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第17話『混沌の魔神・序』

まだまだ続きます!

「とりあえず……」

「『失せろ』ッ!」


 片や世界の柱たる感情の魔王。

 片や根源直通の、世界の支配者とでも言うべきもの。


 零とアルマ、2人は眼光と覇気だけで向かってくる根源の遣の多くを蹂躙し、破壊する。

 次の瞬間、4人の元には瞬間的に、見たことのある人影を持った異形の者達が押し寄せる。


「くっ! お前は……桜と聖人か!」

「そっちは磔……じゃなかった、白と海斗か」


 アルマとパルスィ、零と神姫はそれぞれを世界の狭間に、混沌の遣となったかつての味方を誘い込んで世界の狭間へと繋がる門を閉じた。


◇◆◇◆◇


 混沌の遣となった桜と聖人は、アルマとパルスィに向けて力を解放する。


「おわっ……!」

「クフ……フハハハハハハ!」


 アルマはそれに対し、暴食の感情で2人のエネルギーを奪う。


「うわ……なんだこりゃ。なんちゅーエネルギー量……!」

「アルマ、戦闘中に余計なこと考えない!」

「悪りぃパルスィ! 昇華『怠惰に塗れし不浄の神』! ……ていうかその壁、何!?」

「ルシファーに使えて私に使えないわけないじゃない」


 アルマは敵の攻撃から、嫉妬の感情のよる障壁を使ってアルマを守るパルスィに謝り、アルマは自らの出せる力を最大限まで発揮する。

 それは外なる神に由来し、世界の法則すら捻じ曲げるモノ。意思あるものという括りの頂点に君臨し、神すらも圧倒する、神であって神でないもの。


〈混沌か。なるほど、奴の考えそうなことだ〉

「うるせぇ黙って戦え!」


 アルマは自らと共にあるアブホースにそう言い放つと、銀のガントレットを装備して瞬間的に聖人との距離を詰める。


「あんの混沌野郎……! 俺の仲間をこんな風にしやがって! 朽ち果てろ、下衆がァ!」


 憤怒の属性を纏ったアルマは、起爆性のその拳で聖人の胸を思いっきり殴る。

 混沌の遣となった聖人は爆散し、その場には混沌の遣が脱げて上半身が露になった普段の姿の聖人があった。もっとも、地面に横たわり、意識を失ってはいるのだが。


「こうやりゃあ、あいつらも元に戻せそうだな」

「やめなさい!」


 そう言って今度は桜に対して拳を構えたアルマを、パルスィは頭を叩いてやめさせる。


「女の子になんてことしようとしてんのよ!」

「そんなこと言ったって……」

「任せなさい」

「へ?」

「だから私に任せなさい! あんたは出てって!」


 桜に襲いかかろうとするアルマに対して、パルスィはそう言ってアルマを空間の狭間から追い出す。


「やべぇ……嫌われた……!?」

「何やってんだ」

「私はパルスィさんの方を見て来ますね」


 焦るアルマに対して、隣に降り立った零と神姫は半ば呆れながらそう言った。

 そんな2人の足元には、さきほどの聖人と同じような状態の海斗と白が転がっている。


「相変わらず仕事が速えな。ちょっと待ってくれ、一旦落ち着く」


 アルマはそう言うと、大きく伸びをして深呼吸をする。


「すぅ〜……ゴハッ! ゴホッゴホッ! な、なんだこれ!?」

「混沌だからな。天と地が混ざってる。普通なら呼吸しようとしただけでも死ぬところだ」


 零がそう解説した瞬間、2人に対してナイフが投擲される。

 零は腕でそれを弾くと、目の前にいる敵に対して真っ直ぐに向かって行く。


「まあ待て、神谷零」


 零は手元に出現させた剣で斬りつけるが、それを受け止めた男は呆気なく零の攻撃を受け流した。


「お前ら……何者だ!? そっちは八雲紫か? だが……俺が知ってる八雲紫とは、あまりにも違う」

「オレァ闇予(やみよ) (つぐ)。しがないラスボスさ。こっちは」

「いや、自分で紹介するわ。私は八雲(やくも) (コク)。ただの黒幕よ」


 怪しい。特に黒と名乗った女。自己紹介からすでに怪しさ全開だが、八雲紫にそっくりな容姿が余計にその怪しさを際立たせていた。


「いきなりナイフとは、ご挨拶じゃねぇの?」

「まぁそう言うなよ。ただ、生きている者に対する憎悪で満ちているだけだ、これは言ってみれば……そう、不可抗力なのさ。恨むならこいつを恨め」


 黒を指差した嗣はそう言うと「俺だって普通に生活できたらなぁ」と言葉を洩らした。


「……同情はする。んで、お前らこんな非常事態に何の用だ?」

「ああ、そうだな。一応、この状況をなんとかしに来た……ってことになるのか?」

「私に聞かないでよ。そうね、そうなるわね。一応他に助っ人もいるけど……こんな状況じゃ、助っ人が活躍することも叶わないわね」


 零が聖人、海斗、白を収納したのを確認した黒はそう言うと、ズンズンと人里の中心地へと向かって行く。


「どこへ行くんだ?」

「カオスの所よ」

「いきなり行くのか!?」

「行ってみないことには始まらないもの」


 突っ込む嗣に対して冷徹なまでの判断力でそう返しながら、しばらく飛翔して行った。

 アルマと零がついて行くこと、10分余りでその中心地は見えてきた。


 元々、原型を保っているとは言えなかった。とはいえ、この状況は──やはり、アルマ達にとってはどう見ても異常だった。


 混沌で作られた階段。その先にある天空島じみた島に聳え立つ神殿から、尋常ではない魔力が感知できる。

 さらに、階段の前と階段の踊り場、そして天空島の門前で番をしている者も、混沌の遣となった彼らの仲間たちであった。


 階段の前で番をするのは摩天楼辰。

 踊り場で番をするのは、優一と共にウラノスと戦った青年。

 そして、門番であるのは大丈優一だろう。


「アレは……辰か。なら、彼女達に任せよう」


 その言葉と共に、次元の狭間から少女が飛び降り、華麗に着地した。金髪を特殊な髪型で後ろ手に纏めた、聖剣を持つ美しい少女。


「彼を倒せばいいのですね。我が名に誓って、その命、その契約を果たしましょう」


 ──彼女の名は、アーサー・ペンドラゴン。

 勝利の剣、選定の剣、世界の柱の槍、等々の多くの武器を手にした彼女は、摩天楼辰に対して聖剣の切っ先を向けた。


「本当は桜と戦いたかったですが……相手にとって不足なし」


 少女、アーサーはそう言うと勝利の聖剣を構えなおした。


「皆さん、先にお進みください」


 アーサーの言葉に従い、零達が階段へ向かおうとすると、辰が先ほど以上の速度で向かって来た。アーサーはそれに合わせて、辰の振るう刀を勝利の聖剣で受け止めた。

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