映子ちゃんと初めて会った日
ゆるいガールズラブでございます。
かっこいい女の子に、ひたすらアプローチする乙女のお話です。
私、琴音久瑠実と申します。
今から、私の最愛のひと。森崎映子ちゃんについてのお話をさせてください。
短くしようと思ったのですが、私の映子ちゃんへの愛は底知れないので長くなってしまうかもしれません。申し訳ありません。でも、反省は致しませんよ?だって、本当に大好きなんですもん。
さて、まず映子ちゃんと私が出会った時の話でもしましょうか。
あれは高校一年生の時です。入学したてというか、入学式の日でしたね。
今でもはっきり覚えています。とっても印象的でしたから。
入学式のあの日、映子ちゃんは学校に遅刻してきました。
今となってはその理由が、お仕事が長引いてしまったからだということが分かるのですが、その時私は映子ちゃんが怖い人なのかと思っていました。
だって、初日に遅刻ですもの。
誰だってヤンキーさんなのかと思うじゃないですか。
でも、顔を見た瞬間にわかりました。
ちょっと制服を着崩して、不良っぽい身なりだったけど。
映子ちゃんは、モデルさんだったのです。
今、10代モデルで一番有名といっても過言ではないモデル、エコさんだったのです。
クラスのみんなは全く気付いていませんでした。
かなり印象を変えていましたもの。なかなか気づかないでしょうね。
でも、私の目はごまかせません。
だって、雑誌全部3冊ずつ集めて、ネットの記事も全部スクショして保存するぐらいエコさんが大好きだったんですもん!
中学校の時初めて見た瞬間一目ぼれして、その日から毎日毎日毎日毎日情報をチェックし続けていたのですよ?気づかないわけがありませんでした。
でも、映子ちゃんは気づかれたくない様子でした。
そりゃあそうでしょう。見た目をどうにかして学校に来るぐらいです。目立ちたくないのは当然です。
だから、私はこっそり声を掛けることにしました。
因みに、私のテンションはマックスでした。心拍数倍ぐらいあったと言っても過言ではないぐらいです。
入学式とその後のイベント一式が終わり、クラスの一員たちが岐路につき始めたころ。
エコさん…こと映子ちゃんは、誰よりも早く帰る準備をしているのかと思えば、そんなこともなかったので自然に声を掛けることができました。
「森崎さん…!あの…。」
しかし帰ってきたのはとげとげとした声。…雑誌の印象とは違うけれど、嫌いじゃない!むしろ好きです!
「なんだ、お前?遅刻の言及とか?」
もちろん私はそんなこといいません。私は大好きなエコさんとお話がしたいだけでしたので、そのときは。(今は映子ちゃんのすべてが大好きです。)
極力小さな声で言いました。もともと大きな声は出せないのですが。
「違います!あの…エコさんでしょう?」
映子ちゃんはすごく驚いた顔をしました。まさかばれると思っていなかったのでしょう。本当にすごい化けっぷりですもんね。
私も、毎日眺めていなかったら気づいていなかったと思います。
「お前、関係者にいたか?」
そこから疑うのが芸能人らしいと言いますか。口は悪くともオーラがすごいと思ったことを今でも忘れられません。
今はオーラとかそういう感じじゃないですからね。仲良しですから。
気が付くと、教室には私たち以外誰にもいませんでした。
だから私はひっそりじゃなくて、自分の中でかなり大きな言いました。
私には伝えたいことがあるのです!
「関係者じゃないです!ただの学生です!大ファンなんです!雑誌も、ネットの記事も、全部持っています。見せましょうか!!?えっと!あの…あの…。」
必死すぎて次の言葉が出ませんでした。いつもは冷静に、時にはあざとく対応していた私が何もできないのです。自分にとってこの人の影響はすごいんだなと、改めて実感しました。
「そうか。良く気付いたな、これでも結構見た目変わるように努力したんだぞ?不良っぽくしたら、休んでも違和感ねぇかなって思いながら。」
映子ちゃんはその時、私の頭をなでました。さっきまでつんつんしていたのに笑顔になって、なでなでと。
ぜ映子ちゃんがそんな行動をとったかは、いまだに教えてもらっていないんですけど、とにかくなんか警戒心がほどけたみたいです。必死でファンだと訴える私に、なにかしらの好感を持ってくれたのでしょう。
この時余計映子ちゃんのことが好きになったのは言うまでもありませんね。
「わかるに決まっています。紙や画面上とはいえ毎日見ているんですもん。見た瞬間わかりましたよ。」
映子ちゃんはふっと笑ったあと、私の頭から手を放して真剣な顔をして言いました。
「でも…絶対に、言いふらすことだけはやめてほしい。ほとんど学校に来られないだろうから、気づくやつはそんなにいないはずだ。だから…。」
そんなこと、わかっていました。
私は中学校の時にエコさんに出会ってから、彼女のことしか頭煮ないぐらい大好きなんですよ?
「大丈夫です。心配しないでください。絶対に口外したりしません。」
さっきの、言葉に詰まっていた時の私からは想像もつかないぐらいはっきりとした口調で言いました。
だって私の頭の中にはずっと、雑誌の向こう側のエコさんしかいなかったんですからその人が嫌がることなんて死んでもしたくありません。いや、エコさんが死ぬまで死ぬつもりはないですけどね?
「お前、見た目の割に強そうだな。」
映子ちゃんはそういって笑いました。いつも真剣な顔で写真をとられている映子ちゃんの自然な笑顔は結構ぐっときます。一撃必殺です。これは今でも変わりません。
「当たり前です!時には可愛く、時には強く、格好よく。学校の範囲内では私があなたを守って見せます。…森崎さん…、いえ、映子ちゃんは、私の前では普通の女の子でいていいんです。楽しく高校生活を送っていいはずなんです。それができるように私がサポートしますから。」
これもまた、はっきりと言いました。さっきの笑顔を見た瞬間に決意したんです。目の前にいる、この森崎映子という人間をちゃんと見ようと。エコさんじゃない時は、普通の女の子でいさせてあげようと。
仕事と私事が混合してしまうのはきっといやなはず。
だから彼女が学校では自然でいられるように、私は尽くすだけです。
「ありがとう…。本当に助かるよ。なぁ、お前、名前は?」
あのエコさんに名前を聞かれるなんて…幸せでたまらない、数分前ならそう思っていたことでしょう。でも、私に名前を聞いたのはただの女子高生の映子ちゃん。もうすでにどっち映子ちゃんも大好きだったので嬉しいのには変わりはありませんが、私は普通に答えます。あくまでも、お友達の対応で。ファンではなくて、です。
「琴音久瑠実と申します。よろしくお願いしますね。」
私は深々と頭を下げて言いました。森崎映子ちゃんによろしくお願いしますをするために。
私が頭を上げると映子ちゃんは私に言いました。
「なぁ、久瑠実ってよんでもいいか?」
「もちろんですよ、映子ちゃん。」
映子ちゃんは、本名で呼び合うことがほとんどないのでしょう。
慣れないのか、とっても恥ずかしそうににこっと笑いました。
これが出会った時のお話です。
この後のお話はまた今度お伝えさせていただきますね。
まだ、映子ちゃんの魅力の1%もお話できていませんから。
久瑠実ちゃんの映子ちゃん愛のお話はまだまだつづきます。
ビターチョコは、苦い中のほんのりとした甘さということで、いつもバリバリ格好よく仕事してるのに、根っこは人見知りで笑顔が可愛い映子ちゃんのこと。
ストロベリーは見た目が可愛い久瑠実ちゃんのことです。