003 初めてのダンジョン2
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「あ゛あ゛あ゛」
「う゛う゛う゛」
ふらふらとこちらに近づくゾンビ二匹。
最初のゾンビは一匹だったので気に留めなかったが、後ろのゾンビさんは服装や体つきが女性っぽい。
一般的なファンタジーに登場する村人のような服装だ。
それをどす黒く乾いた血や、謎の緑色の液体で汚した感じである。
最初の標的は手前の男ゾンビさんだ。
スキルってどうやって使うのだろう。
習得した時のように念じてみる事にした。
一閃、一閃、一閃。
とくに変化は感じない。
そうこうしているうちにゾンビとの距離が近づいていく。
やっぱり一閃じゃだめなのか。背に腹は代えられないし、認めたくないが試してみよう。
――一閃。
すると、呼応するかのように指輪がチカチカと点滅する。
「あーもうわかったよ!【フルスィィィンゴ】!!」
叫びながら男ゾンビに向けて棍棒を一振り。
気合の入れ過ぎでンゴとか言ってしまったぜ!
先程のブレブレスイングはどこへやら、身体に一本の芯が通ったように安定し、華麗な体重移動とともに棍棒を振り抜いた。
腰とかめっちゃ綺麗に回ってる気がする!
これは間違いなく大ダメージだろう。
「あ゛っ!!」
スイングは一筋の閃きとなって男ゾンビの腕ごと頭部を爆散させた。
ぐちゃぐちゃの液体が女ゾンビ目掛けて飛び散る。正直グロい。
いくらゾンビとはいえ、女性にこんな事していいのだろうか。
「う゛う゛う゛! う゛う゛う゛っ!!!」
どうやら良くなかったみたいだ。
唸り声を上げてこちらへ突進してくる女ゾンビ。
しかし、タツヤ君は見逃しませんでしたよ。
ちゃっかりお口に入りこんだ肉片をクチャクチャと噛んでいるではないですか。
「極楽へ送ってやるぜ!」
気分はゴーストスイーパー。突進してくる女ゾンビを迎え撃つ。
棍棒を掲げ、剣道で言うところの上段の構えをとる。片手だけどね。
恐らくこの体勢でもいけるだろう。
チラっと指輪を確認すると、答えるかのようにチカチカと輝いているではないか。
「【フルスイングッ】!!」
女ゾンビの頭部へとまっすぐに棍棒が振り下ろされる。
「う゛っ!!」
棍棒はゾンビさん三号を脳天から真っ二つにしてドロドロの液体が足元に広がった。
よくよく見ると、三号さんの身体の中心線部分が幅5センチほどなくなっている。
足元にあるドロドロは、まさか真ん中だけを押しつぶしてしまったのだろうか。
想像以上に使えるじゃないか、フルスイング。
これからはステータスの通りに一閃と書いてフルスイングと読んでやろう。
そっちのほうが一閃も嬉しいはずだ。
次々現れるゾンビをボロ雑巾のように駆逐しながら洞窟を進むと下へ伸びる階段を発見した。