四鬼
ここは四鬼の隠れ家。四季家との戦いから少し経つ。いつもなら四鬼揃っているのだが、戦いの後から氷鬼は姿を現していない。
そのことについて全く気にも留めていない三鬼だったが、こんなに長く顔を合わさなかったことはないので、風鬼は少し氷鬼のことを気になりだしていた。
「…氷鬼、今日も来ないのかな?」
風鬼は窓の外を眺めながら小さく呟いた。
「んなもん知るかよ。
ほっといとけ、不意打ちとは言え、格下の相手にワンパンもらったんだ。肉体的ダメージより精神的ダメージの方が大きいんだろ」
「…ふーん、そんなものなのかな?」
「そんなもんだろ。ていうか、お前が人の心配するなんて珍しいな。どういう風の吹き回しだ?」
「…それ、ギャグのつもり? 全然面白くないけど」
「ちげーよ」
「まぁ、心配なんてしていないよ。ちょっと、興味を持っただけ」
「だから、それが珍しいって言ってんの」
「…、雷鬼はボクのことを知らなさすぎるよ。
別に知ってほしいとも思わないけどさ」
風鬼は少しうんざりしたような顔をしている。そして、一つため息をついた。そして、横目で炎鬼を見ると、我関せずと言った様子で眠っている。
今になって改めて考えてみると、氷鬼が一番常識のある人だと風鬼は思った。なんだかんだ言ってまとめ役だったし、判断に迷った時は氷鬼に相談したりしていた。風鬼からすれば自分の姉のように慕っていた。
そんな存在が急にいなくなると、あの日に似たような気持になる。大切なものを無くし、自分が鬼になるきっかけとなった始まりの日に。
まぁ、遠い昔のことに思い馳せたところで今の物事が解決するわけでもないので、時が問題を解決するまで氷鬼のことを待つことに決めた風鬼は椅子に腰掛け、読みかけの本を開いた。




