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第27話『バベルの塔』

一方その頃、バベルの塔では。


「優一、決めろ!」

「ああ、分かってる!」


 優一は結界を大量に展開し、それを一斉に相対する敵……森羅辰馬に対して解き放つ。

 八色の光は混ざり合って辰馬へと迫る。辰馬はそれに対して、自らのもつ槍を突き出した。


 その瞬間、槍から光が放たれると八色の光とぶつかり合い、打ち消しあう。


「なんて火力……!」

「当然だな。ありゃ、ロンゴミニアドと呼ばれる魔槍だ」


 驚く優一に対して、共に戦う終作は解説しながら辰馬の方を睨んだ。


「ロンゴミニアド……そんなにすごい代物なのか?」

「ああ。それよか、ゲートは作動したから、ここはお前に任せるが……いいか?」

「了解」


 終作は優一に確認を取ると、"ゲート"と呼ばれた門の中へと繋がる次元の穴に入っていった。


「よし……これで全力が出せる」


 優一は安心し、口角を吊り上げる。それに応じるように、辰馬もニヤリと笑みを浮かべた。


◇◆◇◆◇


──時は数刻ほど遡る。


「うへぇ……酷い目に遭った。……あれ、優一と終作は?」


 まさか、俺を置いて先に行ってしまったのか。……あの2人なら、考えられなくはない。

 終作は変なところで効率主義だし、優一は冷酷と優しさの2面を併せ持っている。いや、終作は効率主義とは違うか……なんだっていいや。


 俺はそう思いながら、2人の行き先を探す。うーん……多分、下、だよなぁ。

 俺たちが最初に着陸したのはこの塔の屋上だ。となれば、この塔を調査するのが目的なんだから下へ下へと下っていく。


 うーん……どうやってあの2人は中に入ったんだ? 見たところ、扉のようなものも階段のようなものも、何もなかった。……しょうがないか。


 その次の瞬間、赤と金色のオーラを纏った俺の拳は塔の天井をぶち抜いた。


「おいおい。何やってんだよ」

「あ、終作か。いや、ここをどうにかして通れねぇかなぁっておもって」

「やり方ってもんがあんだろ……」


 終作にそうつっこまれるけど、お前も似たようなもんだろと言いたい。

 そんなどうでもいいことを考えていると、優一が俺と終作の元にやってきた。


「幻真、終作。早く行くぞ」

「ああ」


 俺たちを急かすためにわざわざここに来たんだろうか。そんなことを考えながら、俺たちは塔を調べるべく下へ下へと降りていった。


◇◆◇◆◇


 所々に蝋燭が灯されている、無骨な石の壁、石の階段で作られた下への通路を俺たちは気が遠くなるほどの時間歩いた。


「終作、『見る』能力でこの塔について調べられないのかよ?」

「さぁ……未だに厳しいんじゃねぇか」

「そうか……」


 なんだ、できねぇのかよ。ちぇっ。


 俺は悪態をつきながらも、この退屈な通路を歩いていく。


「段々と、空気中の魔力が強くなっているな」

「そうだな」


 不意に、優一がそんなことを言った。そうかな……俺には分からないけど、優一や終作は分かるみたいだ。経験の差、というやつだろうか。

 俺自身が自覚していることではあるが、俺は多分あまり強い方じゃない。磔に技を習ったり、霊斗に技術を習いはしたが……とにかく年季というものが足りてないように思える。


 歳を経ればそれだけ強くなれるのだろうか……分からない。けれど、今はやるしかない。

 そんなことを思っていると、やがて最下層にたどり着いた。ここまで魔物や妖怪、敵と呼べるものは一体もでていなかったし、死体もなかった。


 それが逆に怖い。俺たちの先に潜むのは、魔物たちも逃げ出すほどの代物なのか……それとも。

 魔物が侵入もできないほどに厳重な塔を作らなければ封印できないほどのバケモノなのか。


 覚悟を決めていると、終作が不意に最下層の床を破壊する。それによって、紫色に妖しく輝く魔法陣が出現した。


「ほうほう……こりゃ、中々の代物だねェ」

「そうなのか?」

「あァ、違ェねぇ。しかも……博麗印ときたもんだ」

「博麗家に過去に封印された妖怪ってことか?」

「そんなところだろうなぁ」


 優一の質問に終作が肯定すると、不意に塔の外壁に亀裂が入り、バラバラと崩れ落ちた。


「およ?」

「チッ!」


 優一が能力を使えない終作を抱き抱え、3人は一時的に離脱する。


「あ〜ぁ。アレを起動しなきゃならねぇってところか」

「その通りだ」


 外壁が崩れ、螺旋階段のみが残ったことで最上階に巨大な装置が現れた。

 離脱先でそれを見た終作のぼやきを、突如現れた霊斗が肯定する。


「アレを起動すると、ゲートと呼ばれる次元の穴が現れる。その中であればお前らの能力の使用もできるだろうさ。それに、その先には……多分霊夢がいるだろう」

「へぇ。じゃあ、もう任務はほぼ完了ってとこか。調査する塔も崩れたし」

「ああいや、多分あいつがそうはさせてくれねぇよ。んじゃ、頑張ってくれ」


 霊斗がそう言って消えた次の瞬間、魔法陣が輝き、中から青年が現れた。


「ふぅ……。幻想郷の危機は救われちゃったのか? それとも、逆か? 幻想郷の危機に封印を解けって紫にゃあ言ってるしな。……お前らが幻想郷の危険因子ってやつ?」

「へ?」

「オラァッ!!」

「ゴフゥッ!」


 次の瞬間、青年……森羅辰馬の拳が優一の腹部に打ち込まれた。


◇◆◇◆◇


「クソッ、終作! 先に行け!」


 幻真はそう言って、霊衣を身にまといながら辰馬の前に立ちふさがる。

 辰馬はそれに対し、先程と同様に拳を振るう。それだけで幻真は打ち上げられ、空高く舞い上がる。

 次の瞬間、追撃せんと跳躍しようとする辰馬は大量の結界によって跳躍を阻まれる。


「チッ!」

「行かせねェ!」


 ──そして冒頭に戻る。

ごめんなさい、更新です!

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