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005 初めてのダンジョン4

『レベルアップ! タツヤはレベルが上がった。スキルポイントを付与します。』




 脳内にお姉さんボイスが響き渡る。


 一階層降りただけのことは有るじゃないか、一匹倒しただけでレベルアップだ。


 


「ドロップアイテム……、というか勝手に拾えばいいのかな」




 盾は頑丈だったようで、とくに傷は見当たらない。左手に装備してみる。


 見た目のわりには軽く感じるな。STRの影響だろうか。


 盾があるというのはなかなか心強い。耐久力は身をもって知っているしね。




 肝心の剣はというと自分でへし折ってしまったので使えそうにない。


 このままにするのも勿体無いので、回収して制服のベルトに挿しておくことにした。




「あたらしい装備の入手、これこそ冒険の醍醐味だよな!」




 一人で何時間も洞窟に篭っているせいか独り言が多くなってしまう。


 先程のスケルトンは強敵だったし、この先どうなるか全くわからない。


 ナーバスになっているのかもしれないな。




 こんなときは入手した盾の使い方でも考えておこう。


 気を紛らわせることは大切だ。


 盾は防御に使うだけではなく、相手に向かって叩きつけるシールドバッシュなんて技もあるはず。


 スキルなしでは弱いかもしれないが、一応そんな使い方もあるんだと意識だけはもっておく。




 あれやこれやと妄想しながら歩いていると、通路の先にモンスターが。


 気づかれるギリギリまで近づいて確認してみると、スケルトンが三匹だ。


 二匹は先程と同じように剣と盾を装備しているものの、残り一体は槍を装備しているようだ。 


 


 相手の構成から頭の中で戦闘をシミュレートしてみるものの、勝てるビジョンが全く浮かんでこない。


 間合いから考えて最初に槍スケルトンを相手にする事になるだろう。




 槍を盾で防御しつつ近づいてみるのだが、その後三体を同時に倒す想像ができないのだ。


 どんなに上手く立ち回っても剣スケルトンが一体残ってしまい、切りつけられる未来が視える。


 


 「こんな時はスキルかな。さっきレベルアップしたし、スキルポイントに余裕はあるはずだ」




 ステータス、と念じればハイどうぞと文字が浮かび上がってくる。







”名前:石橋タツヤ

 職業:騎士

 レベル:6


 【ステータス】 


TP:220/220

MP:2/2

 STR:2

 VIT:1

 DEX:1

 INT:1

 WIS:1


 ステータスポイント:0


 【スキル】


 一閃(フルスイング) 消費TP:30

 

 スキルポイント:5”







 やっぱり五ポイントあまっている。


 ここは一つ、範囲攻撃ないしは全体攻撃のようなスキルが欲しいな。


 かつ、騎士っぽいやつ。ここは譲れない。へんなフリガナはやめてほしい。




 そうだな、乱れ斬りなんてどうだろうか。


 レベル六くらいで使うなら丁度良いスキルのような感じがする。


 答えるかのように指輪がチカチカと光り出した。




『タツヤは乱れ斬り(たこなぐり)をおぼえた!』




 眼前に現れる文字とともに、頭にお姉さんボイスが響いた。




「俺言ったよね! 騎士っぽいやつって! なんで意地でも蛮族の戦士っぽくするんだよ! おい!」




 お約束のようなフリガナにブチ切れて大声をあげてしまう。


 心なしかお姉さんボイスも楽しそうだったぞこの野郎!


 騒いでしまったためだろう、スケルトン達がこちらに気付いて襲いかかってきたではないか!




 乱れ斬り(たこなぐり)を用いたイメージトレーニングをして置きたかった処だが、気付かれてしまったものは仕方がない。


 今はお姉さんボイスを信じてぶっつけ本番でいってみよう。




 「カッ!」




 気合の入った一槍を繰り出すスケルトン。


 これを盾で受け流しつつ、懐に入り込む。


 スケルトン達は射程圏内だ。ここまではイメージ通り。


 今までのタツヤ君ではどう考えても一匹撃ち漏らしてしまっていたが、今の俺には新スキルがあるんだぜ。




 棍棒を振り上げて、新スキルを発動させる。




 「【乱れ斬り(たこなぐり)】!」


 「「「グッ!?」」」



 瞬間、棍棒が縦横無尽にスケルトン達へと振り回された。


 最初の一振りこそ上段からの打ち下ろしというイメージ通りの物だったが、振り抜いてからの反応たるやゲームでコマンド入力したキャラクターが勝手に動いているかのよう。


 


 振り下ろされた棍棒を持つ手首は即座にぐるんと返されて、次なる一撃をコンマ一秒の滞りもなく打ち放つ。


 そして、その動作を流れるように繰り返すことおよそ五回。


 棍棒は間合いの中にいる敵を自動で追尾しているかのように次々と打ち倒した。


 最初の一撃と合わせて六連撃を一瞬で繰り出してしまったのだ。




 スケルトン達は見るも無残にバラバラになっており、彼らの装備していた武器も同様にへし折られている。


 乱れ斬り(たこなぐり)……、恐ろしい子。



 

 同時にかなりの疲労感を感じる。まるで息切れのような感覚だ。


 身体の中に充足していたエネルギーがごっそりとなくなったような雰囲気。 


 ステータスを見て確認してみよう。



 


”名前:石橋タツヤ

 職業:騎士

 レベル:6


 【ステータス】 


TP:20/220

MP:2/2

 STR:2

 VIT:1

 DEX:1

 INT:1

 WIS:1


 ステータスポイント:0


 【スキル】


 一閃(フルスイング) 消費TP:30


 乱れ斬り(たこなぐり) 消費TP:200

 

 スキルポイント:0”






 おおう、乱れ斬り(たこなぐり)ちゃん、威力に見合ったコストだった。


 一閃(フルスイング)一回分のTPすら残っていない。


 さらに五もあったスキルポイントがなくなってしまっている。


 六連撃だが単純に一閃(フルスイング)を六発繰り出すよりもTP消費量が多いのか。


 一発一発の威力は一閃(フルスイング)に軍配が上がりそうだが、連発するせいで消費もで大きくなるんだろう。




 ステータスを眺めていると、TPは五秒で十ほど回復するようだ。


 枯渇するデメリットが致命的でなさそうなのはありがたい。


 脳筋職はコスパが良いゲームって多いよな。魔法職ほどマナポーションとかでお金がかさむんだ。




 TPが満タンまで回復するのを待ってから、ダンジョンを奥へと進む。


 多少の分かれ道はあったものの、それほど入り組んでいない作りなのか時間をかければ攻略は簡単だった。




 道中ではスケルトンに加えてゾンビが交じることもあったものの、一閃(フルスイング)乱れ斬り(たこなぐり)を駆使してこれを撃破。


 慣れてきた頃には一閃(フルスイング)一発でスケルトン二体を仕留めることも可能になった。



 

 間合いが重要なんだよ。


 相手の攻撃が完全に届く距離の更に奥まで接近し、内側から巻き込むように打つべし!


 これも全て先輩への愛がなせる技なのさ。


 ああ早く先輩に会いたい。


 強くなったタツヤ君を褒めて欲しい。




 スキルを使って楽しく亡者たちを蹴散らしていると、レベルも十になった頃合いで更に下へと降りる階段を発見した。


 ここらいらで下の階層にいくのも悪くないだろう。


 念のためステータスを確認する。





”名前:石橋タツヤ

 職業:騎士

 レベル:10


 【ステータス】 


TP:300/300

MP:3/3

 STR:2

 VIT:1

 DEX:1

 INT:1

 WIS:1


 ステータスポイント:1


 【スキル】


 一閃(フルスイング) 消費TP:30


 乱れ斬り(たこなぐり) 消費TP:200

 

 スキルポイント:14”






 TPやステータスポイントは概ね予想したどおりだが、特筆すべきはスキルポイントだろう。


 レベル九までは一づつ増え、レベル十で一気に十一ポイント増えたようだ。


 乱れ斬り(たこなぐり)で一気にポイントを消費したからビビっていたのだが、レベルに比例してスキルポイントも増えていくのかもしれない。




 これならさらに強いモンスター相手でも対策は容易そうだ。


 なにより、下の階層に興味が出てきた。


 ゾンビにスケルトンときたら次には何が待っているのだろう。ゴーストとか出るんだろうか。


 幽霊には空を斬る技ですよ! ……なんてね。


 まってろ新モンスター!




 気分上々で下へと続く階段を降りていく。

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