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第5話『集結』

「……やっぱり、どこにもいないか」

「霊斗さんどころか、霊夢さんもいないなんて……何かあったんでしょうか」

「このガーゴイル達が関係するんじゃないかとは思うが……」


 青年はそう言いながら、再び襲いかかってくるガーゴイルを音もなく消しとばす。


「呆気ないくらい弱いな。これじゃ戦闘を楽しむどころじゃねぇ」

「一撃で倒れちゃいますからねー。数だけ多くて、迷惑です。兄さんとの時間を邪魔しないでください」

「まあまあ姫ちゃん。障害がある方が恋は燃えるっていうだろ?」

「まあ、兄さんったら……ここは別の世界ですよ」


 そう言ってイチャイチャとする2人の背後から、もう1人青年が次元を切り裂いて突如現れた。


「少年、追いついてきたか」

「あ、優一さん。お疲れ様です」

「まったく、俺が家に帰って1分しないうちに突然手紙を送りつけて『霊斗のところ行くぞ』なんて、何考えてんだよ零」


 零と、そう呼ばれた青年はそう言って嘆息した青年にニヤリと笑みを浮かべる。


「それが俺だろ?」

「だな。それがお前だった。神姫さんも相変わらず元気そうで」

「ええ、優一さんもお変わりなさそうで何よりです」


 神姫や零と楽しげに会話する青年、大丈 優一は周りを見渡して再びため息をついた。


「それにしても……なんちゅう数だよ、こいつら」

「俺は天に浮かぶあの大陸が原因と考えるが?」

「それには同意だ」


 優一が笑いながらそう言った瞬間、ガーゴイルが優一と零に襲いかかった。


「……会話の邪魔を」

「「するな!!」」


 2人のチートによる理不尽な制裁が、無数のガーゴイルを一瞬で塵へ還した。


「……肝心の霊斗がいないみたいだが?」

「それなんだよなぁ。磔の気配は感じるが……」


 そう言って、零は顎に手をやって考える仕草をした。


「……ま、居ないなら居ないで俺達のやることやるだけだ」

「じゃあ……あの大陸に乗り込むのか?」

「いや、その前に人里で情報収集だな」


 優一の問いに零がそう答えて、3人は人里に向かった。


◇◆◇◆◇


「うーん……見つかりませんね」

「まあ、そうだなぁ。気を辿ろうにも、周りのガーゴイルが多すぎてどうにもな」


 白はそう言ってため息を吐くと、結界に覆われた人里の方に目を見やる。


「とりあえず、人里に行ってみるか。状況の把握も兼ねてな」

「そうですね」


 そう言って、白と吸は人里へ向かって飛翔して行く。


「それにしても……あの大陸、どうやってここに来たんだろうな」

「さぁ……私には分かりません」


 白と吸がそう会話していると、突如ぶつかり合う二つの剣戟が現れた。


「なんだあれ。アレも世界渡航者か」

「世界渡航者?」

「俺みたいに、世界を渡る者のことだ。もっとも、今回こっちの世界に来たのは俺の意思じゃねーけどな」


 そう言って、白はそちらの方をマジマジと見つめる。2人とも、白がよく知る人物……泊谷聖人と安倍桜だ。


「ふぅん……なかなかやるのね」

「ッ!」


 桜が『空間魔術』によってどこからか取り出したクナイが、一瞬動きが止まった聖人の肩を貫く。


「でも、私には及ばないわ。残念でした」


 桜はその言葉と共に、手のひらを聖人へ向ける。その直後、弾幕は桜の背後から同心円状に広がっていき、それは何十、何百、何千と増加していった。


「喰らいなさい! 『可夢偉』」


 桜がそう宣言した瞬間、何万もの大量の弾幕が一切の空間の縫い目なく聖人に押し寄せる。


「海符『オーシャンウォール』」


 聖人は水の壁をいくつも自分の前方に作り出し、さらに両拳を合わせて超技術、風林火山の山と肉鎧を発動することで防御力を高める。


 桜の可夢偉は一枚、また一枚と水の障壁を突破していく。

 そして、超技術を発動して『受け』の構えをとっている聖人を飲み込んだ。


 可夢偉が全て聖人を通り過ぎた後、聖人の肉体はボロボロながらも戦闘が不可能な状態ではなかった。


「へぇ……面白いじゃない。でも、そろそろ終わらせるわ!」


 桜は耐えた聖人を賞賛しつつ、ソードブレイカーを腰に添えて高速で飛翔する。


「おっと、これ以上はストップだぜ」


 唐突に飛び出した白はそう言うと、動き続ける桜の襟を背後から掴み、そのまま地面に放り投げた。


「……っ誰よ! って磔!?」

「磔か!」

「その名前で呼ぶなって。今は白だ」


 白はそう言って、地面に降り立った。それに合わせて吸、聖人、桜も地面に降りる。


「それにしても……あんた、また強くなったわね」

「まあな。お前は……なんか、普段と違うな?」

「だろ? だから偽物だと思って戦ってたんだ」

「偽物の磔がよく言うわ!」


 お互いに向かって牙を剥く桜と聖人を、磔がたしなめる。


「だから白だって。それと、とりあえず落ち着けお前ら。こいつは聖人。……まあ、俺の友達だ」

「なんで今、間があった!?」

「まあ落ち着け。んで、こっちは桜。それから……」

「初めまして、ハリスマリー・吸と言います。吸とお呼びください」


 全員の紹介が終わり、4人は人里へ向かっていった。


◇◆◇◆◇


「優一に零、神姫さんまで!」

「桜か! 久しぶりだな!」

「誰ですか?」

「八雲優一、神谷零と神姫夫妻だな。全員俺たちより強いぜ」


 尋ねる吸に、白は優しく答える。


「……なんでそんな仮面つけてるんだ?」

「ん、まあ色々とな。今は白って呼んでくれ」


 零は優一の問いに対する白の答えを見届けて、人里の家の扉の一つを横にガッと開いた。


「キャッ!?」

「わっ!?」


 唐突なそれに対して中にいた幻真や霊歌、藍は飛び上がる。


「おう、来たか」


 その来客に対して、終作はニヤリと口角を吊り上げる。


「準備は整いつつあるなァ。そろそろ、反撃の準備といこうか」


 終作はそう言うと次元の穴を広げて、その中の景色を全員に映し出した。

 そこに映っていたのは──。


「海斗にシルクと……アルマにパルスィ!?」


◇◆◇◆◇


「うらぁ!」

「チッ!」


 シルクの加護がかかり、紅い鎧を纏った海斗の拳と、パルスィといることで能力の上昇したアルマの拳がぶつかる。

 それだけで空間は揺れ、嘶き、雄叫びをあげる。


「チッ……なんでテメェ襲いかかってくるんだ!」

「何言ってやがる。お前らがあいつらの一味だからに決まってんだろ!」


 アルマの激昂に対して、海斗が大声で答える。


「なんの話だ!?」

「どうなってやがる!」


 アルマと海斗は戸惑いながらも、再び拳をぶつけ合った。

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