過ぎた。四季家はと言うと、県南部にある無人島へと来ていた。そこには鬼比良の姿もある。
遡ること三日前。
「よし、お前ら、明日から合宿に行くぞ。準備しとけよ」
リビングでくつろいでいた千春はおもむろにそう言った。
「もうそんな時期だっけか?」
夏樹はテレビから視線を逸らすことなくそう口にした。
「あ、あの、合宿と言うのは?」
「楓は初めてだもんな。今から説明する。
四季家では、毎年、夏になると南の島に行って合宿をするんだ。まぁ、合宿と言っても部活動の人達がするようなキツイやつじゃなくて、合宿と言う名を借りた遊びだよ。要は旅行さ」
「旅行ですか? 鬼退治はしなくていいんですか?」
「もちろん鬼退治も大事だけど、休暇も大事にしないとな。今回はスペシャルゲストを呼んであるから」
「へぇ、今回は誰か来るんですね。と、言うより、千春姉さんと夏樹姉さんは大学に行かなくて大丈夫なんですか? 私達と違って大学は来月の中旬辺りから夏休みなんですよね?」
美冬利がそう言うと千春と夏樹は顔を逸らした。
「じ、自主休校だ」
「へぇ、要はサボりですよね」
「だ、大丈夫! 単位は足りてるから! …いざとなれば土下座すればいいだけだし」
「ん? 夏樹姉さん、何か言いました?」
「い、いや、何も言ってない! そんなことより、明日出発なんだから荷物の確認をしないとな! ほら、秋穂行くぞ!」
「え? なんで私? 私はそれなりに準備終わってるんだけど」
「い、いいから!」
夏樹はそう言うと強引に秋穂を引っ張ってリビングを後にした。
「全くもう、ほんと都合のいい人ですよね、千春姉さん?」
美冬利はそう言って千春の方を向いた。千春は口笛を吹きながらリビングを出た。
「はぁ、本当にうちの姉共は…
四郎園さん。あんな風になってはダメですからね」
「え、あ、うん」
「それじゃあ、私たちも準備しましょうか」




