第九話 忘れていた記憶
あけましておめでとうございます!黒死鳥です。今年もよろしくお願いします!今回で回想は終了です。
それでは、どうぞ。
「・・・だぁれ?」
「・・・」
そう女の子に聞かれる男の子。だが、応える様子はなかった。女の子は男の子に近づき、また聞く。
「私はフランドール・スカーレット。フランで良いよ。貴方は?」
「・・・えっ?あっ、俺は如月 照。照でいいぜ。で、フラン、だっけ?」
「うん!」
「フランの、その背中の羽は何?」
「これ、は・・・」
フランと呼ばれた少女は、少し話しづらそうにしていた。
「安心して、言ったことは信じるように努力するし、誰にも言わない」
「本当に、信じてくれる?」
「うん!約束する!」
男の子とは思えない言葉だったが、その言葉に安心したのか、話し始める。
「私、吸血鬼なの」
「うん」
「それでね、私お姉様にここに閉じ込められてて、本当はこんな羽じゃないんだけど、前に羽を取ろうとしたことがあったの。吸血鬼で、この能力がある。だからここに閉じ込められてる。だから能力は無くならなくてもこの羽が無くなれば吸血鬼じゃなくなると思った。」
「うん」
「でも違った。羽を取っても、この能力があっても、私はフランドール・スカーレットという名前と生きてきた時間がある限り吸血鬼であり、私であり、今の状況は変わらない。それで羽がない事に悩んだお姉様は、パチュリーに頼んで、この石を作ってもらって、くっつけたの。」
どうやらこの子は、吸血鬼で、お姉様に閉じ込められ、そのストレスと悩みからこうなってしまったらしい。
「・・・ごめん、変な事聞いて」
「ううん、いいの。私は誰でもいいから話し相手が欲しかったし、私が忘れ去られてるんじゃないかって怖かったの。だから、私の事を認めてくれるような人が来てくれて嬉しいよ。」
「そっか。ありがとう。これからは、1ヶ月に2回位は来るようにするね。」
「いいの?」
「うん。どうせ家に帰っても宿題ばかりでつまらないし」
「うん!じゃあ、約束だよ!」
「うん!」
そして景色が変わった。そして俺は幾つもの記憶を見た。初めは初めて会った人との記憶だけかと思ったが、どうやら違うらしい。それは、咲夜と遊ぶ記憶だったり、フランと遊ぶ記憶だったりと、様々なことがあった。一番驚いたのは、フランが490年以上も生きている、という事だった。そして、中学3年生の記憶を見ている時だった。
「おはよー照」
「おはよ、咲夜」
朝、どうやら同じ学校で同じクラスに入っているらしいこの二人は、普通に挨拶を交わした。
「そういえば、どうだった?昨日妹様と遊んで」
「いやー、いくら最近受験勉強で忙しいとはいえ、4ヶ月遊んでなかったから、流石に怒られたよ」
「ふふふ、だろうね。気をつけるんだよ」
「善処する」
そして、昼休みとなり、どうやらこの学年で仲良くなった人と食べるようだった。
「相変わらずお前の弁当は凄いな。全部手作りか。」
「まぁ、どうせ朝暇だし」
中身は、鮭のムニエルに豚の生姜焼き、卵焼きにサラダだった。
「そういえば、お前、好きなのか?咲夜さんのこと」
「へ?どうした急に」
「いや、いっつも一緒にいるからそうなのかなーって」
「いや、確かに幼馴染みだし、いい奴だなとは思うけど、そこまでじゃないよ」
「ふーん・・・もうちょっといい答えが欲しかったんだがな」
「なんだよそれ」
そんなこんなで、放課後となった。どうやら帰りの方向は一緒らしい。いまさらだが、今日は木曜日で、明日は開校記念日らしい。
「そういや、明日休みか」
「3連休だね。・・・私の家に遊びに来てもいいんだよ?」
「勉強したくないし、そうするかな」
「でも、妹様と遊ぶ時はバレないようにね?知ってるのは私だけで、お嬢様にバレると何があるかわかんないからね?」
「分かってるって。じゃあ、また明日な」
「うん、じゃあね」
また景色が変わる。多分次の日だろう。紅魔館までの森の道にいるようだった。
「・・・今思ったけど、遊ぶって言ったって何するかな・・・とりあえず、フランのところに顔出すのは確定として・・・」
そんなことを言いながら、歩いていく。そして、紅魔館がある場所へと着いた。だが、目の前には、信じられない光景が広がっていた。
「ここ、だよな・・・?どういう・・・ことだ・・・?」
紅魔館があったであろう場所は、草原になっていた。照は急いでネットのマップで現在地を見る。
「やっぱり、紅魔館がある・・・どういう事だよ?なんでなんだよ?」
マップにはあるが、目の前にはない。照は、頭の中が混乱している様だった。景色が変わる。交番の前だった。警察に言うつもりらしい。あった事をありのまま伝えている。だが、
「そんな事があるわけないでしょ。君、学生でしょ?こんな事に油売ってないで、勉強してなさい。」
「いや、だから・・・!」
「何度も言わせないでくれ。私は書類の整理で忙しいんだ。」
「・・・くそっ!」
と、相手にしてもらえない様だった。それもそうだろう。こんな話、信じられることはないだろう。そしてそのまま、次の日になる。だが、教室には咲夜の分の机は無かった。出席をとる時も名前は無かった。休んだ、とも行ってなかった。昨日のことをそれを友達に話しても「ありえないだろ?wお前疲れてんじゃねぇのか?」と、笑われ、流されるだけだった。そしてそのまま中学を卒業し、高校に入った。そのまま卒業間近まで過ごした。だが、
「じゃあな!」
「おう、じゃあ・・・って、照!危ない!」
「え」
横断歩道を渡ろうとした時、後ろには、制御を失ったトラックが迫っていた。それはスピードを緩める様子はなく、照、俺を跳ね飛ばした。そこで、記憶の映像が途切れる。ここから幻想郷の1件へと繋がるのだろう。・・・意識が、また、遠ざかる・・・。
「咲夜さん、照の状態は・・・?あれからもう1日経つんですよ?」
「安心してください。命に別状はないみたいですし、じきに目覚めますよ。」
「うー・・・」
内容は上手く聞き取れないが、聞きなれた声が聞こえる。1人は椛。もう1人は・・・咲夜っていったっけ?とりあえず体を起こそう。
「安心してくれ、俺はもう起きてるよ。椛に、咲夜、だっけ?」
「照・・・!」
「・・・!?」
「うおっ」
俺が起きていることを伝えると、椛は真っ先に抱きついてきた。
「照・・・良かった・・・」
「・・・心配かけて、ごめんな」
泣きながら尻尾を振っている。かなり心配したのだろう。俺は安心させるように抱きしめる。すると、
「あの・・・」
「あっすいません」
すっかり咲夜の存在を忘れていた。
「あの、もしかして、記憶が・・・」
「へ?記憶?ああうん、ある程度は」
「と、言うことは・・・!」
「うん、久しぶり、咲夜」
「・・・!」
なんと、咲夜まで、椛とは反対の方に抱きついてきた。俺は椛と同じ様に、安心させるように撫でる。そのまま状態のまま、俺は5、6分撫で続けた。
どうでしたでしょうか?因みに、なぜ咲夜を幼馴染みにしたかというと、咲夜は幻想郷の人間ではない、という設定があるのと、紅魔館は外から来た、というZUN氏による設定があったからです。まぁ、一番の理由は咲夜さんが東方キャラの中でもかなり好きだからです。
追記:咲夜の口調が敬語じゃないのは小さい頃から過ごしてた幼馴染みだから、という設定です。
初めて後書きっぽいこと書いた気がする。
もしなにか間違いがあればこっそり教えてください。シャッシャッと直します。
それでは次回まで、ゆっくりしていってね!