屋敷
一方その頃、人里離れた場所にある古びた屋敷に千春たちが一生懸命探していた鬼の死体を抱えていた人物がいた。
その人物は死体を抱えたまま屋敷の扉を開ける。扉も屋敷同様に相当古く開ける時、キィという音が屋敷内に響いた。屋敷の中は薄暗くてよく見えない。
死体を抱えた人物はある一室へと入った。その中には暗くて顔までは分からないが三人の人物がいた。
「あら、遅かったわね。期待の新人君は連れてきたの?」
中にいた一人が口を開いた。入って来た人物は首を横に振る。
「えっ、もしかして逃げたの?」
その質問にも首を横に振った。そして抱えていた死体を見せた。
「あら、殺されちゃったわけ? また、惨たらしい殺され方をしたわね。
この様子を見ると、四肢は切られたというより捥がれたという感じね。
人の体を、ん? 鬼の体かしら? まぁ、どっちでもいいわ。とにかく、こんな風にできるのは同じ鬼しかいないわ。
どんな、鬼がやったのかしらね。ねぇ、風鬼はその鬼を見たの?」
声の主はすごく楽しそうな声を上げている。風鬼と呼ばれた人物は声の主の質問に答えた。
「見たよ」
「強そうだった?」
「波がある感じ」
「そいつの居場所は?」
「ボクはそこまで便利屋じゃない。
でも、ボクも興味があるから明日までには調べておくよ。
それじゃ、おやすみ」
風鬼はそう言って部屋を後にした。