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第8話『白&聖人vs.タルタロス』

「ところで……お前のそれ、なんなんだ?」

「これ? ああ、これは霊衣って言うんだ。幻想郷住民の力が、星に認められた時に星から与えられる加護の力……って言えばいいのかな」


 海斗の問いに、大和が答えると、それを白界が補足する。


「正確には、星の加護の力と霊衣の(オリジナル)になる人の持つ力……功績とか、影響力とかが具現化したものと、それを発現する由来(ソース)となる幻想郷住民の在り方」

「よく分かんねぇけど……俺たちもできるかな?」

「やってみるか。……んで、どうやって?」

「さあ?」


 白、聖人、幻真はそう言いながらも、なんとなく大和が霊衣を発動した時の様子をイメージする。

 由来となる自分の在り方……。

 大和が霊衣を顕現するに至ったのは、なぜか。感情の昂りが、霊衣の発現を促すのか?

 なら逆に、静の境地でも出せるのではなかろうか。そもそも、感情は関係あるのか?


 そう悩んでいると、白と聖人の手元にスペルカードが出現した。


「お? これか?」

「うーん……俺、なんで出ないんだ……?」


 3人のうち、1人だけ霊衣を入手できなかった幻真がそう言っている間にも、9人はパンゲアへと到着した。


『ほう、来客とは。カカ、これぁ傑作』

「え……」


 大地に降り立ったその次の瞬間、白と聖人は巨大な影に取り込まれた。


◇◆◇◆◇

「俺の城へ……ようこそォ!」


 そう言って、俺たちを取り込んだこの男はうるさく騒ぎ立てた。


「お前……何が目的だ!」

「さぁねぇ。俺ぁ召喚されただけなんで」


 聖人の問いに男は笑いながら朗らかに答えると、手元に剣を出現させる。

 その剣を振るうと、俺たちを飲み込まんと空間が襲いかかってきた。


「セイッ!」

「ラアッ!」


 俺は木刀を、聖人は真楼剣を振るって空間を斬り裂き、そのまま男へと向かっていく。

 俺と聖人の同時の刀の一撃を、男は剣で防いだ。


「挨拶が遅れたなァ……? 俺ァタルタロス! 原初の地獄だァ!」


 男……タルタロスはそう名乗ると、剣を高く掲げる。それと同時に、無数の亡霊が湧き出てくる。


「これは……!?」

「俺ァタルタロス! 地獄にして神をも幽閉する監獄! となりゃァ当然、アリャ俺の幽閉する神!」


 亡霊たちは収縮していき、やがてより明確に、人に近い姿となっていく。その数、何万、何十万……!


「いったい何体いやがるんだ!」

「聖人! よせ! 我武者羅に戦うな!」


 聖人は我武者羅に突進していき、呆気なく返り討ちにあった。


「くそッ!」


 俺は聖人を受け止め、タルタロスの方へ目を見やる。

 タルタロスの周囲にいる神たちはタルタロスへと向かっていき、やがてタルタロスの鎧となっていく。


「これぞ俺の霊衣ィ……監獄『奈落の幽閉塔(タルタロス)』!」

「くそッ! 俺たちも霊衣で対抗だ!」


 俺はそう言って、先程出現した霊衣のスペルカードを発動する。聖人もそれに合わせて、霊衣を発動した。


「勇者『雷光の怪力勇者(坂田金時)』!」

「勇者『試練の怪力勇者(ヘラクレス)』!」


 俺は手に出現した鉞を担いで、タルタロスへと向かっていく。

 黒い鎧に弓を持つ聖人は、弓に毒矢を番えてこちらに向かって構えた。


「ハッ!」


 それに対して、タルタロスは剣の切っ先をこちらに向ける。その途端、タルタロスの背後から2つの光の砲門が現れ、こちらを向いた。

 その砲門からの光を俺は前兆の感知で回避した──はずだった。


 俺の横を通り抜けていった光は、俺の背後から俺を貫いた。物理的に体を貫かれた俺は、思わずその場に倒れる。


「ガハッ!」


 もう一本の光を、聖人の放った矢が貫く。だが、その光は分散した後、そのままグニャリと曲がって聖人へと向かっていく。


「なにっ!?」


 聖人の肉体は、超技術の肉鎧と霊衣による黒い鎧で守られているにも関わらず、呆気なく貫かれた。


「グフッ……なんて威力だ……!」

「お前らァ……あんなかでも見込みのあるやつ選んできたつもりだったんだがァ……弱すぎないかァァァ!!??」


 タルタロスはそう憤激すると、剣を上へ掲げる。その瞬間、俺と聖人のそれぞれの上に砲門が出現した。


 その直後、砲門から光の砲弾が発射される──。


「カハッ! それでこそだ!」

「聖人! 合体(フュージョン)するぞ」

「ああ! 絆符『ミラクルフュージョン』」


 光の砲弾が過ぎ去った後。俺は超技術『エンドナイト』によって自身から放たれるオーラで硝煙を吹き飛ばし、聖人と合体する。


「「これが本来の、泊谷聖人だぜ!」」


 さらに、俺たちの霊衣すらも1つに合体した。


「「勇神『戦雷の怪力勇神(トール)』!」」


 霊衣によって爆発的に増加した速度で、タルタロスに連撃を叩き込む。

 殴るたびに俺達の四肢に霊衣としてついたそれぞれ三本ずつの光帯が籠手となって、さらにその威力を高める。


 だが、恐るべきことにタルタロスはそれに対して剣一本で処理しきっていた。

 さらに、あろうことかタルタロスの左足が俺たちの顎を蹴り上げる。


「うぐっ……!」


 その状態で、がら空きの俺の胴を容赦なく正拳で打ち抜いた。俺たちはその衝撃に思わず吹き飛ばされる。

 なんてめちゃくちゃな強さだ……!

 この強さ、ゼウス様にも匹敵するだろう。いや、もしかしたらそれ以上かもしれない。


 さっきの光の砲撃といい、さっき俺たちが一体を防ぐのに手一杯だったウラノスの手といい……原初の神ってのは火力インフレの雨霰か!?


 霊斗や優一、零達はそんな奴らにも打ち勝つんだから凄まじい。そんな霊斗を殺した奴がどんな奴なのか気になるが、今はそんなこと考えている暇はない。


 俺達は大量の弾幕を空中に作り出し、それを一斉にタルタロスへとぶつける。


「「どうだ!?」」

「まだまだだァ……!」


 全くの無傷かよ! あまりにも次元が違いすぎる。だが……ここで負けるわけにはいかない!


 俺はミョルニルを手元に出現させ、それを思いっきりタルタロスに投擲する。


「狙いはいいが……期待はずれ!」


 タルタロスの背後へ飛んで行ったミョルニルは、そのままブーメランのように旋回してタルタロスへ背後から襲いかかる。

 タルタロスにぶち当たる直前、ミョルニルは空中から突然に幾多ものビームを食らって地面に撃墜される。


「「あいつ……一切手も触れず、目もくれずにミョルニルを撃墜しただと!?」」

「ほらほら、まだまだまだァ!」


 タルタロスは俺が放ち続ける弾幕を耐えながらニヤリと口角を吊り上げた。

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