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転生先の乙女ゲームの世界で何故か主人公してます。  作者:
サーファーとお姉さんと物語
31/33

29.野外活動 2日目 午後



皐先輩と一緒にイルカショーの場所に行くと、役員の皆がいた。

「あ、ちーちゃんと皐先輩いたー!」

「澪先輩ー。千智いましたよー!」

「司!探しに行く手間が省けたみたいだ。」

これから二手に別れて探そうとしてくれていたのか、二方向から皆が集まってきた。

「すいません、はぐれてしまって・・・。」

「それは大丈夫ですよ。ですが、その手の説明を皐君にお願いしたいですね。」

「え、手?」

そう言えば、手を繋いだままだった。

「え、えっと、これは・・・。」

私は困って皐先輩を見た。

「繋ぎたかったから、繋いだだけ。」

「っーーー。」

は、恥ずかしい。

「うわぁー。皐先輩すごーい。」

「直球過ぎて、恥ずかしーい。」

「皐・・・。」

冬宮先輩でさえ、何か言いたげな感じだ。

「聖?どうしたの?」

「何と言うか。取り合えず、手を離すか。」

皐先輩が少し顔をしかめた。

「皐。我儘言うな。」

「ん。」

すると、さっと離してくれた。

「役得だったことには変わりない。」

え?

「皐!」

「皐君!」

「皐先輩!」

私にはよくわからなかったけど、皆は皐先輩にいろいろと言っていた。うーん、謎かも。


その後イルカショーを見ようとしたら、翠の班の人達と会い、一緒に見ることとなった。

そして今はホテルに戻って来て、イルカショーで濡れた服を着替えている。

「千智、楽しかったねー!」

「本当ね!冬宮先輩がびしょびしょになった時はどうなるかと思ったけどね。」

そう。今回のイルカショーで冬宮先輩は頭から水を被ってしまった。私たちは軽く濡れただけだったけど、先輩は頭から水が滴る程だった。しかもその後、海君と空君にからかわれ機嫌は最悪になりそのまま別れてしまった。

「きっと、夕食では機嫌が治ってるよ。きっと。」

あれ、言ってて自信がなくなってきた。

「そうだといいけど。」

すると、突然インターホンがなった。

「誰か来る予定あったっけ?」

「私はないけど、翠は?」

「私もないと思う。」

誰だろうと思い、ドアを開けると驚きの人がいた。

「ふゆ、冬宮先輩!?」

明らかに不機嫌そうな顔をして先輩は立っていた。

「えっ!?」

翠も慌てて振り向いている。

「あの、どうされたんですか?こんな所まで・・・。」

そう、だってここは女子ばかりのフロア。冬宮先輩にとっては拷問、地獄でしかない。

「・・・・・を・・てくれ。」

「え?あの、何て、」

「ドライヤーを貸してくれと言ってるんだ!」

「髪を乾かすあのですか?」

「他に何があるんだ!」

「で、ですよね、すいません。」

ヤバイ、不機嫌そうじゃなくて、超絶不機嫌だ。

「千智、私、ちょっと出掛けてくるね。」

「え、あ、翠?」

「じゃあ、また夕食で!」

そのまま走って出て行ってしまった。ズルい、明らかに冬宮先輩の機嫌の悪さを察して逃げた。私だって逃げたい。

「おい、入るぞ。」

「あ、はい。」

部屋に入ると先輩は、鏡台の前に座った。私はぐだぐだしていると怒られると思い、最速でドライヤーの準備をした。

「あ、冬宮先輩。乾かしましょうか?」

「ん?あぁ、頼む。」

「わかりました。」

私は先輩の首にかかっていたタオルでさっと拭いてから、ドライヤーのスイッチを入れた。

「熱かったら言って下さいね。」

「あぁ。」

部屋にはドライヤーのブォーという音だけが響いている。気まずい。この沈黙が何とも言い難い。

「こうやって、」

「え?」

「こうやって人に髪を乾かして貰うのは、とても気持ちがいいんだな。」

鏡越しに冬宮先輩が少し笑った。

「それはよかったです。」

それ以上のことは、別の気まずさで何も言えなかった。


髪を乾かし終えると、夕食の時間が迫っていたので2人で向かうことにした。

「おい、何でそんなに離れて歩く?」

「え、それは・・・。」

私は2人分くらい空けて冬宮先輩の横を歩いていた。

「俺は特にお前に嫌われる様なことをした覚えは・・・、あるか。」

「え?」

あ、あるんだ。何かあったっけ?

「温室でのことは悪かったと思っている。今はあんな風には思っていない。」

あ、そう言えば初めて会った時にいろいろあったっけ。ほんの少し前なのに、昔に思えてくる。

「あ、いえ、私もあの時は生意気なことを・・・。」

冬宮先輩が顔をしかめた。

「あの時のことでないなら、何か他にあるのか?」

「あの、そもそも私冬宮先輩のこと嫌いじゃないですよ?離れて歩いているのは、冬宮先輩が女嫌いなので何処まで近付いて良いのかわかりかねているだけで。」

すると、冬宮先輩は先程よりも更に顔をしかめた。

「何故、俺がお前を嫌いだと決め付ける。」

「え、だって私、一応女・・・。」

まさか、私、女だと認識されてないとか?

「何か変なことを考えてそうだから言うが、お前が女だということは認識している。」

「え、じゃあどうして・・・。」

よかった。認識されていて。

「藍川には俺の能力が効かない。だから、俺はお前のことが、」

「「お前のことがー?」」

「えっ!?」

「なっ!?」

突然、目隠しをされた。

「海君、空君!」

「あ、バレた。」

「驚いた?」

「驚いたけど!」

あ、冬宮先輩の話が途中になってしまった。

「あの、冬宮先輩。さっきの続き・・・。」

「知らん!」

「えぇ!?」

怒らせた!?どこで怒らせたんだろ。

「ちょっとー、聖君、恥ずかしいからってちーちゃんに八つ当たりは駄目でしょー。」

「それは男としてアウトだよねー。」

恥ずかしい?今の何が?

「五月蝿い。そもそもお前らが余計なことを。」

「んー?何ー?」

「聞こえなーい。」

冬宮先輩がスタスタと先に歩いていってしまった。

「藍川取り合えず、俺は女でもお前だけは嫌いではない。だから、俺に気を使う必要はない。」

「え、あ、はい!」

嫌われているわけではないということがわかってほっとした。

「うーん、惜しいよね。」

「あそこで嫌いじゃないと言っちゃう辺りがね。」

「おい、さっさと行くぞ!」

「はーい!」

「「待ってよー。」」

私達は急いで夕食会場に向かった。


今日の夕食はバイキングでとても美味しかった。ついつい食べ過ぎてしまうから、明日は気を付けないと。

「千智ー、もうすぐ皆来るよー。」

「うん。もうすぐ髪の毛乾かし終わるから大丈夫。」

今日も昨日のメンバーが私達の部屋に集まることになっている。よし、乾かし終わった。


コンコン


「あ、来たみたい!開けるね!」

「うん。」

丁度支度が終わった時でよかった。皆を待たせるのも悪いしね。

「お邪魔しまーす。」

「今日もよろしくー。」

綾ちゃんと由美ちゃんが大量のお菓子を抱えて入ってきた。美樹ちゃんと紗香ちゃんは大きなペットボトルとコップを机に置いている。

「あれ、春奈ちゃんは?」

翠がキョロキョロしながら皆に聞いている。

「春奈、何か体調が良くないんだって。でも熱もそこまでないし、怠いだけだから心配しないでって言ってたよ。」

由実ちゃんが答えてくれた。なんというか、うん。多分、朝のことが関係あるよね。

「そっか。心配だね。」

「明日にはよくなるといいんだけど・・・。」

皆も口々に言っている。そっか春奈ちゃん、朝のことは誰にも言ってないんだ。

「まぁ、後でお菓子でも持っていってあげよっ!」


コンコン


綾ちゃんがそう言った後、ドアのノックする音が聞こえた。

「ん?誰だろ、春奈ちゃんかな?」

私は不審に思いながらもドアを開けた。

「よっ!」

「え、樹君!どうしたの?」

すると部屋の皆がこっちを振り返った。

「あ、千智達もこれから集まるの?俺達もこれから集まるんだけどさ、一緒にゲームでもしないかなと思って。」

「ちょっと待ってね、皆に聞いてみ、」

「「行きます!」」

「だそうだよ。」

美樹ちゃんと由実ちゃんの声で即決となった。


「ここが俺らの部屋。たいして変わらないけど、男子は大部屋だから広いと思うよ。」

そうして樹君はドアを開けた。

「遅くなって悪い。今戻ったー。」

「樹、おせぇよ。てか、女子は?やっぱお前でも無理だったかー。って、藍川さん!?」

「え、あ、はい!」

反射的に返事をしてしまった。

「え、藍川?」

すると、中から沖本君も顔を出した。

「あ、こんばんは。」

私は軽く会釈をした。

「ん。」

よかった、会釈を返してもらえた。

「とゆー訳で、女子を部屋に入れるんだからお前らさっさと部屋を片付けるぞ。」

「「イエッサー。」」

すると、後ろにいた何名かがドタバタと部屋を片付け始めた。うん、凄く急いでいることが伝わる。

「はいっ、どーぞ!」

30秒程ドアを閉めてドタバタしたら樹君が中に招いてくれた。


「お邪魔しまーす。」

「あ、意外と片付いてた。」

ちょっと、翠。それは言っちゃ駄目でしょ。

「あ、こっち座っていいからー。」

樹君達が人数分の座布団をひいていた。

「あ、わざわざごめんね。手伝うよ。」

「え、いいって。藍川達はお客さんだし。」

沖本君にそう言うと軽くかわされた。

「お言葉に甘えるね。ありがと。」

「あぁ。」

私は沖本君の横に座った。

「よし、皆座ったなー。」

樹君がぐるっと見渡した。

「じゃあ、長い夜の始まりー!!」

そうして私達の長い夜は始まった。




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