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2話 牧場を任される

 まずいことになったな。

『ファンタジア・ファーム5』と同じ流れになるなら、ここは牧場をもらう流れだ。


 俺の下半身を見て逃げてしまった女の子。

 あの子はミーシャと言って、本作のメインヒロインだ。


『ファンタジア・ファーム5』では、記憶喪失になった主人公がミーシャに助けられて、その後、流れで牧場経営を任されるようになるって感じだったと思う。


 記憶喪失の主人公ってのは、恐らく俺の事だ。


 ゲームでは当然さっきのような事態は、起こりえないわけで。


 えーとつまり……これどうなるんだ?


 下半身露出した変態として、警察に突き出されてゲームオーバー?

 警察なんてものはいないから、衛兵かなんかに突き出されるのか?


 落ち着け……確かに俺は女子の前で下半身を丸出しにしてしまった。

 ただここは屋内だ。

 人の家なので着替えていたという言い訳はできないが、股間に何か入って来たなどと言えば言い訳はできる。


 ただ、ミーシャへの好感度はかなり下がった可能性がある。

 必死に故意ではないと弁明するか。

 ミーシャは性格の良い人気キャラだったが、これがゲームでなく現実であるなら、性格が変わっている可能性もある。

 自分に下半身を見せた男に牧場を任せようと言う気になるのだろうか?


 いろいろ悩んでいたら、コンコンと扉がノックされた。


「す、すいません。何か間が悪い所に入ってしまって、あの入っていいですか?」


 外から可愛らしい女の子の声が聞こえて来た。

 ミーシャの声だ。何度も聞いたので聞き覚えがある。


「あ、うん。いいっすよ、入って」


 俺がそう返事をすると、扉が開き、外からミーシャが入ってくる。

 少し俯いて顔を赤くしている。

 正直かわいい。

 俺のアレを見て顔を赤くしているんだと思うと……

 って俺は何を考えとるんじゃ!


 俺はぶんぶんと首を振って邪念を消す。


「あの、始めまして、こんにちは。私はミーシャ・クルールといいます。どうですか体の調子は? 森に倒れてらしたので介抱していた所なんですけど」


 こういう設定だ。

 記憶喪失の状態で森に倒れてたんだったな確か。


 以外と普通に接して来たようで安心だ。

 脱いでた理由も追求してこないようだ。

 元もこんな感じで接して来た気がする。

 正直やり込んでいたけど、本編事態は一周しかしてないから、細かいところは覚えてないんだよね。

 俺、あんまゲーム周回するタイプじゃなくて。

『ファンタジアファーム5』は周回なしで凄いやり込み要素があるゲームだからなぁ。


 おっと思考がそれてしまった。

 確か次、名前を聞かれるはずだ。

 記憶喪失だが、名前だけは覚えてるって設定だったはずだ。

 ゲームだとピタッと止まって、『あなたの名前を教えてください』って書かれた画面が表示されるはずだけど、現実では当然そうはならんだろう。

 聞かれたら普通に答えるか。


「えーと……お名前は何と言うのですか?」

「さい……」


 名前を言おうとしてやめる。

 この世界では海外みたいに名、姓の順番だったはずだ。


「タクマ・サイトウです」

「へー変わった名前ですねー。どこから来られたのですか? 何故森でお倒れになっていたのですか?」


 ゲームではこの場面、自分で口が動かせず、勝手に「分からない。何も分からない。名前以外何もわからないんだ」的な事を言ってたと思う。

 その後も勝手に口が動いて、話が進んで行くみたいな感じだった。

 この場合はどうなるのか。

 答えてみよう。


「日本から来た。森に倒れてた理由は分からん」


 正直に答えてみることにした。


「にほん? すいません聞いた事ない場所で。帰りたいですよね? 力になれることがあったら何でも言ってください」


 ミーシャちゃん、めっちゃ優しい良い子や。

 このゲーム。嫁を1人作れるようになっていた。

 俺は正直、発売前に見たキャラデザが、超が三つ付くくらい、好みのヒロインがいたので、その子を嫁にしたのだが、ミーシャちゃんも優しくて凄くいい。


 でも、これは少し困った。記憶喪失だということにしておけば良かった。

 記憶喪失だと分かれば、その後とんとん拍子に話が進んで牧場をもらえるのだが、ちょっと違う感じにしたせいで、話の流れが少し変わってしまった。


 修正するには……こう言えばいいかな?


「あー俺はあれだ。帰れないんだ。凄く遠い場所でな。うん。家もないし、すげーコマッタナー」

「そうなんですか……」


 ミーシャちゃんが非常に暗い表情になる。

 ちょっと、わざとらしかった気がするが。


「あのでしたらこの家にお住みください。この家、実は私のではあるんですが、現在誰も住んでいないのです。死んだ祖父が残した家なのですが、私は別の家を持っているので住んでないんです。一応持ち主は唯一の血縁者である私と言うことになっていますが。

 タクマさんをここに運んだのは、この家の方が近かったからなんです」


 おー、ゲーム通りの展開になって来た。


「え? 住んでいいって? そんなの申し訳ないよー!」


 ちょっとオーバー気味リアクション取る。


「誰も住んでいない家ですから、誰かが住んでいた方が祖父も喜びます」

「本当に住んでいいの? でも、ただで住むってのは、何だか申し訳ないなー」


 えーと確かこんな感じだったような


「えーと……無償で住むのがいやでしたら、1つ頼まれて欲しいことがあるのですが」

「頼まれて欲しいこと? 何?」


 いや、まあわかってんだけど。


「牧場を経営して欲しいのです」






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