閑話
『えー、続いてのニュースです。先日から引き続き報道していますが、閑静な住宅街で起きた凄惨な殺人事件です。
今月未明に起きました。加味土師家の事件なのですが、現在も捜査は難航しており、行方不明となっている娘の加味土師 真詩呂ちゃんの行方も未だ、明らかになっていません。
今日は専門家をスタジオにお招きしての―
テレビからは凄惨な事件の状況が淡々と伝えられており、新情報が出る度に謎が謎を呼ぶ事件として連日報道されている。その犯人というわけではないが、事件の関係者が四季家の上三姉妹だ。
この事件が報道される度、三人は肩身を狭くしている。その理由は黙って危ないことに首を突っ込んだことで美冬利にこっ酷く叱られたのだ。力関係は年功序列順で強いのが四季家なのだが、今回は何故か美冬利が強く、千春が「もうしません。どうか許してください」と半べそ掻きながら謝った程だ。
「もう、本当に反省してくださいよ。一歩間違えれば凶悪犯として今頃、牢屋の中だったのかもしれないのですよ? 世間様にいくら説明したところで鬼の存在など信じてもらえません。それに、一般の方には鬼と人の区別はつきません」
美冬利は朝食を食べながらブツブツと小言を言っている。
「分かった! 分かったから! もう四十回はそれ言ってるから」
「ほんと、美冬利は母さんに似てきたな」
夏樹はそう言うと味噌汁を口に運んだ。
「確かに似てきたね、私もお母さんに似ているところあるかなぁ?」
「秋穂は妙に計算高いところは母さんに似ていると思うよ」
夏樹がそう言うと千春はうんうんと頷いた。
「確かに似ている。どうやったらあんな興信所顔負けの証拠写真を集められるんだよって毎回思うわ」
「ちょ、ちょっと! 変なこと言わないでよね! 楓君、引いてるじゃん!」
「えっ、僕ですか?」
急に名前を出された楓は素っ頓狂な声をあげた。
「ほら、秋穂が急に話題を振るから驚いてるじゃん」
「えへへー、ごめんね」
「い、いえ、大丈夫ですよ」
「…やっぱ、お前、まだ友達のこと引き摺ってんのか?」
「えっ、ま、まぁ、はい…」
「まっ、そうだよな。「引きずるな!」って言う方が無理あるもんな。お前の大切な友達だったわけだし、元気出せよって言うのは無責任な発言だと思う。でも、お前がいつまでもそうやってしょぼくれていたら守れる命も守れなくなるぞ」
千春はそう言うとニコリと笑った。
「まぁ、とりあえず、学校にはちゃんと行けよ。
私はこれ食ったら、朽網さんのところに行ってくるから」
「どうしたの?」
「怒られにだよ。揉み消せない程の大事件を起こしたことで怒られに行ってくる」
千春はそう言うとため息をついた。




