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光る木と私のプリザーブドフラワー

作者: 梅村 松竹

もう何度目だろうか、こんな日に涙を浮かべてここに座り込むのは。もう何度このベンチにカラリと渇いた花を持って来ない人を待っただろうか。こんなに寂しい気持ちを私は一体いつになったら思い出さなくなるのだろうか。この日も私は人を待っていた。何度も何時間も悩んで送った文章、大好きなあの人に送った大切な文字たち、膨らんだ想いを乗せた小さな一つの電波。送る前からドキドキしてやっとの思いで送った彼らはどこへ消えてしまったのだろう、私と同じで花が好きな彼はどこへ行ってしまったのだろう。日が落ちて少しずつ空は暗くなり目の前は眩しいほど明るくなっていく。楽しそうに笑う子供達、私はいつからあんなに無邪気に笑えなくなったのだろう。寄り添い手を繋ぐ人達、私は何度恋をすればそうなれるのだろう。虚しさだけが降り積る私の心はまるで雪に隠れた地面って僕達をのようでキィキィと揺れるブランコはまるで私の中の柱のようだ。街で一番大きなモミノキ、いつも見守ってくれる私たちのお父さん。今日は光を持って暗い夜を明るく照らしてくれている。でも遠くで光る彼は近くの2人ばかり照らして私を照らそうとはしなかった。私はどんどん暗くなっていく。モミノキの向こうに私のよく知る大好きな笑顔が見えた。きっと最初から私の願いは叶わないものだったのだろう。足元の雪が少しじわりと滲んだ。

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