四季家にて
二人は校長室を後にして教室に戻った。教室に戻る頃には一時間目の授業は終わっており、皆、休み時間を過ごしていた。
教室に入ると一人の人物が楓に近付いてきた。
「よっ! 楓! 久しぶりだな。元気していたか?」
「こ、浩太! 久しぶり! 元気だったよ!」
「それは良かった。
それにしても、だいぶ顔つきが変わったよな」
「そ、そうかな?」
「おう、なんかこう、一皮剥けたというか、大人になったというか、なんつうかなー」
「大して変わってないって」
「まぁ、そうか。楓は楓だもんな!
でも、俺は変わったんだぜぇ」
「ん? そうなの?」
「おう! 近い内に見せてやるよ! きっと驚くよ」
「楽しみにしとくね」
「じゃあ、また後でな」
浩太が自分の席に戻ったのを確認すると美冬利が小声で話しかけてきた。
「…四郎園さん」
「どうしたの?」
「…いえ、やっぱりよかったです」
「ん? そう」
「はい、席に戻りましょう」
何か引っかかるような言い方をして美冬利は自分の席に戻っていった。楓は少し考えたが、きっとどうでもいいことだったのだろうと思い、自分の席に戻った。
それから、幼稚な嫌がらせを受けながらも今日の学校を終えた。帰りのホームルームが終わり教室から出ようとした時、楓は担任の先生に呼び止められた。
「おい、四郎園」
「はい! なんですか?」
「お前の家庭訪問が、まだ終わっていないから明日行くからな。
もう親御さんには連絡を入れてある」
「えっ、あっ、分かりました」
「じゃあ、気を付けて帰れよ」
先生はそう言うと教室を出ていった。
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四季家に戻り、今日あった出来事を皆に話した。千春を始め、姉達は驚きの表情を隠せないでいた。
「…そうか、今、中学校ではそんな事件が起きているのか…
悪いが、今日から夏樹は出来るだけ美冬利たちの傍にいてやってくれないか?」
「それはいいけどさ、美冬利たちが学校にいる時はどうするのさ?」
「それは私から校長先生に話をするよ」
千春がそう言うと夏樹は「分かった」と返事をした。
「まぁ、それは良いとして、問題は楓の家庭訪問か。
美冬利は明後日だったよな?」
問いかけに美冬利は頷く。
「…流石に四季家でするわけにはいかないよなぁ」
「一日だけなら、家に帰してもいいよ。
俺が側に付いておくから」
千春が悩んでいるとテレビを見ていた秀春はそう言った。
「でも!」
「大丈夫だ。楓はこの一ヵ月で鬼をコントロールできるようになった。暴走なんて滅多なことが無い限り起きることはないさ。
もし、万が一暴走するようならば、俺が止めるさ」
「…父さんがそこまで言うなら…」
どうやら楓は久しぶりに実家に帰れるようになったみたいだ。
少し間があった後、秀春が立ち上がった。
「はぁ、またかぁ、この調子でいけば、この街の住人全員が鬼になっているかもな。
おーい、行くぞー」
秀春がそう言うと、千春と秋穂は鬼退治に出かけた。三人の顔は既に疲労困憊だった。
家に残された者たちは鬼退治に向かった者たちが少しでも回復できるように努めた。




