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第10話『幻真&白界vsポントス』

今回は幻真回……ですが、前半部分は状況整理的な感じです。

「桜、海斗、吸、頼んだ!」


 ティアマトを食い止めてくれている3人を置いて、俺たちは奴らがいるであろう神殿へと向かって行く。


 ここまで多くの原初の神々が喚ばれているのは、マズい。ティアマトが生まれたということは、奴の召喚ももうすぐだ。

 その前に、なんとしても食い止めなければ……!


 そう思って元々高い飛翔スピードをさらに上げようとすると、次の瞬間、俺は何かに地面に撃ち落とされる。


「大和、何をそんなに焦ってるんだ?」

「てめぇ……!」

「おい、落ち着け! 説明してくれなきゃ分かんねぇぞ」

「くそッ! 説明してる暇なんて惜しいんだよ!」

「これから何が待ってるんだ!」


 俺の対面に降り立ち、おそらく俺を撃ち落としたであろう辰に対して悪態をつきながら再び飛翔しようとすると、凄まじい力で肩を掴まれ、岩壁に押さえ込まれる。

 こいつ……なんて馬鹿力だ!


「いや、そいつの焦りは正しい」

「終作!」

『ちょっと、何これ!?』

「みんな、聞いてくれ」


 辰と俺とがいがみ合ってると、終作が割って入ってきた。しかも、終作は桜や聖人、零達など全ての戦士に思考伝達によって伝えているようだった。


「ファミル=アースが世界を崩壊させる常行手段として、宇宙を破壊する方法がある」

『宇宙を破壊!?』

「ああ。零、お前らのところも他人事じゃない。分かるよな?」

『ああ。──奴らは、多分根源を創り出そうとしてる。違うか?』

「ご名答。奴らは宇宙の始まりを創り出そうとしてる」


 宇宙の始まり……やはり、こいつも知っていたか。


「宇宙の始まりってのは、全ての運命が、分岐が収縮していた点だ。つまり、全てのパラレルワールドにも影響を及ぼす力を持ちうる。それと同時に、全ての質量を兼ね備える全ての『根源』……"初まり"でもある。普通ならあまりに魔力を爆食いするもんで、星一つじゃ賄えないほどの魔力が必要だが……」

『神代の地球であるパンゲアと魔法の蔓延してる現代の二つがあれば、充分に満ち足りるわけね!』


 桜が、納得がいったというように頷く。

 それに対して、タルタロスの剣戟をかわしながらよく分かっていないような聖人と幻真が首を捻る。固有名詞の嵐だったからな、しょうがないか。


『『どゆこと?』』

「簡単に言えば、早くしないと全ての宇宙を巻き込んだ脅威が現れるってことだ。たとえ宇宙の始まりが現れなかったとしても、ガイアが現れればそれだけで神々の宇宙戦争(ギガントマキア)が起こる。そうなったら被害は尋常じゃない」


 いまいち納得していない幻真と聖人が再び首をひねるが、吸が口を開いた。


『要は急がないと私たちの世界もこの世界もやばいってことですね』

「まぁ、今はそれでいい。大和はそれに対して思うところはありそうだが、俺たちがすればいいことは単純明快。次に召喚されるポントス、そして何より最期の、ガイアの召喚を阻止すればいい。幸い、ガイアの召喚はポントスの召喚の後から少し時間がかかる」


 終作はそう言って、辰を俺から引き剥がした。


「……言ってくれれば良かったのに」

「ああ……すまなかった。考えてみればあまりに雑で……お前らが疑念を持っても仕方ないな。……さぁ、行こう」


 俺がそう言うと、幻真や辰は「おう!」と威勢良く応えた。


『あー……なんか、空気読めなくて悪いんだけども。どうも、ポントスさんで〜す』


 次の瞬間、声が脳内に響くと同時に大雨が降り始める。大雨を降らせる雨雲は人の形を成し、やがて人型の人間大に収縮した。


「……幻真、ここは……僕ら……止める」

「え、俺? わ、わかった! 終作、辰、大和は先に行ってくれ!」


 幻真の言葉に従い、俺たちは神殿へと向かって飛翔した。


◇◆◇◆◇


「おっと。お兄さんから逃げられるかな」


 そう言って、腕を透明な触手のようにして大和達へ伸ばすポントスの腕を白界は自らの霊衣である槍から放たれる光で吹き飛ばした。

 次の瞬間、腕はニュルンと再生して人間の腕のようになった。


 雨は依然として止まない。だが、幻真達と白界はそんなこと御構いなしに大和達の壁になるようにポントスの前に立ちはだかった。


「ここを通しはしない!」

「面倒だね〜、お兄さん早くお仕事済ませたいんだけどな〜」


 ポントスはそう言うと、殴りかかってきた幻真の攻撃をその身で受け止める。

 ポントスの体は殴られた部分から水のように弾け飛ぶ。


「どんなもんだ!」

「この程度かい? お兄さん全然ダメージ食らってないんだけど〜」

「なにっ!」


 弾け飛んだはずのポントスは、しかしすぐにその肉体は再生する。


「ならこれでどうだ!」

「やわいやわい」


 幻真が刀を振るうが、ポントスはそれを甘んじて受け止める。

 ポントスの体は袈裟に切り裂かれ、上の方はそのまま地面に落下してビシャリと水となる。


「その程度かい?」

「くそっ! 白界、なんか手はないのか!?」


 次の瞬間、なんでもないように復活したポントスを無視して、幻真は白界に助言を求める。


「特に……ない……。倒す方法、知らない……」

「なんで残ったんだよ!? ってうぉあ!」


 幻真がツッコんだ瞬間、ポントスの鞭のようにしなる腕が後ろを向いていた幻真の頬を殴り飛ばした。


「うぐっ……! くそッ! 終域『ソウルドライブモード3』」


 幻真はスペルカードを唱えて自分の戦闘能力を強化すると、雷刀ゼニシアで斬りかかる。


 雷の属性を纏うその一撃はポントスを切り裂き、さらに残ったその肉体を雷がダメージを与える。


「おいおい……そろそろ無駄だって分かろうよ〜」

「くそッ」

「受符『寄せたもう伊吹』」


 幻真が悪態をつくと、その背後からポントスに向かって巨大な八つの龍の首が向かっていく。

 それはとある龍神、日の本最大の日本人ならばほとんどの人が知っているであろう怪物──八岐大蛇だ。


 その八つの首が怒涛の勢いでポントスを殴り続ける。


「いやはや、流石だね〜。……全然効いてないけど」

「チッ! 白界の攻撃でもダメなのか! 俺に力さえあれば……霊衣さえあったなら……!!」

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