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第14話『冥府と密林にて』

更新ですぞ。前半部分は聖人達

後半部分は吸、海斗、桜回です。

あ、前回のタイトル修正しました。

「ハァッ!」

「うらッ!」


 タルタロスと聖人との戦いが始まって、10分が経過した。

 聖人は手脚でタルタロスの刀の攻撃を防ぎ、タルタロスは刀と弾幕で聖人の攻撃を捌く。


 最早、聖人は一つを除いてスペルと呼ばれる"必殺技"の全てを出し切った。

 タルタロスは己の力となっている"囚人たち"がほとんどなくなっているのを感じていた。


 故に、ここからはシンプル且つ極限の戦い。

 片や、無限遠の広さを持ち、最果てをも中継地点とする冥府そのもの。

 片や、最強と呼ばれた者の心技体の多くを受け継ぎ、数多の力と技を持つ救世主。


「オレも残りが少ねえ。……ってことで、準備体操は終わりだぜェ?」

「奇遇だな。俺もだ」


 タルタロスと聖人は互いに顔を突き合わせてそう言うと、最後の力を振り絞った。

 無限の冥府は収縮し、タルタロスと聖人はパンゲアの端にいた。


「冥府よ、収縮せよ。冥府よ、オレに力を!」

「──『エンドエボルバー』!」


 それは、聖人の至ったある種の終局。蒼、白金、緑のオーラが聖人を取り巻き、彼の肉体を際限なく強化していく。


「──へぇ。そうこなくっちゃなぁ!」


 タルタロスがそう言った次の瞬間、聖人の拳とタルタロスの拳がぶつかり合う。

 それは激しい衝撃波を生み出し、世界を分かち穿つ。


 空間にビキビキとヒビが入り、2人の立つパンゲアは崩落した。

 崖崩れのように下へと落下していく中、2人は激しい空中戦を繰り広げる。


 土塊を足場にしてタルタロスは跳躍し、聖人へと大太刀を振るう。

 聖人はそれを腕の籠手で防ぎ、左拳はタルタロスの腹部を穿つ。


「──これで決める!」


 聖人はタルタロスがそれによって吹き飛ばされると同時に、大量の弾幕を創造、それは杭の形になってタルタロスとその足場へ射出された。


「へっ! これしき!」

「なにっ!」


 タルタロスはその杭を足場に、聖人へと肉薄する。聖人はタルタロスの大太刀を時空跳躍を再現することで回避し、それと同時にミョルニルを投擲する。

 ミョルニルは弧を描きながらタルタロスへ──。


 タルタロスがそのミョルニルの柄を掴んで防ぐ。次の瞬間、タルタロスの背後から大量の弾幕が創造された。

 タルタロスはミョルニルを投擲してそれら全てを蹴散らす。聖人は帰ってきたミョルニルをタルタロス同様に柄を掴んで受け止めると、さらに大量の弾幕を創り出す。


 タルタロスは刀を大上段に振り上げ、それを振り下ろす。それはタルタロスへ向かう弾幕の全てをかき消すが、同時にタルタロスへさらに多くの弾幕が出現、射出された。


「やっばぇ!」


 それらは全てタルタロスに命中した。

 爆発によって硝煙が舞い上がり、粉塵が舞う。


「やったか!」

「甘い!」


 タルタロスは爆発の勢いを利用して別の土塊へ飛び移ると、刀の切っ先を向ける。


「これで決める! 刹那──」

「迎え撃つ!」


 聖人は拳を体の中心で合わせる。それと同時に、聖人の四肢からリングがなくなり、巨大な障壁が聖人の前に出現した。


「──『死剣』!」


 タルタロスは聖人へ跳躍し、刀を振るう……が、それは聖人に当たる目前で食い止められていた。


「なんちゅう硬さだ! ……チッ。参った。見事だぜ、テメェ。オレの見込み通り!」

「感謝する」


 聖人がどこからか取り出した木刀は、どんな剣を使うよりも美しくタルタロスを一刀両断した。


◇◆◇◆◇


 一方、密林──。


「海斗! 私が擬似的に奴を封じ込める! 貴方は"不可能を穿つそのドリル"で奴を貫きなさい! 吸、あなたは海斗を援護して!」


 桜はそう言うと玉藻前に騎乗したその状態から、お札を取り出す。


「見せてあげる! 本当はこういうのは"あっち"の私の方が得意なんだけどね……! それでも、仮にも技術を司る巫女よ!」


 桜が取り出したその札に与えられた名は、魔術界門二八式。東方の神秘、呪術の一角にして平安を生きた彼女の持つ奥義たる技。眼、口、鼻、耳などの人間の体に刻まれる28の門に魔力を通し、28通りの魔術を使用する……それが、魔術界門。


「玉藻、手伝ってちょうだい」

『勿論です主人様!』

「魔術界門一式『ファンタズム・プリズン』」


 桜の宣言に、玉藻前はコンコンと雄叫びをあげる。

 次の瞬間、桜、玉藻前、吸、海斗、そしてティアマトは別の空間に隔離された。


「まだまだ!十四式『セイバー・リボーン』」


 桜がそう唱えると、ティアマトの前脚は肉塊へと変貌した。


「うおっ! 桜すげぇな!」

「早く行ってください!」


 海斗が感心していると、大量の弾幕が海斗へ向かっていく。吸はそれを全てアイアンメイデンで防ぎ、鎧を着ながら傍観している海斗に発破をかける。


「よっしゃきた!」


 海斗はそう言うと右手のドリルをさらに巨大化させ、ティアマトへと特攻をかける。


「『ギガドリルブレイク』ゥゥゥゥ!!!!」

「だからやめなさいって言ってるでしょ!?」

『主人様、落ち着いてくださいまし』


 先ほどとはうって変わり、海斗のドリルは比較的容易にティアマトの胴を貫いた。


『母に逆らいますか……愚かしい子』

「まだ動くのかよ!?」

「私が決めます! 母だろうがなんだろうが、女であるなら私の獲物です!」


 胴を貫かれてなお喋るティアマトに海斗が驚いていると、吸がそう叫んだ。

 次の瞬間、吸の霊衣であるアイアンメイデンはさらに巨大化し、ティアマトにその門を開いた。


「すげぇ……」


 それは、あまりに美しく、あまりに残酷な景色であった。ティアマトはなすすべもなく、アイアンメイデンに閉じ込められる。

 次の瞬間、アイアンメイデンからは大量の血が流れ出る。

 アイアンメイデンが役割を終えて消滅する。

 しかし、未だにティアマトは息が残っていた。


『まだです……』

「さすが生命神、かしら。けど、残念。ここは最早、生命のいない場所よ!」


 桜はそう言うと、自らのソードブレーカーを天に掲げた。

 それは光を纏い、桜はその勢いのままソードブレーカーでティアマトを一刀両断した。

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