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どうやら異世界から来たようです  作者: るろうず
第二章
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異尋




((それにしてもアニ、ここは海のド真ん中でしょ?

どうして彼女が助けにくると分かっていたのさ?))


「___…………」


いたずらに飽きたらしいドグが、唐突に訊いてきた。




((やだなぁ、心の声が分かるわけじゃないよ。そんな目で見ないでおくれ。

ただ扉を開けた時、君は安心しただけじゃないか。どうして、救助が来たのか。どうしてお姉さんがここに居るのかという疑問を持っていない様子だったから、そう推測しただけダヨ。

その反応を見るに、的を射たように思えたんだケド?))





二ルミアンヌさんが落ち着いて、オレから離れる。


「ケィリケ キュトゥアル シノファリ……?」


彼女はドグにようやく気付き、軽く挨拶を交わした。

妖精だという事に、二ルミアンヌさんは酷く驚いている。この世界では、精霊が珍しいのだろうか。


「あの、ハウードマック君達は?」

「ハウゥドマックサラハ ブォッザァユシ ファヘェミフェンガルストサァスク ルゥスェブェスユシ」


((無事に保護されてるってさ))


___それは、良かった……。


二ルミアンヌさんは口をへの字にして、オレの髪を掻き乱す。

それから何も言わず、閉じ込められていた子供達の拘束具を外しに行った。






((で、さっきの質問は?どうして驚きもしなかったのさ))


……しつこい。


「驚かなかったワケじゃない。まさかこんなに早く発見されると思わなかったよ」


溜息混じりにオレは答える。


((もう!もったいぶらないで早く教えてよー、こういうのは気になるタチなんだよー))


「……水棲人の事、知らない?」


((海中に住んでいるのは知ってるよ。ケド都市からはちょこっと離れているじゃないか。

キミは魔法を使えないっぽいし、ボクの経験則で考えると、助けを呼ぶ手段なんて奴らは与えなかったと思うけど。

被害者達は皆、訳も分からず いつの間にかここに居たって言う子達ばっかだったよ?))


確かにハウードマック君達は、気絶していた。……オレは何にも起こらなかったけど、何かの催眠薬?……いや、あれも魔法を使っていたのかもしれない。



「水棲人ってのは、水に溶けた臭いに敏感なんだよ。特に、血とかね」


お湯に浸かる習慣が無いのもそれが理由らしい。お湯にも限りはある。だからなるべく清潔に保たせたいそうだ。

シェルミン キノケソーの海水浴場に初めて行った時、岩場でオレが足に擦り傷を負っていたのをいち早く気付いたのは、泳いでいた水棲人だった。言われるまで気付かない程 大した怪我ではなかったのだが、他の人達は凄く騒いでた気がする。


「__まぁ そこで、オレは船に引き上げられる前にカッターで太股を傷付け、血を流して跡を残した」


手を広げて、持っていたカッターナイフをドグに見せた。

流石にコンパクトな刃物は普及されていないようだ。物珍しそうに見詰めている。


「……その臭いを辿ったんだろうなーって予想できたから疑問とか浮かばなかった。寧ろ救助が来ない事でオレは心配してたよ」


((ああ、血が凄かったってお姉さん言ってたねぇ))


まぁそれでも水棲人は、海上だったらすぐに見つけただろう。こっちも大人に黙って外に遊びに行っちゃってたし、気付くのも早かったかったと思う。



((太股の傷は気づかなかったや。痛い?))


「ちょっと。でも血は止まってるから大丈夫」


((ふーん。そっか))





「ルゥギラハ キェアルフェツェ ハウゥドマックサラハキィギヌアンガァロユシ」


二ルミアンヌさんが、しかめっ面でオレを部屋から出るように押してきた。

涙ぐんでいるのが恥ずかしいらしく、目を合わすのを拒んで俯いている。


「……ルゥリケィサミィ キィヒインガツェアロァルサ」


((甲板にハウードマック達が居るんだってさ。見に行ってやれだって)


「えぇ?……ぁ、はい」

何か手伝いたかったが、嫌がれば二ルミアンヌさんが怒りそうだ。


二ルミアンヌさんに会釈して、オレは部屋から立ち去った。















思えば、初めての人殺しだった。







「……ぇ……______っ」



((ダイジョーブ?))



船内から出る前に、ツルッパゲに連行された時に寄った食堂へと訪れている。


我慢してたけど吐気がピークに達しそうだったので、颯爽と洗面台を見つけては、無様にオレは寄りかかってもどしていた。……胃液が、不味い。





「____う"……ッ…!……」





物凄く気持ち悪い。


気持ち悪くて、しょうがない。




「うへぇ…今更 吐くとか……」


((衝突後の揺れも凄かったもんね~))


そう言いがら、ドグが頭を撫でてきた。


「…………」



____ 先に行ってと言ったのに。


迂闊だった。


無防備に瓶の蓋を開けるなんて。

罠の可能性だってあったんだ。ここは異世界。爆発物だったらどうする?

抵抗なく言いなりになっていた。ここは、現実なんだ。フィクションみたく、女神サマの囁きなんて無いんだからな……。





自重、しないと。




そんな後悔の念を抱きながら、オレは吐気に耐えた。

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