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転生先の乙女ゲームの世界で何故か主人公してます。  作者:
サーファーとお姉さんと物語
29/33

27.野外活動 1日目 夜

新しく魔女のお話を描きたくて連載始めました。

題名は「漆黒の魔女」です。よければ、ぜひ読んでみて下さい。





ただ今、夜の8時。

私と翠の部屋に女子が7人集まってます。

「え、美樹、星宮会長が好きだったの!?」

「うん。そういう綾はやっぱり澪先輩?」

「もっちろん!私、一途だし!」

なんということだろう。私はまさかの女子会というものに混ぜてもらっている。正直、前世ではまともに高校生活を送れなかったから夜の女子会の類いは全くといってもいいほど皆無だった。転生先でこんなことが出来るとは感動だ。それに、新しく女子の友達も出来た。さっき澪先輩一途だと言ったのは、本多綾(ほんだあや)ちゃん。明るい茶色の髪と目をした子だ。どこかお姉さんって雰囲気がある。そして、司先輩のことが本命らしいのは大野美樹(おおのみき)ちゃん。焦げ茶の髪のくりっとした目が特徴の可愛らしい雰囲気の子。

「春奈は誰なのー。教えてよー。」

「由美は響先輩でしょー。」

「私も春奈は気になるー。」

「紗香までー!どうせ紗香は聖先輩なんでしょー!」

そして今騒いでいる3人。まず、竹宮先輩が好きという川手由美(かわてゆみ)ちゃん。赤茶色の髪の目鼻立ちがスッキリとした美人さん。でも、まさか竹宮先輩が好きだとは・・。変わっているのかもしれない。

次に冬宮先輩が好きだと言ったのは山口紗香(やまぐちさやか)ちゃん。まっすぐの少し茶色の入った黒髪でたれ目の子。冬宮先輩って・・・。もしかしたら、由美ちゃんと紗香ちゃんはMなのかもしれない。

そして最後に誰が好きか告白しないのは、薄い茶色の髪をした吉田春奈(よしだはるな)ちゃん。天然パーマなのかふわっとした印象だ。

「私のことはいいよーう。ね、ね、千智ちゃんは!?」

春奈ちゃんが突然私に振ってきた。

「え、私!?」

「春奈も気になるけど、千智も気になるかも!」

「確かにー!」

すると2人で話していた美樹ちゃんと綾ちゃんも入ってきた。

「私らも混ぜてよー。」

「私も千智は気になるしね!」

マジですか。何故こうなった。それに加え、翠がすごい形相で私に詰め寄ってくる。

「千智、好きな人いたの?私に内緒で?」

そんなに詰め寄らなくても・・・。いや、そもそも誤解を解かなくては。

「私、好きな人とかいなくて・・・。」

「えぇ!?嘘!?あんなに格好いい人達といて恋に落ちないの!?」

そう言ったのは綾ちゃん。他の皆も頷いている。

「そんな暇もないというか・・・。」

確かに暇はない。"色"のことや温室のこともあるし、間違ったことは言っていない。

「あ、でも皆のことはちゃんと格好いいとは思うよ?」

それはもちろんだ。あんなに綺麗な人達を彼らの他に私は知らない。

「いや、まぁ、そうだけどー。」

皆、どこか不満の様だ。

「じゃあ、千智の一番格好いいと思う人は!?」

由美ちゃんが笑顔で聞いてきた。一番格好いいと思う人かー。やっぱり・・・。

「及川先生かな。」

その瞬間、皆の顔が輝いた。

「なにそれ、萌える!」

え、萌える!?紗香ちゃん!?

「わかる!禁断の愛っていうか!」

わかる!?美樹ちゃんまでどうしたの!?

「あー、この子らそーゆーの好きだからスルーでいいよ。」

綾ちゃんはどこか馴れている様子。


コンコン


皆で話していると突然、私達の部屋にノックの音が響いた。見回りの先生だろうか。少しはしゃぎ過ぎてしまったかなと皆で思っていると呑気な声が聞こえた。

「藍川ちゃーん。俺だよ、開けてよー。」

「及川先生!?」

きゃーっと美樹ちゃんと紗香ちゃんが叫んでいる。今はそんなことを気にしている場合ではない。

「い、今開けます!」

「ぜひー。」

「千智って年上だったんだね。」

「千智ちゃん、大人ー。」

後ろから不穏な言葉が聞こえたけれど、気にならなかった。だって、扉を開けて見たのは銀髪をなびかせた夕方とはまた違った及川先生だったから。


「待ちきれなくて迎えに来ちゃった。」

来ちゃったって・・・。先生、仮にもここは女子部屋ですよ・・・。私が呆れていると後ろから声がかかった。

「千智!迎えに来たってどういうこと!?会う約束とかしてたの!?」

翠が興奮気味に話してきた。

「うん、そうだよー。これから藍川ちゃんと2人っきりで会う約束してるんだ。だから、藍川ちゃんを連れ去るねー。あ、駄目とか言っても連れてくからそのつもりでね。」

及川先生が妖しく微笑んだ。

「やっぱり、千智と及川先生はそういう関係・・・。」

いや、ちょっと待って!綾ちゃんも皆も誤解だから!

「それはちがっ!」

「だから、皆。秘密にしていてね?」

私を抱き寄せて及川先生はいつもより低めの声で囁いた。


その後は大変だった。及川先生の妖艶さにノックアウトされた数名がダウンし、残りの数名が萌えると言って騒いでいた。そしてご丁寧に私と先生のことは黙っていると約束までしてくれた。

そして及川先生に連れ出されて今に至る。私が今居るのは談話室みたいな場所。右手にはドライヤー、左手には櫛という異質な物を持って。

「じゃあ藍川ちゃん、よろしくー。」

そう、私は蜂蜜の時のお礼を果たそうとしている。お礼は簡単。及川先生の髪の毛を乾かすということ。本人曰く、長いと自分で乾かすのは時間がかかり面倒らしい。

「熱かったり痛かったりしたら言って下さいよー。」

「はいはーい。」

そして私は髪を乾かし始めた。始めたけど!それにしても綺麗な髪だな。あと、触り心地が良い。正直言ってずっと触っていたい。なんか、毛並みの良い猫みたいな。

「ねー、藍川ちゃん。」

「どうしました?及川先生。」

「俺の能力知りたい?」

「えっ!?」

及川先生の能力・・・。そう言えば聞いてなかったな。

「知りたいです。」

「んー、じゃあね、名前を呼んでくれたらいいよ。あ、及川先生って言うとかいうオチはなくていいからね。」

笑顔で言われた。

「だって、悠のことをいつの間にか名前で呼んでるしー。なんか、疎外感?」

「はぁ。」

「だから、名前を呼んでくれたら教えてあげる。」

これは、やっぱいいですとか言っても呼ばされるパターンだよね。

「博先生。」

「先生呼びは嫌だなー。今俺、完璧にオフだから。」

いや、生徒の前でしかも野活中にオフにならないで下さいよ。

「じゃあ博さんですか?」

「そう、だね。2人だけの時はそう呼んで欲しいな。」

「わかりました。じゃあ、何の能力か教えて下さい。」

丁度、髪を乾かし終わった。ドライヤーとくしを横に置いて博さんを見た。

「それはね。」

その瞬間、とてつもない浮遊感に襲われた。気付くと波の音と潮の香りがする砂浜にいた。


「どういうことですか!?何で、私達海に!?」

「これが俺の能力。瞬間移動(テレポート)。」

瞬間移動(テレポート)!?」

何て便利な・・・。羨まし過ぎる。

「でも、完璧に"色"が戻ってないから短距離だし、時渡(ときわた)りは出来ないけどね。」

博さんは遠くを見ながら言った。

「あの、時渡りって何ですか?」

「あぁ、そっか。普通はわかんないよね、時渡り。時渡りって言うのはね、過去や何パターンかある未来の時間帯に行けるってことなんだよ。」

「タイムスリップみたいなことですか?」

「うん、そう。いろいろ制限はあるけど旅行みたいで楽しいよ。」

「良いですね。楽しそうです。」

行ってみたいかも。

「"色"が戻ったら藍川ちゃん、連れてってあげるよ。」

「えっ!本当ですか!?」

「うん。約束。」

そう言って、博さんは小指を差し出してきた。

「指切りですか?」

「子供っぽい?」

「いえ。」

私は小指を差し出した。

「「ゆーびきーりげーんまーん、嘘ついたら針千本のーますっ、指切った!」」

「これで連れていってもらえますね。」

私は笑顔で言った。

「あ、でも全てが一段落したらだからね?」

「わかってますよ。」

「本当に?」

「わかってますって。」

「それなら何で俺がわざわざ藍川ちゃんを時渡りに連れていくと思う?」

「え?」

な、何でだろう。

「それも、俺はまだ誰とも時渡りはしたことがないんだよね。もちろん約束したのも藍川ちゃんが初めて。何でかわかる?」

「わからない、です。」

「ふぅん?」

あ、やばい。博さんの目が変わった。私の髪で遊び始めたしこれは私の脳が危険信号を出している。

「は、博さん!?」

「ん?何?」

「い、いえ・・・。」

どうしよう、何か打開策を・・・。

「ま、今はわからなくていいよ。」

「へ?」

「俺はちゃんと旬の時に狩るからって話だよ。」

か、狩る!?狩るって何を!?

「さ、そろそろ帰ろっか。」

「え、え!?」

「はい、もっと引っ付いてねー。」

「わ、わ!」

突然手をひかれたので抱き付くしかない。

「はい、レッツゴー。」

そしてまたあの浮遊感に襲われ、気付くと談話室の様な場所に戻っていた。

「そんなに抱き付いてもらえるとは、男としては嬉しいけど複雑だよね。」

「あ、すいません!」

「もうちょっと、抱き付いててもよかったのに。」

「今日の先生は少し意地悪ですよ。」

私は非難の目を向けた。

「男は皆そんなもんだと思うよ?」

「そんなことないですよ!多分!」

「じゃあ今日は藍川ちゃんと朝まで恋愛トークだ!」

「えぇ!?」

そうして私と博さんは司先輩に見つかるまで恋愛トークをした。勉強になったような参考にならなかったような、だけどとても楽しい想い出になった。






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