視異 The story of sister
「___、…………ロリ。ごめんだけど起きて」
ある日、にぃには寝ているわたしを起こさせました。
「…………おかえり、にぃに……」
「ただいま、遅くなってゴメン。……ちょっとトラブったわ。悪いけど起きて? 人が来たんだ」
「ひと……? お客さん?」
「いや、外人さんだよ」
急に、にぃには背の高い男の外人さんを連れて来ました。
ビックリしました。とても、生臭くて。
にぃにと外人さんの会話を聞いてると、あらむでゅあ……?ってところから来たみたいです。
なんかいっしょに住むみたいです。
…………え、ほんとに?
だいじょうぶなの、にぃに。
※
次の日、お昼前に起きちゃいました。
部屋から出ると、外人さんがおすわりして、ねていました。あ、ねてなかったみたいです。目がぱちってあきました。
[ロリへ。 たまごスープもあるから、あたためてね。昼食はれいぞうこの中にあるよ。フェリといっしょに食べること。のこしたらお兄ちゃん泣くからねっ!]
わんわん泣いてる人のイラストがかかれた、おき手紙といっしょに、朝食のご飯がおかれていました。
…………このキャラ、にぃにかな?
フェリおじさんは、にぃにに『自由にしてて』って言われたみたいです。地図ももらったみたいです。図書館に行きたいって言うから、わたしも心配なのでついていきました。
「スゴく背が高いわね〜。見ない顔だし初めてなのかな?」
「見た?あのハンサム!服着てても腹筋割れてるの分かるのよ」
「…………でもなんで子供向きの所にいるのかしら」
「子供に読み聞かせでもするんじゃない?」
「え〜結婚してるのかなぁ」
本を借りてると、横からコソコソ話しが聞こえてきました。
おじさんけっこう注目されてます。
「はい、30日までね」
図書がかりの人にお礼をいって、フェリおじさんのところにいってみました。
絵本コーナーの本だなと、にらみあいっこして、うーんってしてました。
おすすめの本を教えたりして、いっしょに借りて、おうちに帰りました。
※
「そノ傷ハどうシた?」
フェリおじさんが、とつぜん聞いてきました。
熱でたおれちゃったときにできた、顔の傷のことです。
「ころんだんだよ」って言ったら、わたしの目の前にこしを下ろして、その傷を見つめてきました。
…………とっても近いです。
あ、目が赤い。キレイだなぁ。
フェリおじさんがボソリとなにか言いました。すると、ほっぺに光がつきました。大っきくてゴツい手から、光っていました。あったかいです。
「痛くなくなったか?」ってフェリおじさんが言いました。
なんのことか分からなかったですが、ほっぺをさわると、かさぶたがなおってました!おどろきです!!
フェリおじさんは、ホンモノの魔法使いだったのです!
※
にぃにが、マンガをもってきてくれました。
「ロリも読むと良いよ」って言うので、フェリおじさんといっしょに読みました。
冒険のお話で、男の子むけだなっておもったけど、とてもおもしろいです。絵のはくりょくもスゴくて、恋もありました。ニヤニヤしちゃいます。にぃにとおなじ高校生の生活を、おかしくかいたマンガもありました。
ときどきフェリおじさんもクスリと笑っていました。
※
今日は土よう日ですが、学校です。
授業参観なんだけど、授業を見に来てくれる親は、ざんねんながらいません。保護者はにぃにだけど、お仕事です。
フェリおじさんもどこかに出かけるみたいです。
でも、困りました。カギが、たりないのです。時間もないし、しかたないのでフェリおじさんにあずけました。
授業が終わって、保ご者の人たちが会議をするので、みんなさっさと帰りました。中にはつごうで親といっしょに帰る子もいました。…………良いな。
歩いてると、校門にフェリおじさんがいました。
たまたま見つけたみたいです。いっしょに帰りました。
…………さっきの子も、こんなフワフワした気持ちだったのかな?
フェリおじさんがお父さんになってくれないかなー。
にぃにがお母さん?あ、マンガでじょそうっていうのあったなぁ。
ままごとでやってくれないかなぁ。
※
きん急事たいです。…………あれ、この使い方であってるよね?
とりあえず、大変です。
はきものが、真っ赤です。布団も血だらけです。
えぇ? えっとえっと。…………どうしよう? なにこれ?
こういうときに、スマホです! 検さくしてしらべます。
…………せいり?ってやつみたいですね。痛くないからこわかった
けど、問題ないみたいです。……よかったぁ。だけど、ナプキンないです。貯めてたお小づいかいで、何とか買えるけど、…買いに行きたいけど…………どうしよう、行けない。
にぃにに電話しても、やっぱり出ません。
フェリおじさんにたのんじゃいました。
ちゃんと写真見せて、紙にも描いて、エコバッグもたせて。いそいで買いに行かせました。…………うぅ〜はずかしぃ……!
その間に汚れちゃった服をいそいで水につけて、布団は………あとでにぃにに聞こう。とりあえず洗ざいつけて、ゴシゴシしました。
フェリおじさんが帰ってきて、ちゃんと間ちがえずに買って来てくれました。
ありがと〜!
血の臭いがするみたいで、とても心配してくれました。
アタフタとあわてていたので、笑ってしまいました。
ちゃんと、だいじょうぶって言いました。
最初はなんか、カタイなって思ったけど、フェリおじさんはとてもとても、やさしくて、おもしろい人でした。