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どうやら異世界から来たようです  作者: るろうず
第一章 プロローグ
1/28

異変

素人です。3流以下です。


起承転結も決まっておらんというのに、投稿するようなおバカさんです!


先に謝らせてください。色々とごめんなさい。


香ばしいにおいが、キッチンに漂っている。


「おはよー、にぃに」


背後から声をかけられたオレは、我が愛しい愛しい妹に「おはよ」と返した。


「何 作ってるの?」

食卓について、事前に作った朝食に手をつけた我が妹は尋ねてくる。


「昨日あまったハンバーグをすり潰して、ピーマンの肉詰めにしてみました〜」

「なにそれ美味しそう」

あれ、あまりものなんだけど?

目を輝かせた妹を見、オレは仕方なしとピーマンの肉詰めを二つほど小皿に移してテーブルに置く。

「ホイ出来立てよん、火傷しないでね」

「やった!チーズ入ってる」

「飲み物何がいい?」

「牛乳!」


ご要望どおりの牛乳を注いだコップを他の食器に揃えて置く。美味しそうに食べる妹の姿を微笑ましく思いながら、オレは出来上がったおかずを弁当箱に敷き詰めていった。


「ごちそうさま!」

「お粗末さま、食器置いてていいよ。日直なんだろ?」

「ありがと!」

ドタバタと登校する身支度をし、いつも通り妹は最後にカチューシャをつけて、可愛らしいおでこを披露する。


「あ、ロリ」

「ロリじゃない!」

既に反射して応えるようになったロリに、折りたたみ傘を持たせる。

「昼から雨降るらしいからね」

「……ん、分かった。いってきます!」

「いってらっしゃい」


扉が閉まるのを見送ったオレは、食器類を片付けて準備を始めた。









「……ハァ、なんかダルい……」

まぁ、いつもの事だけど。

ロリが立ち去ると、感傷に浸ってしまうものだからいけない。


キッチン付近の窓から、何やら忙しない声が聞こえた。


「……__! 大丈夫か!? 救急車! おいすまねえ、誰か救急車呼んでくれねえか! 」


下から聞こえる。誰か倒れたのか?

ふと、そんな事を思いながら、カーディガンを着て弁当を手にとった。


「嬢ちゃん!しっかり!あぁ鼻血まで……___! 」

倒れた者に必死に呼び掛ける声。


___嬢ちゃん。

「…………ロリッ!!? 」


オレは、聞きいるようにキッチン付近の窓に飛び込んでしまった。


……いやまさか!さっきは何も違和感なかったぞ!


真相を知るべく、咄嗟に玄関へと向かおうとした矢先____。


機械と機械がぶつかったような。車と自転車が事故ったような。

そんな、衝突音が家のリビングあたりから聴こえた。


「……もう 今度は何?」


苛立たしく独りごちるオレは、早く下に駆け寄りたい衝動を抑えてリビングに近寄りカーテンを開けた。


「………………………」


何故か、変人が引っかかっていた。


黒い長髪。

現代社会ではあまり見られない、鍛えられたデカイ図体。

異質なのは、金属製の鎧を身に纏っているからか。背に大剣を抱えているからか。瞳が赤いからか。


清々しいほどに歪められた柵が、悲鳴をあげていた。

何とかよじ登ろうと身動ぎして動いてみるものの、柵はそれで耐えかねたのか、根本から千切れ、男は間抜けな顔をして柵と一緒に転落した。


そこで声をあげずに落ちたから大したものだ。


カーテンを閉める。





「ロリ!」


心優しいオッサンがいるから大丈夫だろうが、見ず知らずの野郎に今ロリが触られているかもしれないと思うと、いてもたってもいられずにオレは走った。






やはり、倒れていたのはロリだった。


救急車はまだ呼んでいなかった。……人通り少ないもんね、この時間。騒動に気付いた近所の人が、車に乗せて病院まで運んでもらった。ありがたい。


疲労による発熱らしい。

真正面に躓いて倒れた為か、顎や頬に怪我をおっていた。


そんなに無理してたのか……。まだ小学生なのに疲労からって、いじめにでもあっていまいな? よし、完治したら問いただしてやろう。


「お兄さん。酷な事を言いますが、保護者としてしっかり妹さんを見てやってくださいね。普段は元気に振る舞っていたとしても、ちゃんと気づいてやってください。あと、本人にも無茶をしないように言い聞かせてくださいね」

医者だったか、看護師だったか。はたまた助けてくださったオッサンか近所の人だったか。


うん、反省反省。


近所の人は送ってもらったあと、仕事があるらしかったので既に帰っている。後で礼をしなくては。

薬貰い、金を払い、タクシーを拾う。


ロリの体はぐったりとしていた。さっき吐いちゃったもんね。

後部座席でオレの膝を貸して横になる。

明るく食事をしていたロリの表情が打って変わっている。真っ赤になった顔に浮かぶ汗を、ハンカチで拭うと、ロリが此方を覗いた。

「……にぃに、学校は?」

「休むって連絡したよ」

何を思ったのか、ロリは涙を流す。

「……ごめんなさい」

「謝らなくていいよ」

「でもお金、ないのに……」


あはは、大人だなぁ ロリは。


「ロリが気にすることじゃ無いよ。こんな時に使う為にオレは働いてるんだから。寧ろ光栄さ。治ったらちゃんと表彰してね」

「……ん」

ロリは素直に返事をして、オレの太ももに顔を埋めた。


相当参っているらしい。

いつもならヤダって突っぱねるのに。


窓を見る。

予報通りに雨が降った。





休んで三日後になると、すっかりロリは元気になった。けれども今日まで学校は行かないで安静にしてもらう事にした。

「ロリ、お留守番よろしくね」

「うん、いってらっしゃい」

「行ってきます」


オレは2日ぶりに登校し、いつもどおりに授業を受けて、いつもどおりに校則時間外までアルバイトをして家へ向かう。

その帰り道。


「……?」


路地裏に違和感があった。ゴミを荒らすような物音がすれば誰もが不審に思うだろう。

だからオレも不審に思って路地裏を伺った。



不審者がいた。


酔っぱらいじゃない、ホームレスでもない、不審者だ。大剣を抱えた、リビングで見かけた、あの不審者だ。


願わくば。腹を空かせた猫かカラスを一目見れたらと思っていたが、見事に的外れなものと目があってしまった。


ここらの歩行者よろしく無視すればよかったと、その時オレは後悔するのだった。





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