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召喚失敗勇者の異世界放浪旅  作者: 転々
第二章

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失敗勇者と鉄の盾マリア

 俺はトマの鉄の盾加入を強く押したい。

 あいつは俺と同じ魔導士ではあるが、前衛後衛どちらも出来るハイブリッドな奴でもあるし、何より魔法に付いて話が出来るのが良い。

 あいつの方が魔導士としての腕が上なのはわかっているし、知識も豊富なのは少し微妙な気分ではあるが、正式な師匠の元で訓練を受けていたと言う事であれば納得も出来る。


 俺はたまたま住んでいた村に一時滞在していた冒険者の人に才能があると言われて教えてもらい、自力でここまで力を付けたんだけど師匠には未だ遠く及ばないし、師匠のように超越魔法を使う事が未だに出来ていない。

 しかし、最近超越魔法の影が見えて来た気もするんだよな。

 

 師匠曰く、超越魔法は教えられて使えるようになっても意味がない、自分でその力を理解して初めて真の魔法が使えるって言って教えてくれなかった。その時は意地悪しないで教えてくれよと思ったけど、今思うとそれが必要な事なのではないかと思い始めていた。

 

 トマと俺では同じ魔法でも威力が違うのはなぜなのか? 魔法に込めているマナとオドの量がそれほど変わらないように見えるので、それでも威力が違うのはその部分なのではないだろうかと最近思い始めた。

 

 やっぱり切磋琢磨――というか、ライバルが居ないと魔法研究は難しいだろうし、トマと俺なら超越魔法の習得できるのはそう遠くない気がするんだ。

 アルル師匠待っててください! 不肖コンラートが超越魔法を覚えて師匠の名前をもっと広めて見せます!



 鉄の盾 コンラート



 そんなことを放していると、扉をノックして部屋付きの少年大きな皿を持って入ってきた。

 手に持った皿には試作品と思われるフライドポテトが何種類か盛られ、目を輝かせた少年が店の主人が少し話がしたいと言っているとの事で、一旦宴会騒ぎから離れ空いてる別室に来てもらう事になった。皆にはフライドポテトを食べて少し待っててもらう。


 まあ、店の主人――部屋付きの少年の父親の話と言うのは、フライドポテトのレシピを売って欲しいと言う事だった。

 別に俺が考え出したわけでは無し、美味しいつまみが欲しかったので相手の言い値で売ることになった……交渉の末、今日の宴会分の代金と三日分の宿屋代が全て無料と返金するという話になった。

 

 銀貨十五枚が入った袋と、今回の宴会代金の銀貨五枚が返金された。

 宴会台に銀貨五枚も出してるというのは流石に驚いたが、まあそれだけ感謝してくれたんだろう。

 他にも珍しいレシピが合ったら売って欲しいという話だったが、その話は後日話すことになった。流石に今は宴会中だしね。


 シクラ――トマが隣室で宿の主人とはなしをしている時、部屋に残されたグランツ達はフライドポテトとをつまみながらお酒を飲んでいた。


「このフライドポテトってやつは酒によく合うな」

「そうだな。あいつは魔法以外にもいろいろできるんだな 」

「トマは凄いよね、料理のことまで詳しいなんてよっぽどいい師匠に付いていたんだね! 」

「マリアはトマの事がよっぽど気に入ったのね」

「そ、そんなことは……あるけど」

 

 グランツとアシュリーはつまみを食べながら酒を飲んでおり、マリアとイザベルはガールズトークを始めてたのだが、その中で一人だけ真剣な顔をして考え事をしている者がいた。


「トマが優秀なのは認める。俺とそう歳が違わないのに、俺以上の魔法の使い手で剣術も使えるしな。ただ……」


「ただなんだ?」

 

「いや、あいつがまだ俺達のパーティに入っていない段階であまり詮索するのは良くないと思ってるんだが……いや忘れてくれ」


「そこまで言われて忘れてくれって……」


 いつも魔法の事になると饒舌になり自分の興味のある事ならグイグイ突っ込んでいくコンラートは、ひとり冷静に今の状況を考えているよだが、今自分の考えていることを口にしていいのか迷っている様だ。


「あーうん。あいつって本当に平民か? もしかしらどこかの貴族の子弟とかじゃないかと思ってさ」


「あん? そりゃないだろ。貴族の子弟であれば流石に金を渡しているだろうし、もう少しまともな装備を渡しているはずだろ?」


「……まあそうなんだけど。何か違和感のような物が合って……そう、このフライドポテト! グランツ、お前はこの料理を今まで見たことあるか? 」


「いや、無いが。それはあいつが他国から来たから知っているんじゃないのか? 」


「お前の気にしすぎだろ? まあ、ポテトでも食えってうまいぞー」


 シクラが他国から来たのは知っているし、他国出身であればこちらでは知られていない料理は多数あるだろう。何がそんなに引っかかっているかグランツには理解が出来なかった。アシュリーは結構寄っているのか、ポテトを食べて飲んでを繰り返している。


「うーん。何か引っかかるんだけどな……まあ、冒険者同士の過去の詮索はあまり褒められたものじゃないから、また何かのタイミングで聞いてみようかな」


「ああ、そうしろそうしろ。とりあえずは、皆金額分は飲み食いしないともったいないぞ! 」




「おまたせ。楽しんで……いるようで何よりです」


 宿の主人との話が終わり部屋に戻ってくると、みんなかなり出来上がっていて……混とんとした状態になっていた。


「あートマ()ー。早くここにすわるの()す」


「おそかったヒックな。皆結構ヒック出来上がってるぞ」


「あらーお帰りなさい。皆ダメね、お酒の飲み方がわかっていない様ね」


 ろれつが回らない程酔っているマリアに、グランツもしゃっくりが出ていて目酔っぱらってトロンとした状態になっている。

 唯一イザベルだけは頬が上気している以外に変わりわなく、他の二人はソファーでお互いに寄り添うようにいびきをかきながら眠っている。


 マリアが自分の横に座る様にいつまでも席をポンポンしているので、しょうがないからそこに座ると「えへへー」と言いながら寄りそいながら俺の腕に絡みついてくる。

 まあ酔っ払いだから仕方ないと思い俺は食事の続きを楽しむことにした。


「何の話ヒックだったんだ?」


「ああ、俺の持ってるレシピを売って欲しいって言われたんだ。それでこれを返しておくよ」

 

「なんだそれ? ……どう言う事だ?」


 流石に銀貨五枚が入っている袋を渡されて怪訝な表情をしている。いきなりの事でしゃっくりも止まってしまったようだ。


「フライドポテトのレシピを売る代わりに、俺の宿代と今日の食事代を無料にしてくれるんだとさ。だからこれはしまっておいてくれ」


「それだったらこれはトマが貰うのが当然じゃないのか」


「いや、俺はこの食事代を出しているわけじゃないし、街まで案内してくれたりギルドに案内してくれたり世話になっているから、それはグランツ達が受け取っておいてくれ」


「しかしだな……」


「トマが良いって言ってるんだから受け取っておいたらいいんじゃないの? あんまり断るのも良くないわよ」


「そうよそうよ! それにトマならー銀貨の何枚かなんて直ぐ稼ぐのー! ねートマー」


「ま、まあ。今の所お金にも困ってないので受け取っておいてくれ。あのマリアさん、あんまりすりすりしないでいただけますか」


 一応グランツは受け取ってくれたから良いんだけど、マリアは相変わらず俺にべったりくっついていて腕にすりすりしてくるからちょっと注意したら少しむくれていた。

 頬膨らませて抗議してくるマリアは可愛いんだけど、年頃の女の子か今日あったばかりの男にそんなことするもんじゃないよ。


「それならこうら! 」

「うわ! 何してんだよ。」

「えへへー。これならすりすりしてないのよ」


 すりすりするのがダメだからって俺の膝の上にダイブする人が居ますかね。

 その様子を見ていたイザベルは少し苦笑いを浮かべ、反対側のグランツの横のソファーへ移動していった。

 

「はぁ、しかたないな」

 

 酔っ払い相手にあまり言っても聞かないのは元の世界でも経験しているから、皆に迷惑が掛からない限り好きにさせておこう。


「そう言えばグランツ、お前たちはまたダンジョンに潜りに行くのか?」


「……そうだな、今のメンバーでも行けるには行けるがもう少し戦力を整える訓練してからかと思ってる。それにダンジョンに一度潜ると何日も戻ってこないから、荷物持ちかアイテムボックス持ちを雇う必要も出てくるからまだしばらくは戦力強化と金策が必要だな」


「俺ダンジョンの事詳しく知らないんだが、教えてもらってもいいか」


 漫画やゲームなのでざっくりとダンジョンと言う物の知識はあるんだけど、この世界のダンジョンが俺の知識と同じとも限らない。

 簡単に金策も出来るらしいし周りに人眼も少ないだろうから、もしかしたらいい狩場になるかもしれない。


 そしてグランツからざっくりとダンジョンに付いて教えてもらった。ただ、グランツが知っているのは近くにあるダンジョンだけで、他の所だと多少違いがあるらしいから注意が必要との事だった。


 ダンジョンはマナが大量に滞留するところに発生することが多く、火山や砂漠などかなり危険地帯に出来ることが多いが地面が在れば大体どこにでも出来るらしい。

 基本的に人の出入りが少なく、強力な魔物が存在しないことが条件らしいが詳しくはまだわかって居ないらしい。


 ユピリルの南東にあるリース村という所にあるダンジョンは村の中心付近に入り口があり、そこから地下に降りていく形のダンジョンで、六層構造になっていると思われている。

 思われているというのは、未だに六層以上の下部層に到達したものが居ない為である。

 

 第一層は基本的に低ランクの魔物が徘徊し、通路が合って広間があるといった感じで続いて行っているみたいで、その広間ごとに大体出てくる魔物が決まっているらしい。


 第二層は鉄級クラスであれば問題なく討伐できるような魔物が多いが、急に出現数が増えて来たりすることもあるので常に安全マージンを取りながら戦う必要があるとの事だ。


 第三層は鉄級一パーティではかなり厳しく、銀と鉄の混合パーティで狩りをすることが多いらしい。拠点を確保してから少数の魔物を引っ張ってきて戦ったそうだ。銀と鉄のの混合パーティなのは、銀級がこの地方ではかなり少なくまたダンジョン以外の所にも行っている為、銀級のみでパーティを組むのが難しいとの事だ。

 

 第四層からはかなり危険な地帯らしく、他の都市からの大規模遠征など以外ではなかなかいく人たちは居ない。大規模の遠征の場合では、白金もしくは金等級のパーティが主軸となり百人単位の大人数で攻略していくらしい。

 ほとんどが白金級はそもそも数が少ないので、金級の複数パーティと銀級のパーティの連合で組んで荷運びとして鉄級が呼ばれたりすることがあるが、鉄級は戦闘にも参加せずに運びと解体しかさせてもらえないそうだ。


 因みに五、六層は、過去に勇者のパーティが途中まで攻略して撤退してきたほどのかなり凶悪な階層で、亜竜や不定形の魔物など一匹だけでも討伐隊が組まれるレベルの魔物ばかりなので、それ以降探索した人はいないので暫定最終層という扱いになっている。

 

 もし、第七層があった場合これ以上の魔物達がいる事になるので、事実上攻略不可能と言う事にもなるんだけどね。


 そしてどの階層にも言える事なのだが、とにかくだだっ広いんだとか。

 グランツ達が過去に入った第一層はマッピングが完了しているらしいのだが、広さはの街よりも広くおおよそ二キロ四方にもなり奥に行けば行くほど強めの魔物が徘徊する。

 ただし、たまにはぐれと呼ばれる魔物が入り口付近にも出没するため警戒を怠らないようにしなければならないんだとか。


 入り口付近はゴブリンやホーンラビットなど簡単に討伐できる魔物が多いが、中ほどになるとレッサーコカトリスやレッサーバジリスクなどの状態異常を使用する魔物が出てくる。

 ただ、この魔物達はレッサーと呼ばれるだけありブレスや目を合わせただけで石化するような相手ではなく、噛みつかれたり突かれた際に微量な石化効果があるが倒すと石化状態は解除されるとの事。


 バジリスクは肉はうまくないが体表の鱗や目玉が売れ、鱗は防具に目玉はポーションや魔道具の媒体に使われるとの事だ。

 反対にコカトリスは見た目が鳥なだけあり、肉は殆ど鶏肉と同等で売ることが出来るが羽根は特別に使い道は無く、他に売れる部位だとのどにある石化液を作る袋上の器官がポーションの材料になるらしいが、うまく切除しないと石化液を浴びることになるし大体のどを切り裂くのでその器官はズタズタで売り物にならないらしい。


 注意すべき魔物はこの程度で、殆どがその辺りの動物と変わらないレベルの魔物ばかりらしい。


 そしてなぜだか分からないが、ダンジョンで死んだ魔物や人間はそのまま放置しておくとダンジョンに吸収され、鉄などの金属製のもの以外はすべてなくなってしまうのだとか。

 吸収されると言っても、大体一時間程してから徐々に地面に吸われている感じらしいので特に問題はないそうだ。


「……まあ……こんな……ところ……ふぁあああ。流石に眠くなってきたな」


「そうねー。そろそろいい時間だしお開きにしましょうか……既に寝てる子もいる事だし」


「そうだな。色々興味深い話を聞けたよ」


 長々と酒を飲みながら話を聞いていたこともあり、グランツはかなり眠そうだ。

 イザベルは静かにお酒を飲みながらちびちびとつまみを食べていたが、流石に酔いもおなかの具合も良い感じになってきているみたいだ。


 そんな感じで食事会を終了しようとしていたのだが。


「私はまだトマと話をするの! トマはグランツとばっかり話してるんだもん、私も話をしたい」


 俺の膝の上でごろごろしていたマリアが駄々をこね始めた。

 その様子にグラントとイザベルはどうするといった感じで俺の方を見てきたが、流石にマリアだけ残されても困るんだけど。


「マリア、トマと話すのだってまた明日があるじゃないか」


「そうねー……うん、トマさんもう少し面倒見てもらってもいいかしらー? 」


「はい!? 」


「だってわたし達ー、いまからそこの人達を運ばないといけないしー、ちょっとグランツ二人で話したいこともあるからー、少しの間マリアを預かってもらっててもいいかしらー?」


 そこの人達と呼ばれた、アシュリーとコンラートの二人は泥酔していて眠っているんだった。

 まあ、その二人を運ぶのはそれなりに労力がいるだろうし、グランツと二人で話があるっていうなら多少の時間ならいいのか?


「まあ、そう言う事なら……少しだけ」


「それじゃあマリアの事お願いねー」


「お、おい、ちょっと待てって! って、俺まで担いで行くんじゃねぇ! 」


「それじゃあマリアごゆっくりー」


「待て、まって! とりあえず降ろしてくれー!」


 イザベルはそう言うと、片手でグランツを担ぎ残りの二人を一抱えにして部屋から降りて行った。

 そう言えばイザベルはバトルアックスを振り回しまくって暴れる様な超パワー型の人だったわ……見た目が意外と華奢なのでそんなことすっかり忘れていた。



 俺は少しぽかんとしながら、二人プラス荷物二人が出て行った扉を眺めていた。

いつも読んで頂きありがとうございます。

次回も月曜日投稿になります。

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