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召喚失敗勇者の異世界放浪旅  作者: 転々
序章
12/220

野営訓練前編 ~問題発生~

 ハルがどこかの貴族のボンボンを酒場に連れてきた。

 ミモザの魔道具を買うのを手伝ってもらったらしいが、貴族がそんなことに手を貸すかね……何か裏がありそうで嫌な感じだ。

 まあこの国で、私たちにちょっかいを出してくるような貴族はそうそう居ないけど全くいないけど、警戒しておく必要はありそうね。

 魔道具が手に入りミモザの腕は治ったが、あの貴族からの接触はなく問題は特に起きていない。

 本当に、ただのお節介であの件に介入してきたのであればとんだお人好しだ。

 例の貴族は何故か騎士団に入り浸っているとあの子が言っていた、何かわけがあるのだろうがよくわからない。

 みんなでお礼に行くが、あの貴族は騎士団に混ざり訓練していてるし、ミモザは飛びついてアイリスに怒られているだけだし私の思い過ごしなのだろうかと思ったら、騎士団長に呼ばれて別室に連れて行かれた……ここか、ここで何かあるのね。

 別室では何故かあの貴族の魔物討伐訓練に連れて行くことになったけど、トラオウは何か気が付いたみたいね、流石は野生……じゃなくてリーダーね。

 依頼料は内容の割りに良いけど、簡単すぎて逆に怪しいく思えてくるわ。

 何かトラブルが起きなければいのだけれどね。


byアルル

 ヒューズさんとトラオウさんの話が終わり部屋を出た。

 準備はアイリスにやらせるから、シクラ殿は訓練をするようにと、ヒューズさんに言われ俺は訓練に戻っていく。

 

 はぁ、いきなりかよ。

 いつかは、魔物との戦いをしないといけないとは思っていたがけど。

 急に森に行けと言われるし、しかも一週間の野営しながらとか、どんだけハードなんだよ。


 ため息を付きながら訓練場に戻っていくと、騎士団員に声を掛けられて事情を説明すると、騎士団員達は驚いてはいた。


「シクラ様は、もうそんな所まで行かれたんですね。」

「いや、これから森に行くんだけど。」

「そういう意味ではなくてですね。その訓練は、騎士団員見習いが騎士団員になる為の最終試験なんですよ。」


 騎士団員曰く、一週間の森での野営訓練は、準騎士団員が騎士団員になるための試験になっているらしい。

 普段は、騎士団員数人が随員していくらしいが、今回のように騎士団員ではなく白虎の人達がついてくるのは今までにはなかったようだが、基本十数人の見習いに騎士数人の所が、俺は一人なので人数が少なくても野営が出来て戦闘も出来るとなると冒険者になるんだろうとの事だ。

 それに、今後の俺の行動を考えるのならば、冒険者の様な野営方法を覚えていた方が今後の為になるからじゃないかと。


 そうだよな、騎士団の野営は戦争や大規模戦闘用の野営訓練であって、旅をするための野営ではないので、その辺りは冒険者や商人の方式を覚えたほうが得策だろう。


「まあ、とりあえず訓練をしますかね。今晩は出発だから、ほどほどにしておかないな。」

「シクラ様、騎士団長より訓練はいつも通りやるようにと言伝を受けていますので、いつも通りガンガン行きますよ。」

「まじかよ、どんだけ鬼畜なんだヒューズさんは! 」

「いや、シクラ様の事を思っての事だと思いますよ。戦闘でくたくたでも野営は必要ですし、そんな状態でも見張りをしないといけない事もあるかもしれませんしね。」


 騎士団員の言ってることはわかるけど、初めての街の外で、しかも魔物が出る森での野営訓練なのに、一切の手加減がないヒューズさんは、やはり脳筋鬼畜騎士だな。


 訓練を終えて城まで戻ろうとしたところ、白虎の人達に呼び止められた。


「おう、ボウズ。どこに行くんだ。」

「いやな、一回城に戻ろうかと思ったんだが。」

「あん? ボウズの訓練が終わったら、そのまま出発と聞いていたんだが。」


 トラオウさんは首をかしげてこちらを見ている。

 あれ。そう言えば今晩からとは聞いていたが、いつから行くかなんて聞いていなかったな。

 

「今らかなのは良いけど、俺は準備とか装備を何も持っていないから、アイリスが準備してくれているっていうから、城の準備してあるもんだと思ったんだけど。」

「ボウズの装備一式は、俺がヒューズから預かってるぞ。ほれ。」


 トラオウさんは、俺に二つの袋を投げて寄越した。

 一つは、服と皮鎧が入った袋で、もう一つは食料などが入った背嚢だ。


「とりあえず、鎧い着たらここにまた来てくれ。」


 俺は了解と言いながら、更衣室で装備一式を着替えてくることにした。

 

 戻って来た俺を、ハルさんがクスクス笑っている……まあ、仕方ないよね。

 今の俺は、冒険者の人達が着ているような麻の服に、ぴかぴかの新品の皮鎧を着ていて、どこから見ても新人丸出しの冒険者に見えるだろうな。


「いやー初々しい位に似合ってるね、どこからどう見ても新人冒険者に見えるよ。」

「シクラが着ると、新人冒険者と言うより冒険者に貴族の子息って感じに見えるわね。」

「ハルもミモザも、そのくらいにしてあげなさい。特にミモザ、あなたは今回が復帰初の戦闘もあるんですから、少しは緊張感を持ちなさい。」


 二人は俺の緊張を解そうとしてくれていたようだが、アルルさんが二人を諫めて気を引き締めさせる。

 俺は今回が、初の魔物討伐で少し緊張していたが、トラオウさんがポンポンと肩をたたきながら笑う。


「その辺にしておけ、出発するぞ。ボウズ、街道沿いは基本魔物は出ないが盗賊は出るから気をつけろ。」


 締める所はしっかりと締めるのは、やはりトラオウのようだ。

 移動中に魔物が出た際の隊列は、トラオウさんとミモザさんが前衛、俺が中衛、ハルさんとアルルさんが後衛との事。

 トラオウさんとミモザさんは剣士、ハルさんは狩人、アルルさんは魔導士との事。

 前衛組が牽制して、アルルさんが魔法を使い、ハルさんは周辺警戒しながら援護に回るとの事。

 盗賊相手なら、俺は戦闘に加わらず後衛組の護衛。魔物相手なら、魔物の種類によって俺が戦闘する感じにするとの事。

 盗賊は力量がわからない為だが、魔物の討伐は今回の主な目的の為、率先して討伐を行っていく。

 注意事項として、トラオウさんは大剣を振り回すため、むやみに近寄らない事を念押しされた。

 目的地のマヤシカの森は、王都より南へ一日程歩いたところにあり、駆け出しの冒険者の討伐や採集の目的地でもあり、魔物は弱く駆け出しにはもってこいの場所との事。

 ただ、奥地に向かえば中堅の冒険者でもてこずる魔物も居るとの事なので、気を引き締めて行かないと怪我するぞと脅される。


 ある程度説明を受けて、一同森に向かって行く。

 練兵場から南門へ白虎と一緒に歩いていてると、色々な冒険者から皆声を掛けられていた。

 歴戦の冒険者の様な人から、中堅の冒険者まで様々な種族の人達から声を掛けられ、駆け出しの冒険者からは憧れのような視線を向けられている。

 少し気になったので、トラオウさんに聞いてみる。


「白虎の皆さんって人気あるんですね。」

「人気があるかどうかは知らんが、一応俺たちは白金の冒険者だから目立つんだろうな。それに、この街には一時期パーティを組んでたやつが居るから、その辺りから色々聞いてるんじゃないのか。」


 白金の冒険者、それは冒険者の再上位ランクである。

 まえにアイリス達から、冒険者の等級に付いて聞いていたことを思い出す。

 

 冒険者のランクは、薄銅、銅、鉄、銀、金、白金で、基本的には通貨と同じ名前で呼ばれるが、最上位はなぜ白金である。

 白金が最上位なのは、この世界ではそれよりもはるかに強者の勇者がおり、勇者が聖金等級に当たるためである。

 一般的に薄銅は駆け出しの初心者で、基本的に雑用や運搬などの仕事ばかりで、討伐系の仕事は一切ない。

 銅になると始めて討伐依頼があるが、今回俺達が向かうマヤシカの森など近場の弱い魔物討伐や採集依頼ばかりである。

 鉄になると、一端の冒険者として扱われることになり、討伐や護衛など様々な依頼が受けることが出来るようになる。

 そしてこれより上のランクが上位ランクとして扱われ、基本的には一般的には一定以上の依頼をこなすと昇格試験が受けられる。

 この昇格試験は、上位ランクのパーティが監督として随員し、その結果次第で合否が決まる。

 昇格試験は、現在のランクの一つ上の依頼受注し、達成すれば合格となる。


 因みに騎士団を退団した者が冒険者になった場合、準騎士団員は銅に騎士団員は鉄ランクとして扱われる。

 個々人の実力差にばらつきがあるため、元騎士団員は一度既定のランクになる。


 白虎はランクは白金で魔王討伐参加もしており、実績もある一流のパーティで注目されていたわけだ。

 そんなわけで、色々と話しかけられながら南門に何とかだどりつく。

 南門には二人の衛兵が立ち番をしていて、横には小屋が建っていて中に人が居るようだが、こちらを一瞥しただけでそのまま門を通過できた。


 衛兵の横を通り過ぎ城壁の外へ歩いてくと、そこには元の世界では考えられない様な広大な土地が広がっていた。

 周辺はかなり先まで平坦な土地が続いており、遠くの方に森があって、その奥にかなり標高がありそうな山が見える。

 俺がその山に注視していると、あの山はサジフ山という名前で、大陸で一番大きな山で周りには竜や強い魔物の巣窟になっていて、金以上の冒険者以外は特別に許可がないと立ち入り禁止なんだとか。


 目的にのマヤシカの森は、門を出てそのまま南へ半日街道沿いへ進むと小さな村があり、そこから数時間歩いたところが森の一口で、今日は時間的な問題からその村で宿泊する予定だとの事。


 街道沿いは舗装されていないし、土がむき出しになってでこぼこしていて歩きにくい。

 今回は徒歩での移動だけど、馬車でこの道を通るとなるとかなり揺れそうで遠慮したいな。

 適当な隊列を組みながら、村に向かう道中する事が無いから白虎のみんなと色々と話しながら歩く。

 

 白虎は、結成して既に十年以上経過しているパーティで、元々トラオウさんとミモザさんは元々同じ村出身だそうで、他に二人程メンバーが居たそうだが他の人は引退してしまったらしい。

 ハルさんとアルルさんは駆け出しのころは別パーティだったが、引退する者や亡くなったりする人が出たりで、パーティを渡り歩いている間に白虎に合流したそうだ。

 合流した時はまだ鉄の冒険者だったけど、前衛と後衛がバランス良くいるパーティーになったから、順当に依頼をこなしてランクを上げて行き、魔王討伐戦の功績で今の白金等級の冒険者になったんだってさ。

 駆け出し時代、宿に泊まれず野宿や馬小屋暮らしをした話や、スライムに剣を溶かされ逃げだしたとかいろいろ話を聞きながら進み、なんとか日が落ちきる前に村に到着した。

 

 村には一応宿があるようで、今日はそのに泊まり明日の朝出発する予定になった。

 宿は一人鉄貨一枚と安めの様な気がするが、部屋二階で室内にはペラペラな布団が並んでいるだけのかなり質素な感じだ。

 部屋に荷物を置いて、一回の酒場のようなところに集合する。

 ウェイトレスなのか、女の子が硬いパンと野菜のスープが出てくるが、パンはそのままではかなり硬く、スープに浸しながらじゃないと食べられないくらい硬いのに、スープはくず野菜が少し入っただけで味も薄く美味しくなかった。

 このパンとスープは宿泊客へのサービスとの事なので、これ以外にも頼めよって事なんだろうな。

 一応メニューのような板切れが机に置いてあり、トラオウさん達は酒や他の食べ物を頼んでいたが、俺は注文することが出来なかった。

 なぜなら、俺はこの世界の文字が読めないのだ。

 この世界に来た時、始めはすぐに帰れるからいいやって考えていたし、城に居る間や練兵場で特訓している間も文字の読み書きの練習なんてしてなかったから、メニューなんて読める訳がない。

 何も注文せずメニューを見ている俺に、トラオウさんが話しかけてくる。


「なんだボウズ、なにか注文はしないのか? 明日からは野営になるからまともな物食えないから、今のうちに食っておかないとつらいぞ。」

「えーとですね、何というか、俺文字が読めないんですよね……。」

「おいおいマジかよ、駆け出しの冒険者じゃあるまいし……まじか? 」


 俺はうなずいて答えるが、四人とも驚いたてマジかという感じで顔で見合わせている。

 この世界の識字率はどの程度かわからないが、この様子だと意外と高いのかな。

 とりあえず料理に付いては、アルルさんが金額と何の料理家教えてくれたけど、今後の事を考えると文字の勉強が必要になりそうだね。

 この酒場の料理は、森が近い事もあり肉料理も結構あるが、基本的には焼くか煮込むものしかない。

 少し臭みがある肉が多いが、食べられないほどではない……が、塩もあまり使われておらずただ焼いただけの肉はあまり美味しくなかった。

 城での食事が、どれほど恵まれていたかよくわかる食事だな。

 飲み物は、エールとミードと乳酒しかないのでエールを飲むことにしたけど……みんな美味しそうに飲んでいるが、炭酸がぬけて冷えていないビールのようであまり美味しくない。

 微妙な食事を終えて部屋に戻り、明日からの予定すり合わせようとするが、部屋に戻る途中トラオウさんに声を掛けられた。


「大体の事情は聴いているけど、文字は覚えておかないと今後大変だぞ。俺達も駆け出しの頃は読み書きはほとんどできなかったけど、冒険者は読み書きが出来ないと依頼表を読めないし、報酬を誤魔化されたりするから書けなくても良いから読めるようにはしておけよ。」

「そうですね、城の中だとそもそも読み書きが必要なかったので気にしてなかったですが、戻ったらその辺りを勉強しておきます。」


 そう言うと、トラオウさんは俺の肩をたたき部屋に入って行ったので、俺も続いて入って行く。



 明日は、早朝に装備を整えて森に入りある程度進んだら、野営できるポイントを探しながら魔物の討伐をする。

 野営地を見つけるまでは、今日と同じ隊列で進みながら魔物討伐して、野営地を見つけたらハルさんとアルルさんが俺と一緒に森を探索する予定になるそうだ。

 トラオウさんミモザさんは、野営地の留守番でいろいろと準備がひつようなんだと。

 この森は、動物型の魔物が多く生息していて、変な風に倒さなければ食料に困ることは無いそうで、倒した魔物は解体して持ち帰り食事にするので注意するようにと言われた。

 この世界の魔物は食べらるのか、ラノベのように美味しいといいな。

 

 簡単に説明をしてもらい、明日に備えて就寝することになったが、硬いベットに肉ばかりの食事で向け焼けする体……俺が眠れたのは結構時間が経ってからだった。

 

 




















 

いつもの如く、読んでくださりありがとうございます。

もう少しで第一章が終わります。

第一章は準備編、第二章た旅たち編になりようやく冒険の旅が始まりますので、今しばらく準備編をお楽しみください。


更新は相変わらずの、月曜日になります。

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