憂異 The story of sister
汚しちゃった布団は、にぃにがキレイにしてくれました。洗たく機でだっ水して、外に干します。
きのうの夜に干した服を中に入れて、布団はフェリおじさんに、はこんでもらいました。
フェンスはどうやら、フェリおじさんがこわしちゃったみたいです。いつも外見てうーんってしてます。
「魔法でなおせないの?」って聞いてみたけど、できないみたいです。ざんねん。
にぃにの話によると、さ来週 しゅうりしてくれるみたいです。
※
今日はにぃにとフェリおじさんとわたしで、図書館に行きました。
フェリおじさんは映画を見るみたいです。わたしもついていって、リモコンの使い方を教えました。
ヘッドホンは一つしかなかったので、わたしはそばで本を読んでます。
にぃには2かいで勉強してました。資格をとれば、しゅうしょくする可のう性が高くなるって言ってました。…………わたしも、資格とりたいな。
帰りに、犬がおそってきました。やせてたから、おなか空いてたのかもしれません。…………ちょっとこわかったです。けど、フェリおじさんが助けてくれました。
にぃにが、明るい声で「抱っこ」って言ってきました。こういうときは、決まって変なこと言ってくるんです。…………バカにぃに。
アイス買ってもいいって。やった、ありがと にぃに。
※
フェリおじさんに、相談されました。
どうやら物を売りたいみたいです。
けど、電話持ってないし、身分証もないみたいです。だから、「にぃにに、たのんだら?」って言いました。
けど、あまりたよらずにしたいみたいで。
……もぅ、めんどくさいなぁ。
そんなにこわしちゃったこと気にしてるなら、家事のお手伝いとかをせっきょく的にすればいいじゃない。その方が、にぃにも助かるって言ってたんだよ。
※
「ロリ。何も言わないでいいからね」
お兄ちゃんが、こっそりと、そう言いました。
だから、わたしはうなずきました。
「アイハと、ナオトを知っているか……」
お話し中、フェリおじさんが言いました。
ナオト。
前に、にぃにが言ってた、お父さんの名前。
声はどうだったかも今は思い出せない、亡くなったはずの、わたしたちのお父さん。
にぃにが、フェリおじさんを住まわせてた意味が分かりました。
フェリおじさんは、わたしたちを見つけるためにきたようです。
にぃにが、苦しんでます。
めずらしく、ちょっと怒ってもいます。
フェリおじさんをのこしちゃって悪いけど、今はにぃにのそばにいなきゃ。
お買い物が終わって帰ったら、晩ご飯を食べました。………なんか、しずかでした。
フェリおじさんには「機嫌直しだ」ーって、にぃには新しいマンガを1冊プレゼントしました。この巻で終わるやつみたいです。………… 買ってよかったの?
にぃにがお風呂に入ってる間、フェリおじさんから、わたしに聞いてきました。
「本当に、いいのか……?」って。
たぶん、さっきのお話のことかな。
うん、にぃにが言うならいいよ。ホントはよくないんだろうけどさ。
…………でも、フェリおじさんたちだって、知らないでしょ?
にぃにがどれだけ苦労してきたかさ。
「……そんな急に言われたって、困ると思うんだ。……だから、今はそっとするといいよ。あっちって、ここよりおそいらしいし、だいじょうぶじゃないかな」
わたしはそう、言いました。
※
なんか、漢字の小テストの点数が上がった気がします。
フェリおじさんが熱心に勉強するから、その影響かも。
わたしが学校にいる間、フェリおじさんは図書館で勉強して、帰りはいつも校門で待っててくれます。
今は、嫌な感じになってるから、いっしょに帰れるかな?って思ったけど、フェリおじさんは来てくれました。
「……ロリよ」
「ロリじゃない!………ぁ……」
しまった。
昨日のお話しで フェリおじさん、名前知ってるの分かったから、気が抜けたのかな?
にぃに呼び方変えなくていいって言っちゃってたっけ……。
もぅ、ロリじゃないよ! 1文字しかあってないじゃない!
「……ああ__……リノ……?」
フェリおじさんは、オズオズと、わたしの名前で呼んでくれました。
「うん、リノ。会沢理乃。これからそう呼んで?」
「分かった」と、フェリおじさんはうなずきました。
それから、カバンを持ってくれました。
ありがとう、フェリおじさん。
優しいね。………優しいけど、ちょっと心配かなぁ。