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召喚失敗勇者の異世界放浪旅  作者: 転々
第二章

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失敗勇者と散策

 トマは凄い!

 何が凄いかと言うと、なんでもすごい所が凄い。 剣術も魔法もギルマスとの試験を見たらわかる通り、どちらも一流だと思う。

 ギルマスは元々白金級だったし、それを考えたとしてもいきなり銀級になれるなんて始めてみた。

 それに、森で出会った時から何故かトマの事が気になってるんだよね。たぶん、私の中に流れる四分の一だけど獣人の血が何かを感じ取っているんじゃないかと思う。

 獣人はある程度種族によって違うけど、基本的に強者に対して思いを抱くことが多い。見た目が少し残念な一部の亜人種でも、力があれば獣人の嫁を何人も侍らせている人も居る。例えばオークなんて、見た目は太っているし基本的にあまり容姿は良くないけど、過去に金級のタンクだった人が何人も奥さんがいるって言ってたしね。

 トマは容姿も良いしカリスマもある気がするし、何故かトマと一緒に居ると気分が高揚するんだよね。

 うーん、ちょっとイザベルにこっそり聞いてみようかな。あ、後グランツにもトマを何とかチームに入れられないか聞いてみよう。そうすれば、トマと一緒に……じゃなくて、チームのレベルアップにもつながるからね。




 冒険者 鉄の盾 マリア

 




 宿についてグランツが女将さんに俺が泊まる部屋を取ろうとしたら、今は満室になってしまっているとの事だった。


「すみません。しかし、今の時期だとどこも普通の部屋は満員になっているかと……」


「あーそっか、祭りは明日位になるんだっけ? 」 


「ええ、そのせいで一般宿泊用の部屋は皆埋まってしまっておりまして……特室なら空きはあるのですが……」 


「祭りって? 」


「そっか、トマは知らないよね。祭りと言うのはね……」


 マリアに祭りについて詳しく聞くと、祭りはユピリルの街に三か月に一回やってくる船団がこの街に到着する日の事を言うのだという。


 船団が運んできた物資を買う商人や、船団の商人たちに物資を売りに来る近隣住人や商人がやってきて、この街の商人たちは屋台などを出して外から来る人達向けの商売をする、街中がお祭り騒ぎになる日だって。


 そして特室の言うのは、普通の人が借りる部屋とは違いかなりこの宿の最上階にある高級な部屋で、身分証が必ず必要で値段も銀貨五枚とかなり高額だったが、とりあえず部屋を見せてもらう事にした。

 

 流石銀貨五枚という部屋だけあって主寝室が一つに一人用の寝室が三つ、皆が集まれるような大きな部屋があり一室単位での借り上げなので何人泊まっても問題ない――問題はないがベットは五人分しかなく、キングサイズの巨大なベッドに別室の三部屋にシングルが一つずつ置いてある感じだ。

 部屋に飾られている調度品も俺みたいな人が見ても高級な物だろうと思ってしまうようなものが置いてあり、ベットやソファーなどの家具も見た感じ良さそうな感じだ。


 そう思うと普通の部屋が鉄貨三枚の三千円なので、銀貨五枚で五万円と言う金額だがそこまで高いようには感じないな。

 感覚的には、高級ホテルのスイートルームっぽい感じの大人数用って感じかな? 恐らく貴族の家族や大商人家族用が借りるように作られた部屋なんだろうな。


 それに今は懐も温かいから、とりあえず祭りが終わるまでの三日間部屋を借りることにした。


 受付に戻り三日分の銀貨十五枚と先ほど発行してもらった銀等級の身分証を渡し、一旦グランツ達と別れ夕食時に食堂で集合することになった。ちなみに、銀貨五枚は部屋代だけで料理は別料金だということだ。


 そして先ほどの特室と呼ばれる部屋に戻ると入り口に少年が立っていて、彼はこの部屋付きで雑用などをやってくれるとの事だ。

 

 とりあえず部屋までやって来たが……そう言えば俺は特に荷物を持っていない――というかガーネットとの戦闘後にそのままここに来てるから何もないんだった。

 入り口の少年にこの辺りで服や雑貨、それと一応装備品などが売っている店を聞いて出かけようとしたのだが。


「あれ?どこか出かけるの?」


 階段を降りて店を出ようと扉に手をかけると、後ろから声をかけられ振り返る。

 そこには武具を付けずに普段着の様な服を着たマリアが居た。

 

「ええ、師匠に着の身着のままで連れて来られてしまったので、替えの服とか色々足りない物が多いので」


「なら私が一緒に行ってあげるよ! お店の案内しもしてあげられるよ!」


「それじゃあじゃあお願いしようかな」


「やったー! ちょっと待っててね、イザベルに伝えてくるから! 」


 そういって、ドタバタとあわただしく階段を上って行った。

 まあ、マリアがいてくれれば道に迷うことなく帰って来られるし、ここを拠点としている冒険者なのだから色々お店も知っているだろうしね。


 それにしても、そんなに買い物が楽しみなのかな? まあ、お祭り前らしいから色々な店が出ててそれが見たいだけかもしれないね。


「はぁはぁ。お待たせトマ! 行こっか!」


 よほど急いできたのか、息を荒げてながら少し頬が赤い……そこまで買い物が楽しみなのか。

 そんなことを思いつつも、マリアと共に街に繰り出し。


 

 街並みはキザオカの街とは少し違い、道路は石畳ではなく砂利のような物が引かれ、商店のような建物ですら大体二階建てだ。

 そしてこの街には一応ではあるが外壁はあるが、海側はすべて港になっていて主要な建物すべて海側に寄っており、高さのある建物の殆どがそちらにある。


 日本人の感覚としては、海側にそんな建物が密集していたら津波や高潮が来た際に全て流されてしまう気がするんだけど……気になるからちょっと聞いてみよう。


「なあマリア、何で海側にばかりあんな建物が多いんだ? 」


「え? うーん、変なのかな? この街は昔からあんな感じだし、他の漁村のような所も大体あんな感じだよ? 」


「高潮とか大きな波が来たりしないの? 」


「高潮がよくわかんないけど、たまに大きな波はあるよ。あるけど、問題になったことは無いんじゃないかな? 私も冒険者になってからここに住み始めたからよくわかんない」


 そんなものかな? まあ、日本みたいに地震が頻繁に起きたりするみたいじゃないから、その辺りは大丈夫なのかな?


 そんなことを話して奥の方に大通りが見え始めた頃、美味しそうな匂いが漂って来た……なんだ? この空腹を誘うような懐かしい香りはまさか!


「マリアこの匂いって」


「良い匂いがするね。たぶんこれはクラーケン焼きだね! いってみる? 」


「行こうか! 」


 クラーケンと言う事はイカ焼きか! 懐かしいな、夏祭りでは結構値段がするんだけど大体いつも食べてしまうんだよな……この醤油の香ばしい匂いに負けて。


 マリアと共に少し早足で匂いの元へと向かうと、大通りのそこかしこには、白っぽい身に醤油をかけて焼いたクラーケン焼きの串を持った人々がそこかしこに歩いている。

 その人達がきた方向に視線を向けると、そこには人だかりが出来ている。あそこがクラーケン焼きの店……って、なぜあんなものがこの世界に。


「あ、あれってのぼり? 」


「そうだよ? この辺りだとクラーケン焼きみたいな儲かってる店なら上げてるよ? トマはあんまり見たこと無かった? 」


「あ、うん、そうじゃないんだけど、何か違和感が……」


「そう? 」


 いやいやいやいや!この中世ヨーロッパみたいな街並みに日本の店先とかにあるようなのぼり旗があるから、違和感が物凄いんですけど!過去の勇者が広めたのかもしれないけど……それでも違和感が半端ないよ。


「そんなことより、早くクラーケン焼きに並びましょう! 」


「わかった、わかったから引っ張るなって!」


「良いから早く! 」


 俺が違和感を感じて立ち止まってしまっていて、マリアはこの暴力的とも言えるかぐわしい匂いに耐えられなくなった様で、俺の手を掴みグイグイと人波を掻き分けていく。

 まあ実際わからなくもない、醤油が焼ける匂いは何故か食欲をそそられるからね。

 

 ただね、引っ張られている勢いで気が付かなかったけど、マリアが俺の腕に抱き付くような形でひぱって言ってるから腕幸せな感触が……ちらっと様子を伺って見るが、特に気にしている様子も無いから特に言う必要はないかな……うん、俺が腕を組んでるわけじゃくてマリアから組んでるからね。


 マリアに引っ張られクラーケン焼きの行列にたどり着きその最後尾に並ぶが、既に数十人の人が並んでいて内心うへぇとおもっていたが、思っていたより列の進みが早く思ったより早く購入が出来るみたいだ。


 暫く並んでいると直ぐに俺達の順番になり、俺とマリアはそれぞれ一本ずつクラーケン焼きを買った。

 流石にここは案内もしてくれている事だし、マリアの分は俺が出してあげた……まあ、銅貨三枚という値段だしこの程度はね。


 予想外に懐かしいものに出会えたのだが、その後はマリアおすすめの服屋や雑貨や巡りをした。

 この世界で売っている服は基本的にかなり高めで、大体の人は中古品を買ているらしい。

 一応既製服の店にも顔を出してみたんだけど、安い物でも銀貨一枚からでかなり高いから諦めて中古をの服を見て回る。

 流石に下着系は中古は嫌だったので、かなり高めだが一週間分買い込んだ……因みに下着ですら鉄貨二枚からという高級品だが仕方がない。


 俺が何故か下着だけは頑なに中古を嫌がったのかマリアには理解できなかったみたいだけど、現代日本の頃から感がると流石にそれは履けないって。


 他にも普段着になる服や雑貨系を買った後、革の服程度の防具しか持っていなかったので――この辺りで出したら色々問題になりそうな装備しかない――が、その辺りの装備は祭りの時に買った方が掘り出し物があるとの事で明日以降に回すことになった。

 因みに買った服や雑貨関係は、流石に大量に買ったので無料で宿まで届けてくれるらしいく街中でアイテムボックスを使わないですんだ。

 アイテムボックス自体は問題ないと思うんだけど、よくそれ自体が問題になるファンタジーが多かった気がするから、他の人の容量などが分かるまである程度自重しておこうと思ったのだ――今さら遅いかもとは思ったけど一般人に知られるのは少し面倒な気もしたからね。


 その後、大通りの露店を眺めながら買い物を終わらせて宿へと戻った。


 部屋に戻ろうとしたところ、マリアが俺の部屋が見たいと言われたので一緒に部屋へと向かうと、入り口で部屋付きの子に「中でお客様がお待ちです」と言われ、二人して顔を見合わせた後部屋に入る。


「よう!マリアと一緒にどこいってたんだよ」

「邪魔してるよ、流石にいい部屋だな」

「……お邪魔してますー」

「トマ! 遅かったじゃない、マリアなんかとどこに言ってたんだ? まあいいそんな事よりも聞いてくれ! お前と話をしていた超越――」

「ちょっと待てコンラート、その話はあとで良いだろ」


 部屋に入るとグランツ達た勢ぞろいして待っていた。みんな好き勝手にしているが、一応ここって俺の泊まってる部屋だぞ……まあ、良いんだけど。

 約一名は魔法の事を搬送としていたけど、グランツに止められていた。


「それで、何しに来たんだ?」


「ああ、飯を奢るって件でな――トマ、この部屋で飲み食いするのはありか? 」


「……は? なして? 」


「いやな、宿の食堂だと普通の食事とかは出てくるんだけど、この部屋みたいなところだと少し値は張るがいい物を出してくれるんだと。まあ、貴族やそれなりの商人が泊まるような部屋だからその辺りもちょっと違うらしくて……それで、いいか? 」


「まあ、グランツ達のおごりだからその辺りは気にしないが、金は大丈夫か?」


 奢ってくれるのは有難いが、流石にそのせいで金欠になりましたとかは流石に後味が悪い。

 それに、どの程度の値段なのかは定かじゃないけど、結構高いだろうし――いいのだろうか?


「その辺は気にするな、トマのおかげでかなり設けたから問題ないが……マリアちょっとこっちにこい」


「何よ一体……え……う、うん……いいの?……うん、わかった。一枚で良いのね?」


 グランツが手招きしてマリアを呼んだあと、二人でこそこそ何か話している。

 漏れ聞こえてくる言葉じゃ何を話しているか分からないけど、時折こちらをチラチラ見ながら話しているのが気になる。

 最後にマリアが銀貨を一枚グランツに渡したのが見えたけど、もしかして全員銀貨一枚払ってここで食べるつもりなのか? よっぽど豪勢な食事が出てくるのかな?


「よし!そうと決まれば俺は受付にこの話をしてくるぜ! トマは飲み食いできない物は特にないか? 」


「特にないかな? ああ、あんまり強い酒とかは飲んだこと無いから、問題がありそうなのはそこくらいかな?」


「オーライ! それじゃあちょっくら言ってくるわ」


 そう言ってグランツは急ぎ足で部屋から出て行った。

 何かちょっと変な気もするけど、他のメンバー自体は特に変わった様子はなさそう……ん? 何故かマリアが視線を向けると顔をそむける、なんだ?


「もういいかな? それでなトマ! さっきまでずっと考えていたんだけど……」


 コンラートが興奮した様子で超越魔法について気が付いたことを俺に話しかけてくる。

 なんだろう、魔導士って皆こう言った感じなのかな……コジーラさんも同じ感じだったし。

 あ、でもアルルさんは違ったか。

 うーん、ちょっとうざったいけど付き合わないといかんわな。


 そして、コンラートの話は宴会が始まるまで永遠と続くのであった。


次回も月曜日更新になります。


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