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転生先の乙女ゲームの世界で何故か主人公してます。  作者:
サーファーとお姉さんと物語
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26.野外活動 1日目 夕方 蜂蜜





及川先生の元に行くべく樹君と皐先輩と歩いていると、焦げ臭い臭いがした。

「なんか焦げ臭くないですか?」

「臭う。」

「まさしく失敗しましたーって感じの臭い?」

樹君の言う通りまさにそれだ。これはスルーするには到底無理なやつだろう。スルーした後、山火事にでもなったら大惨事だ。

「私達、一応生徒会ですよね?」

私の言わんとすることがわかったのか2人共、臭いのする方へ歩き出した。

「この辺から臭いが・・・。」

「おい、それはそこじゃないっ!こっちだ!」

「え?こーじゃなくて?」

「それは触るなー!」

「じゃあこれなら?」

「やめろ!お願いだからやめてくれ!」

何処からか悲痛な叫びが聞こえてきた。恐らくここが臭いの原因だろう。

「何か揉めてる?」

「むしろ懇願してるっていうか。」

「とにかく行ってみましょう!」

私達は声のする方へ歩いて行った。


「だから、何度言えばわかる!?お前は向こうで座っていろ!」

「いやでも、それは流石に先輩方に悪いかなって。」

「それは先輩方から了解を取ってるから、大丈夫だと言っているだろう!」

「でもー。」

声のする方へ行くと地獄絵図だった。黒い煙に焦げた臭い。そして、よくわからない黒い固形物。そして今にも怒りを爆発しようとしているクラスメイト。そう。地獄絵図になっていたのは翠と沖本君のいる班だった。


取り合えず、クラスメイト達は話を聞ける状態では無かったので他の班員の人に話を聞いてみた。

「あの、すいません。生徒会なんですけど・・・。」

「あー。はい。何ですか?」

私が話しかけたのは、雰囲気が優しそうな恐らく上級生だと思う、男子生徒。

「あれ、ゆきじゃん。」

「お!樹!」

私が話しかけた相手に反応したのは樹君。敬語じゃないことから同級生だとわかる。上級生じゃなかったのか・・・。

「ゆき?」

「そっ。本名、岩川夕貴(いわかわゆうき)だからあだ名はゆきなんだけど。もしかしてここ、ゆきの班?」

「うん、まぁ。」

岩川君は苦笑いをこぼした。

「上田さんがちょっとやらかしたと言うか、何と言うか・・・。」

「翠が?あっ!」

思い出した。確か翠は作った物が全て黒い固形物になるという能力を持った魔法使い。

そんな彼女がここで料理をしたんだとしたら・・・。

「翠!」

「千智!?」

「藍川!」

沖本君の目が翠を止めてくれと言わんばかりの目をしている。

「翠、料理をしたの?」

「うん!皆を手伝いたくて!」

そんなキラキラの目で言わないで欲しい。

「翠。この学園にいる間、料理禁止令を出します。もし約束を破ったら一生私は翠のために料理はしません!」

「千智!?」

「理由はわかるよね?」

「・・・。うん。」

「今度、料理は教えてあげるから。ね?」

「うぅー。わかった。」

この後、沖本君達に感謝されたのは言うまでもない。


「いやー、まさか上田が料理音痴だったとはなー。」

「黒い固形物・・・。」

皐先輩は軽くあの黒い固形物がトラウマになっている様だった。まぁ、あれは人の成せる技じゃないと思っておこう。

「あ、博先生ー!」

樹君が叫んだ。その方向にはいつも通りの白衣ではなく、私服を着た及川先生がいた。


だ、誰あれ。いつもの及川先生と全然違う・・・。

髪の毛はいつもの位置じゃ邪魔なのか、高い場所でポニーテールにしてあるし、動きやすい服の中にカジュアルさがあって爽やかにまとまってる。

いや、決していつもが爽やかじゃないって言っている訳じゃない。訳じゃないけど・・・。

「かっこいい。」

「えっ。」

「なっ!?」

今の私の呟きが聞こえたのか、笑顔の及川先生がこっちに歩いて来た。


「藍川ちゃん、今の本当?」

「え、あ、はい!」

言えない。すぐに答えれなかったのは見とれていたからなんて絶対に言えない。

「やっぱり髪型って大事なんだねー。洋服は仕方ないとして、普通の時も髪型変えてみようかなー。」

それは毎日が楽しみ過ぎる・・・。

「そうしたら藍川ちゃん、毎日俺に会いに来てくれる?」

「えっ!」

「はい、博先生ストーップ。」

「千智。」

何故か、皐先輩の後ろに追いやられてしまった。

「やっぱり周りのガードが固いよねー。まぁ、藍川ちゃんとはまた2人きりの時にでも。」

そう言って、妖しく微笑まれた。

「そんな時は一生、博先生には来ませーん。」

樹君と及川先生が口論をし始めた。何と言うか、見た目が変わっても及川先生は及川先生だと改めて実感した気がする。

「博先生。蜂蜜。」

黙っていた皐先輩が話を元に戻してくれた。

「蜂蜜?あるけど?」

「少しわけて頂けませんか?」

「いいよー。藍川ちゃんからのお願いだしねー。ちょっと待ってて。」

けれど、蜂蜜を取りに行こうとした及川先生が戻ってきて、私の耳に口を寄せた。

「なっ。」

「はぁ!?博先生!?」

そんな樹君を無視して先生は言葉を続けた。

「その代わり、俺のお願いをきいてくれる?」

「な、何ですか?」

「それはーーー。」

「っーー。わかりました。」

「やった。じゃあ、よろしくね。」

「はい。」

ようやく離れてくれた。まだ胸がドキドキしてる。

まさか、こんなお願いをされるとは・・・。

及川先生から蜂蜜を貰ったあとも、まだ紅い顔が治らなかった。


それから及川先生と別れて自分の班に戻ると、いい感じにカレーが出来ていた。

「雪宮先輩、火の番ありがとうございました。」

「いえいえ。千智さん、それは?」

私の右手を見ながら先輩は言った。

「蜂蜜です。及川先生から貰ってきたんですよ。」

「そうなんですか。出来上がりが楽しみですね。」

「はい!」

それから少しして悠先生が出来上がったお米を持ってきてくれた。そしてそのまま、悠先生も一緒に食べることになった。それにしても、先生達の服装にどうしても目がいってしまう。だって、学校での雰囲気と全く違っていて先生達の新しい一面を見れた気がするんだもん。あ、これがギャプ萌ってやつか!百面相をしながら悠先生をガン見していると首をかしげられてしまった。気を付けなければ。

その後、カレーをお皿によそっていると何処からか来た及川先生と翠が私にお皿をつきだし、一緒に食べることになった。及川先生はともかく、翠の班のことは聞くに聞けなかった。いや、だって怖いし。

そうして、少し遅めの夕飯の時間は賑やかに過ぎていった。



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