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俯瞰

作者: ヤケノ




エアコンの音に混じってカタカタと小さな物音がする。



E氏はその音の正体が気になってはいたけれど、見回してみても辺りにそれらしいものはない。

業者に調査を依頼したりするほどの必要性は感じておらず、無視することにした。



カタカタ。



壁や天井ではなく、どうやらもっと近くで音がしている。

机に向かっていたE氏は、引出しの中からその音が聞こえてくるのがわかった。



カタカタ。



ある日、E氏が思い切って机の引き出しを開けると、そこには小さな人間がいた。


はじめは人形だと思った。

誰かのいたずらだろうか?

いや、ここは自分以外使うはずがないのに変だなと考えていた。




精密に作られているそれは、動いていた。

その人形の周りの小道具もよくできている。


あれ?とE氏は思った。その小道具の一つに目をやると見覚えがあった。


バッグだ。

それはオーダーメイドのE氏のバッグにそっくりだった。

仕事がしやすいようにあれこれ注文を付けた世界に一つしかないものだった。



カタカタ。



引出しの中はまるで小さな箱庭だ。

E氏が今いる部屋の中そっくりなのだ。



改めて動いている人形を見る。

よく見るとそれは小さなE氏で、どうやら机に向かって何かをしているらしい。





E氏には、自分の上を見上げる勇気はなかった。


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