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四季さん家の鬼退治  作者: ぞのすけ
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校長室

 「えー、皆知っていると思うけど、何かと物騒な事が起きています。先生たちも登下校時の見回り強化に努めたり、警察の方々にもお願いをして周辺のパトロール強化をしてもらっています。

 皆が不安なのは分かるけど、適当な噂話などで他の人を傷つけることがないようにしてくださいね。

 これで、朝のホームルームは終わります。

 あっ、後一つあった。ホームルームが終わったら四郎園と四季は職員室に来るように。

 はい、日直号令して」

 先生がそう言うと日直は号令をかけた。ホームルームが終わり、楓と美冬利は先生に言われた通り職員室へと向かった。

 職員室に入ると担任の先生が二人に向けて手招きをした。

 「先生、一体何の用事でしょうか?」

 美冬利は開口一番に尋ねた。

 「いや、実は俺じゃなくて、校長先生がお前たちのことを呼んでいてな。

 周りの生徒に知られないように呼んでくれ、という事だったんだ」

 「あぁ、そうだったのですね。

 ありがとうございます」

 「ところで、お前らは一体、俺に何を隠しているんだ?

 四季は、一年生の頃から公休として休みを取ることが何度もあったのは知っている。でも、四郎園は三年生になってから急に、公休扱いで休みを取り出した。しかも、一ヵ月という長い期間だ」

 「すみません、それは私たちの口からお伝えすることはできません。

 そう言う決まりなのです」

 「担任でもダメか?」

 「はい。

 もし、仮にどうにかして情報を仕入れたというならば、その日から普通の人間として生活することは保障できないということだけは保障しますよ」

 美冬利はそう言うと頭を下げ、職員室を後にした。楓もそれに続き職員室を出た。

 職員室を出た二人は、その足で校長室へ向かった。校長室へ向かう途中で色々な生徒が二人の噂話をしていたのだが、気に留めることなく進んだ。

 校長室に到着した二人。美冬利は扉をノックした。すると中から「どうぞ」と言う声がしたので二人は中に入った。

 校長先生は二人の姿を見ると、目の前にある来客用のソファーに座るよう促した。楓たちは言われた通りソファーに腰掛けた。

 「おはようございます。

 校長先生から御呼出しということはあまり良くないことだと姉達から聞いています。

 それで、今日はどういったご用件なのでしょうか?」

 「まぁ、そう固くなりなさんな。

 どれ、一つ、茶でも飲まんか?」

 校長先生はニコニコしながら話しかけてきた。

 「…そうですね。せっかくのご厚意なのでいただきます」

 美冬利がそう言うと校長先生は立ち上がり、お茶を汲み始めた。

 「お姉さん達は元気かい?」

 「はい。とても、元気ですよ。

 元気過ぎて困る程に」

 「そうか、そうか、それは良かった」

 校長先生はそう言って、二人の前にお茶を出した。楓と美冬利は頭を下げた。

 「今日、呼んだのは他でもなく、最近我が校で起きている連続行方不明の件でね。

 率直に聞くが、美冬利君はこの件に鬼が絡んでいると思うかい?」

 鬼という単語が出たので楓は驚いた。

 「こ、校長先生は鬼を知っているんですか?」

 「おや? 美冬利君は四郎園君に話していなかったのかな?」

 「はい。いずれ説明しようと思っていたのですが、何かと忙しくてタイミングがなかったのです」

 「では、私の口から説明しよう。

 私はこの学校で唯一、四季家の事情を知っているものでね。

 四郎園君の公休を許可したのも私なのだよ」

 「そ、そうなんですね」

 「あぁ、そうだよ。

 鬼と言うものは酷く恐ろしいものだということは四郎園君も知っているだろう?

 だから、生徒達の命を守る為に四季家のことは出来るだけ協力したいと思っている!」

 「校長先生、これ以上熱くなりますと血圧が上がりますよ。

 本題に入りましょう」

 「あぁ、すまない。

 それで、先程も聞いたが、鬼絡みだと思うかい?」

 「断定は出来ませんが、八割は絡んでいると思います。

 因みにその行方不明になった人たちの顔と名前が分かるやつとかありますか?」

 「ちょっと待っていてくれ」

 校長先生は立ち上がり、自分の机から何かを取り出した。そして再び二人の元へ戻ってくると、それを目の前に広げた。

 校長先生はその写真に写っている人たちを一人ずつ説明してくれた。

 「まず、最初に行方不明になったのは、三年一組の岩崎 叶愛君。保護者から家に帰らないと連絡があってな。

 まぁ、元々素行が余り良くない生徒で、警察にも連絡は入れたが、二、三日すれば家に戻ってくるだろうと思っていたけれど、一ヵ月経った今も家に帰って来てはいない。

 二人目は羽島 凛君。二年四組の生徒で弓道部に所属している真面目な生徒だ。

 岩崎君が行方不明になってから三日後に行方不明になった。部活帰りに友人と別れたのが最後で家に戻っていないそうだ。

 これも、もちろん警察には届けた。それに近辺のパトロールも強化してもらっている。しかし、その矢先に三件目が起きた。

 だが、これは行方不明ではなく遺体として発見された。二年一組の江並 涼葉君と山川 六哉君。

 この二人は交際していたみたいで、二人で帰っていた帰り道何者かに襲われた。そして、町外れにある廃墟で喉元を咲かれた状態で発見された。

 こんな事件が起きてしまえば、学校中がパニックになってしまってな。今はカウンセラーの先生にも来てもらっている。

 まぁ、それは置いて、警察のパトロールの数も増え、一週間程何も起きなかったのだが、次の事件が起きた。

 次の行方不明者は三年五組の鷺島 琴音君。生徒会の副会長で生徒からの人望も厚かったのだが、ある日忽然と姿を消した。

 そして、次が今日までの最後の行方不明者の若宮 美咲君だ。

 君達のクラスに美咲君と仲が良い子がいるだろう?」

 校長先生が尋ねると美冬利は頷いた。

 「その子が美咲君と最後に会っていたみたいで、彼女と別れた直後に行方不明になってしまったみたいなんだ。

 それで彼女はその責任を感じているらしい。出来れば仲良くしてもらいたいのだが」

 「それはできません。

 あんな、頭ごなしに人を犯人と疑うような人と仲良くしろと言う方が、無理がありますよ。

 校長先生はそんなお願いをするために私たちをここに呼んだのですか?」

 「いやいや、違うよ。

 本題は初めから話していただろう?

 ここまでを踏まえて、四郎園君や美冬利君はこの一連の事件をどう思う? 鬼だと思うかい?」

 「…やはり、鬼だとは断定できません。

 全て同一犯の犯行と仮定するのならば、江並さんと山川さんのカップル殺害事件が引っかかります。

 校長先生もご存知だと思いますが、鬼は人を食べます。食べるために殺すことはありますが、食べずに殺すだけということは聞いたことがありません。

 なので、私は鬼の仕業だとするのならば、行方不明になっている四名だけだと思います」

 「…では、江並君と山川君は人間の犯行だと?」

 「今のところはそう思います」

 「そうか。

 では、四郎園君はどう思うかな?」

 「…僕はまだ初心者なのでどうとかは言えませんけど、何か変だなと思うことが…」

 「変?

 どこかおかしいところがあるかね?」

 「僕なりに何か共通点が無いかなとか考えながら六人のことを聞いていたんです。

 ただの偶然だと思うんですが、行方不明になった人や殺された人の名前の頭文字を取って、入れ替えると『みとりころす』になるんですよ…」

 「…!!」

 「ぐ、偶然ですよ。

 そうだとしたら、犯人は何故、私のことを知っているのでしょう」

 「犯人はこの学校の関係者…?」

 「だ、だとしたら、どうしてこんな回りくどいことをするのでしょうか?

 初めから私を狙えばいいものを」

 「それが僕も引っかかっていたところなんだよ。

 でも、ただの偶然だと思うから気にしないでいようよ」

 「…そうですね」

 それから、校長先生と少し話をした後、楓たちは校長室を後にした。

 「…あの、四郎園さん」

 「ん? どうしたの?」

 「さっきの話、本当に偶然ですよね?」

 「きっと、偶然だよ。

 だって、美冬利さんが言っていたみたいに、わざわざ回りくどいことをする必要がないもんね」

 「ですよね。

 …でも、やっぱり少し怖いので、何かあったら守ってくださいね」

 美冬利はそう言って楓のシャツの袖口をそっと掴んだ。楓は恐怖に怯えた美冬利の顔を見て、しっかりと頷いた。

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