計異 The story of sister
今朝、ねすごしてしまいました。
ご飯作るのも、してなくて、ドタバタして行きました。
………学校には来れました。けど、理由を聞かれるたびにはずかしかったです。はぁ。
今後の朝食ははフェリおじさんが作ってくれます。してくれますが、不安なのでわたしも早起きします。
昨日は、あれからずっとお話ししてました。
前に、どうやって、あらむでゅあってとこに行くのか聞きました。
にぃにの話では、ここでは5年たっていて、あっちでは1年しかたってないみたいです。
「1年間って、何ヶ月あったの?」
「…………10ヶ月だが?」
やっぱり、ちがう。
「その1ヶ月間は、何日だった?」
「20日だろう」
フェリおじさんには、それが当たり前みたいです。
アレ。30日たって1ヶ月って、前のお話しで言ってたよね?……あ、にぃにが言ってたからそうかと思ってたらしいです。
カレンダーはわたしの部屋にはってたから、気がつかなかったのかなぁ。
フェリおじさん、どん感さんだ。異世界なんだから、日数だってちがうでしょ?
年間日数が、ここ地球は、365日です。あらむでゅあでは、200日だけみたいです。
わたしたちは、5年間。つまり、1825日ママたちの帰りを待ちました。
フェリおじさんは、ママと会って1年。200日です。
9あまり25倍、地球は時間が速いってことになります。…………あらむでゅあ、おそいです。
つまり1ヶ月たった今でも、あらむでゅあではそこまで時間が進んでないってことです。ソレって、ヤバいじゃないですか!
「フェリおじさん!どうにかして、あっちに連絡できないの?!」
「いや………私には不可能なんだ」
「なんで!?」
なんか、かくしてます!
フェリおじさんをジッと見つめます。答えるまで、プンプンして待ってます。
「…………魔力が……」
「魔力が?」
「____……魔力が、段々と減っているのだ。気付いたのもつい最近で……体内での生成も出来ていない。元々私は魔法に疎い方だし、使える量が限られてる。恐らく、今では戦闘もままならない。いつ、無くなるのか分からない状態なのだ。あの通路を通しての伝達なんて、雲をつかむような話なんだ」
「___………」
そんな。
にぃにを、むかえに行けない?
また、なん日も待たなくちゃいけないの?
「お母さんは、研究してた?」
「……ああ、そうだ」
「計画って作ってた?」
「____………作ってたな、いつも。どんな事でも、必ず作っていた」
「その研究で、通路をつくり上げるのは、いつの予定だったの?」
「6ヶ月だ」
「予定より早かった?おそかった?」
「早かった。とても」
「どのくらい?」
「2ヶ月だ」
3分の1。
にぃにに、教えてもらった分数で、計算します。分からなくてこまったとき、にぃには教えてくれました。中学校のころの教科書ももらって、にぃに、いそがしいのに教えてくれました。
………___にぃにのおかげで、わたし、できることがふえたんだよ。
あらむでゅあが1ヶ月たつのに、ここでは約274日かかる。すでに1ヶ月ちょっと過ぎてるので、あとだいたい240日。
半年以上も。
フェリおじさんの話で、1番早く通路をつくってくれるかもしれない時間は?
もしも、お母さんの『1ヶ月』が、地球と同じ時間のことを言っていたのなら。
早くてだいたい140日ほど。これでも、4ヶ月以上。
あらむでゅあでの時間のことを言ってたなら。
約65日。2ヶ月以上。
今のこの時点で。
予定では240日、早くて26日ほど。なにかの予定でおそくなれば、1年以上待たなくちゃいけない。
予定通りに、通路ができるなら?
お金が、足りない。
1番通路ができるかもしれない所は、フェリおじさんが出てきた、ここアパート。
ちゃんと、守らなきゃ。
にぃに。
にぃにも、こんなふうにあせってた? いつも、こんな不安をもってたの?
※
フェリおじさんとお家に帰って、料理をしながらオッチャンさんをまってます。
あ、ウワサをすればです。
「……こんばんわ」
「こんばんは。嬢ちゃん、ほれジュースと菓子だ」
「ありがとうございます……!」
やった、ジュースだぁ!いつも水か麦茶か牛乳なのに!
シワのある、名前通りのオッチャンって感じの人です。
おかしの入ったふくろをもらって、テーブルのほうに連れていきます。
「しっつれいしまー…………あ?」
やさしそうだったオッチャンさんの声が、こわくなりました。
台所にいた、フェリおじさんを見たからです。
「……おい、なぁんでテメェいんだ? あ?」
フェリおじさん、だまってます。
「おい、聞いてんのか? なんで!アイツを行かせた原因であるお前が!ここにいんだって訊いてんだよ!」
「待って!オッチャンさん、声大きいよっ」
「あぁ………ワリぃワリい。いけねぇな、急に怒鳴ってスマンな嬢ちゃん」
服をつかんでストップさせます。
「フェリおじさんは、にぃにを助けようとがんばったんだよ。おこっちゃダメだよ」
それから、なんかカンちがいしてたので、ちゃんと言いました。
「……だがなぁ………」
厶っ!
「わぁったよ……」
わかってくれました。よかったです!
「……やっぱ兄妹だなぁ…………」
?…………なんか、言いました?
「まぁ向こうに詳しい奴が居るんだし、上々か……」
テーブルについて、お話し、しました。
まず昨日の話をフェリおじさんから聞いて、それから、時間のちがいについてなども話しました。
「へぇ~、感心カンシン。嬢ちゃん頭良いなぁ。数学はサッパリじゃわ」
生え始めの、アゴのヒゲをさわりながら、オッチャンさんは言ってくれました。
…………合ってるかどうか、分かんないよ?
「なァ、えー……ティエィル? お前、その魔力ってどうやって感知してんだ?」
「………気配、だろうか?」
「うぉう、なんか異世界っポイ。アァ〜、ここでは魔力が生成できないってゆー設定さえなきゃなぁ!一度は拝みてぇよ!……魔法ってさ、やっぱ呪文とか唱えるの?」
「そうだな…………アットァルみたいなファリミアに助力して魔法を起こす時には、よく使用されているな」
??
知らない言葉です。
絵を描いてもらいましたが、…………ダメです。人なのかどうかが分かりません。なんですかこのモジャモジャは?
ハッ!話がなんかズレてる気がします!!
「そんなコトより!オッチャンさん!」
「………? オッチャンさん?」
「はい!オッチャンさん、どうかはたらかせてください!」
そう言って、わたしは頭を下げます。
そうです!お金!この問題をなんとかしなくちゃ!
「…………こっちは商売でやってんだ、嬢ちゃんみたいな子供は__、」
「おねがいします!」
「…………貸しても良いんだぜ? アイツが戻ってくりゃ後からでも、ゆっくり返済できるだろ」
「それは、ダメです」
「だがな………」
「にぃに、帰ってきたくなくなっちゃう!………ぜったい、にぃにが払わなきゃってなる!………いっぱいいっぱい、はたらいてるのに……またにぃにを追いつめて………____だから、今のうちにがんばらなくちゃ…………ちゃんと、にぃにを苦ろうさせないように、わたし、一生けん命します!こんなこと言って、ゴメンなさいだけど、はたらかせてください!……おねがい、します……!」
「____………あのなぁ。そんなコトで、アイツが帰って来たくなくなるわけねぇだろ?」
涙が、……ガマンしたのに。でちゃいました。
たしかに、にぃには、そんな人じゃないです。
この人は、にぃにをちゃんと知ってます。…………でも、不安なんです。見放されたくないんです。こわい、のです。
「…………嬢ちゃん、確かにアイツは頑張ってるよ。あんな苦労してる高校生なんて、最近じゃなかなか見れねぇ。そりゃァ誰の為かは嬢ちゃんが一番わかってるだろ? けど。……けどさ、そんなビクビクしたってぇ、お前、いつまでたってもアイツ頼りだぜ?」
じゃあ、どうすればいいの?!
「………いいか、嬢ちゃん。気遣いは大事だ、嬢ちゃんのその心意気はすげぇよ。だから、ウチで働かせようって思えたよ。だがな、アイツが帰る帰らないの問題じゃなくて、嬢ちゃんがどうしたいか。俺は、それが知りてぇなあ」
「_____……」
わたしは、なにがしたいんだろう?
にぃに。
いつも、にぃにの言うとおりにした。だって、あんな苦しそうにして。
わたしのために。
にぃに、夢あったのに捨てちゃって。
わたしのために。
だから、勉強がんばった。がんばれば、授業料が軽くなるって聞いた。
エライって言われて、うれしかった。
___……ああ。
「にぃにを、おどろかせたい。わたしが、はたらけるようになったって。ちゃんと、お家守れたって。こういうこと できたんだよって、じまんして、エライって言われたい」
家事を手伝おうとしたら、『いいよ』って言われてきた。
『友達と遊びにいっておいで』って。『宿題あるでしょ』って。
フェリおじさんが来てからは、付きそう感じでできた。ひさしぶりだった。
必要になったときしか、わたしになにも言ってくれない。聞こうと思っても、いそがしそうで___…………。
わたしだけ、友だちとあそべるワケないよ。レシピとか、勉強とか本読んで、ずっと図書館で勉強してるよ。宿題も早く終わらせて、やること早く終わらせて。夜に待ってる間、そうじとか、おふろにお湯ためたりとか。できること、さがして。
ねぇ、にぃに。
「 …………にぃにに、わたしのことばっかり、考えなくていいよって……にぃにも、したい、こと………いっぱい"あるだろぉから………ッ……___わたしに、もう少し、相だんしてほしい…………助け合って、いきたい。それができるよって。わたし、できるようになったよって……ちゃんと、伝えたい」
今は、もうそばにはいないけれど。
「……イイんじゃねぇの。言っとくけど、俺ぁキビシイかんな?」
ふふ、やさしいのまちがいでしょ?
こんな、世話かけてもらって。…………ありがとう、オッチャンさん。
「おいティエィル!お前も働かせるからな!覚悟しとけよ!」
「!!…………分かった…!」
にぃに、待ってて。
わたし、もっと、がんばるからね。
ご精読 ありがとうございます。
感謝で胸がいっぱいです。
サブタイトル 変更しました。
誤字脱字等で変更をよくしておりますが、ご了承ください。