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ビターチョコとストロベリー  作者: 須谷
琴音久瑠実からのお話
12/40

映子ちゃんにコレクションを見せた日

前回の続き。同じ日です。

 前回の続きです。

 あらすじとして、映子ちゃんと仲を深めるためになにかお互いが知らなそうなところをさらけ出す的な企画ができましたとさ。映子ちゃんは前回今の口調になった理由を説明しましたとさ。そして私は、部屋を公開することになりましたとさ。

 ってな感じです。


 映子ちゃんの家を出発し私の家に向かいます。徒歩で約4分程度。結構近いです。

横で楽しそうにしている映子ちゃん。それに比べ私は複雑な顔をしています。

 私の部屋はエコさんであふれています。エコさんとはまぎれもなく映子ちゃんの芸名であり、ようは私の部屋は映子ちゃんだらけなわけです。

 ポスターとかは、壁に何かを貼るのは苦手なので貼っていませんが、雑誌の数がすごいのです。映子ちゃんも自分の出ている雑誌は持っているはずですが、多分その沙汰じゃないですね。

 応募者全員サービスで映子ちゃん関連のものが出たら2個はゲットしたいですし、抽選でエコさんの私物が当たる、という記事が出た時は雑誌を何冊買ったのか覚えていないくらい買いました。結局当たりました。

 とにかくすごい量の雑誌がきれいに並べてあるものですから、人によってはドン引きものなのです。

 母も久しぶりに部屋に入ったわーとか言って入った時、腰を抜かしていました。それぐらいすごいのです。

 あれこれ考えていたらもう家の前です。

「映子ちゃん、ここです。」

「ここか、すごい家だな…。」

 そういや外装のインパクトも強いんでした。父の影響でヨーロッパ風です。

「父がこういうの好きで…。中は普通ですよ。どうぞ。」

 映子ちゃんを家の中に促します。映子ちゃんは私の家をまじまじと見て、うおーとかスゲーとか言っています。

 自分は普通だと思っていましたが、ほかの人から見たらそんなこともないことを忘れていました。人を家に呼んだことなんて一度もありませんからね。

 家具は北欧製とイギリス製だけです。

「久瑠実の部屋はどこだ?」

 ついに来てしまいましたね、その発言が!!!仕方がないです。

私は腹をくくって、自分の部屋に映子ちゃんを招き入れました。

 部屋に入った後の、映子ちゃんの第一声はといえば。

「すげぇ。」

 私の部屋に入るなり、私のコレクションをまじまじと見始めた映子ちゃん。すげぇ以外何かを言うわけでもなく、ひたすら整頓された雑誌を眺めています。

「…こんなかんじです。どうでしょうか映子ちゃん。」

「すごいな…あたし、自分の載ってる雑誌とか全く興味ないから押し入れに放り込んでるけど。こうやって、並べて鑑賞してくれている人がいると思うと、がんばらなきゃいけねぇなって思う。なんかすげーうれしい。」

 そんなことを言われるとは夢にも思っていなかった私は、びっくりして口を開けたまま映子ちゃんを見つめてしまいました。

「ひかないのですか?」

「あたしも自分のこと言ったらひかれると思ってたよ。…普通にうれしい。」

 ほっとしました。こんな気持ち悪い奴とはもうかかわらない!とか言われるのも想定していましたからね。いわばアイドルの追っかけのようなものですから。

「そう…ですか。よかったです、映子ちゃんがそう言ってくれて…!」

 映子ちゃんが喜んでくれているようで私は幸せな気持ちになりました。

「ありがとう、久瑠実。」


 そのあと私の家でいつも通りいろいろお話しました。特に映子ちゃんのお仕事の話を。

私の知らない映子ちゃん、エコさんの姿を感じました。でも、映子ちゃんの中にいらっしゃるのです、やっぱりエコさんは。

「映子ちゃん、私映子ちゃんがお仕事しているところ見に行きたいです。見に行かせてください。」

 私がそう言うと、映子ちゃんは一瞬驚いた顔をしましたがすぐに笑顔になりました。そして、にっこりしたまま私に。

「いいよ。見に来てくれ。あたしの、生きがいをさ。」

 そういった顔は学校で見るあの笑顔じゃなくて、確実に有名モデルの顔でした。


 今ならきっと大丈夫。クラス替えや今日の企画で再確認しました。映子ちゃんと私はちゃんとお友達です。絆といいましょうか、そういうものが見えて前とは違って自信がわいてきました。


 今回はこの辺までにしておきましょうか。次は映子ちゃんの仕事場にお邪魔した時のお話をいたしましょう。


あと少しです。

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