四鬼
一方、その頃。人里離れたところにある古びた屋敷では風鬼を始め四体の鬼が集まって話をしていた。
「昨日の件だけど、見つかったよ」
風鬼の話を興味無さそうに聞いていた女は風鬼に質問をした。
「へぇ、それでどんな奴だったの?」
女は自分の爪を綺麗にすることに夢中のようだ。
「昨日、集まっていた鬼を殺したのは四季千春、四季夏樹、四季秋穂、四季美冬利の四人。そして、ボクが持ち帰った鬼を殺したのが四郎園楓という奴だった」
風鬼から名前を聞いた瞬間、爪を触っていた女の手が止まった。
「四季…。どこかで聞いた名前ね。どこだったかしら。
ねぇ、あんたたち分かる?」
女は奥に座っている男二人に話しかける。一人の男は「さぁ?」と答えた。もう一人の男は黙ったままだった。
「ほんと、しけた奴らだこと。
ねぇ、風鬼は四季ってやつのこと知らない?」
「さぁ? ボクもそこまでは調べていないよ。お望みならば調べるけど」
風鬼の言葉に女は首を横に振った。
「そこまでしなくていいわ。四季の家は分かるの?」
「もちろん。そこは調べてある。
その、四郎園楓という奴も今は四季と一緒に住んでいるらしい」
「へぇ、それじゃあ今晩、お邪魔しましょうか。
あんたたちも行くでしょ?」
女の言葉に部屋の中にいた皆は頷いた。
「決まりね。また夜に集合しましょう。
久々にお出かけね。骨のある奴らならいいけど」
女はそう言うと一瞬にして姿を消した。それが合図のように部屋にいた他の奴らも一瞬で姿を消し、妙に生活感のある部屋だけが残された。