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7話 『デュエルストーリー ~世界一ピュアな2人~ 』の世界で勇者リュシアンとインパクトあるファーストコンタクトの為木の上で待機中

 私は今、新たな異世界に来ています。

 短時間で2つも異世界に来ちゃいました!やったね!

 ……帰りたい。

 只今、木の上で落ちない様に必死にしがみついてます。

 勇者リュシアン一行が来たら落下するだけの簡単な仕事です!

 ……私、何やってるんだろう。

 結局何なの?つまりあれでしょ?

 勇者とくっつくヒロインがビッチなのが嫌なだけだよね。

 その為だけに、決まっていたらしいストーリーが変更したらしいけど……

 ……あれ?ちょっと待って。

 私の役は聖剣の巫女で、リュシアンを惚れさせるんだよね。

 それ、ヒロインがエミリアから私に変更になるって事にならない?

 なるよね。なるなる。普通に考えて、勇者が惚れた相手がヒロインだよ。

 帰りたい。

 凄く、物凄く帰りたい。

 異世界に来たらヒロインになりました!とか、喜ぶ人がやればいいよ。

 やだ、そんな、こんな私がヒロイン……?とか自己評価は低いけど周りからは君しかいないとか言われるようなガチで可愛い子がやるべきだよ。私はそれを見る側の方がいい。健気で頑張るヒロイン良いよね。そういうストーリー王道で好き。ただし見る側で。

 でもあれだよね、存在感が凄いから連れてこられたって、理由自体が凄いよね。

 だけど、言われてみれば小さい頃からよく授業中当てられることが多かったな。また当たったよーとか、よく当たるよねーとか話のネタで済ましてたけど、あれってもしかして、魂が異世界人だからちょっと目立ってたって事?

 目立ち方が微妙すぎる。

 無理でしょこれで惚れさせるのって。

 まあ、一応巫女として?現れてはみるけど、絶対に惚れられるなんてありえないって分かれば、さっさと聖剣渡してこのイベント終わらせるでしょ。

 でも、私の登場が木から落下って酷い。

 こっちの異世界に連れてこられたかと思えば、ここで待てって1人残されたんだよね。相変わらず詳細説明なしだし。

 この木って村で一番大きな木で、しかも私がいる場所っててっぺんに近い。

 ざっと見て、建物で2階以上の高さなんだよね。

 落ちたら怪我、打ちどころが悪ければ死んじゃいそうなんだけど。

 勇者一行が来ても落下する勇気がない。

 むしろ自力で降りられる気もしない。

 もうこのままスルーでいいかな。

 無理だったら諦めてくれるよね。

 …………あ、もしかして、あそこにいるのって勇者一行かな。村の入口からヴィルドさんに案内されて何人かがこっちに歩いてくる。

 でも申し訳ないけど、この高さで落ちるのってやっぱり無理。

 都合よく勇者リュシアンが助けてくれる保証もないし。

 このまま、通り過ぎるのを待っていよう。

「あ!あそこに誰かいる!」

 いきなり見つかったよ!

 ここ、割と木の葉っぱで見えにくい気がするんだけどよく見つけたね!

 ど、どうしよう。このまま聞こえなかったふりしてたらダメかな。

「もしかして、降りられないんですかー!」

 あながちそれも間違ってない。

 落下待ちしてますっていうのが実際の所だけどね。

 やる気はなかったけど、見つかった時点でスルーしてなかった事には出来なくなったよ。

「待っていてください!今助けに行きます!」

 マジか。

 待っていれば落ちずに済む……?

 良かった!それがいいそうしよう!

 初対面でインパクトが欲しかったって事なんだから、村に来たら木の上に女の子が!っていうのは十分インパクトあるはず。

 呼びかけてくれた声に返事を返そうと、少しだけ身を乗り出して下を見た。

 うわ高い。

 真下を見るとさらに高く思……


「え?」


 いきなり絶叫マシンでよくあるあの落下する感覚が体を襲ってきた。

 落ちてる!

 ぶつかるっ!

 …………

 ………………

 ……………………あれ?

 落ちたよね。

 目を瞑っちゃったけど、あの落下特有のふわっと感があったし。

 衝撃もあるにはあったけど、なんか痛いとまではいかなかったような……


「大丈夫?」

 頭の上からイケメンボイスが聞こえてきたので、思わず固く瞑っていた目を開けた。

「間に合ってよかった。怪我はない?」

 あ、今私あれだ。なんだっけあれ、あ!お姫様抱っこってやつされてるんだ。

 落下した私をキャッチして助けてくれたんだ。

 ……腕、大丈夫なのかな。落下した人間キャッチって怪我するよ普通。

 魔王に挑む勇者一行だし、これくらいじゃ腕にダメージないのかも。全然平気そうな感じだし。

 とにかくお礼言わなきゃ。

「あ、ありがとうござ……いま…………す」

 きちんと顔を見てお礼を、と思って見上げた。そこに居たのは、

 イ……イッケメーーーーン!!

 ヤバい何この人イケメン過ぎる!そういえば声もイケボでしたね!

 キラキラ光が背景に見えそうだよ!こんな人いるんだびっくりした!

 金髪のサラッサラな髪が風が吹いてるんだか吹いてないんだか分からないけどなびいてキラキラしてるし、碧眼もこれまた吸い込まれそうな目でなんて言うかヤバい程イケメン……ん?

 金髪碧眼のイケメンって、確か……

「リュシアン、だ……」

「え?」

 あ、ヤバ。声に出してた。

 

 


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