表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
kimi  作者: LEIN
7/19

7

パソコンを切った後、kimiは机の前で動けないままだった。


「好きな人がいるの、もちろん女の人よ」


私はどうしてあんな嘘を吐いてしまったのだろう?


馨は少しがっかりした様子と大いなる安堵を得たようだった。





「私は、ノンケ。あなたとは別の世界の人間なの」


どうしてそう正直に言えなかったのだろう?


馨は「そっかぁ」と言いながら、明るく去って行った。


あの子は感はいいけれど、素直な子だから、私の言う事をそのまま鵜呑みにしているだろう。




それでも私の「また明日つきあってあげる」という申し出に、あっさりと「うん!」と楽しそうに返してきたけれど。


どうして私はパソコンなんてしているのだろう。





それも、夜な夜な、馨ばかりと話している。


それとも、私の嘘は気がついていて、知らないフリをしたのだろうか。


あの子なら、それも出来そうだ。


下手に気を回して、私を傷つけない為に−。




明日、馨は本当に来るだろうか?


恋愛の相手にもならない、退屈しのぎをしているだけの嫌な女だと思っているかしら。



そんな事は大した事のない事よ。だってリアルな世界じゃないもの。馨にとっても、私は数ある、通り過ぎて去っていく名もない女の一人に過ぎない。


考えを止めようとしても、堂々巡りになる夜があるものだ。部屋の明かりを消して、眠れないままベットにうずくまっていた。



いつしか、混沌が、私を暗く深い淵に落としていった。


--------------------------------------


馨はパソコンの前でついた肘をだらしなく崩して、「kimi」を待っていた。


今は7時半。約束は9時だけれど。


なんでこんなに早くから部屋を作って待っているんだろう?


ウィンドウをもう一つ開け、部屋の外からサイトを眺めてみる。


夜中は混雑を極めるこのサイトも、今の時間ではまだ空きが5つもある。




馨は@マークを片手でぽんぽんと打ち込んではエンターキーを押す。



「退屈だなぁ…」



だらしなく机の上で寝そべったまま思わず呟く。



エンターキーをぽんぽん打ち込んでいると、


「変な子 さんが入室しました」


と出た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ