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転生先の乙女ゲームの世界で何故か主人公してます。  作者:
サーファーとお姉さんと物語
26/33

24.野外活動 1日目 午後 "色"護り



「それで、"色"についてお前が知っていることとは?」

席についてすぐに司先輩が本題に入った。

「会長サン、気が早いってー。まずは食事でしょ。」

そう言った湍水さんは焼きそばを頬張った。

「そもそも何故、君が我々と共に食事をしている?」

「いやー、嬉しいことに千智ちゃんが俺の分まで頼んでてくれたんだよねー。本当助かったわー。俺、超腹減ってたんだよねー。」

「い、いえ。」

司先輩の目をまともに見れないのは気のせいだろうか。

「まぁ、皆サン気になってるだろうから、"色"に関係のある話をしようか。さっき俺が千智ちゃんに話したことは後で千智ちゃんに聞いてよ。じゃあ、"色"の話。会長サンさー、今、能力どれくらい使えんの?」

「それは・・・。」

「"色"があった時の半分くらいしか使えないんじゃないの?まぁ、会長サンに限らず千智ちゃんを除く全員?」

能力が半分?どういうこと?

「そうだ。俺達は"色"が消失してから、能力の力が弱まった。まぁ、個人差があるみたいだか。」

「それ、"色"が戻ったら治るから安心していーよ。」

「やはりそうか。」

能力が弱まったってことは、皆、元々あった能力の力が完全に使えないってことなのかな。

「まぁ、それを取り戻すのに協力するのが俺ら"色"護りなんだけとさー。」

「"色"護りだと?まさか、お前が"色"護りだと言うのか?」

「そうだけど?」

司先輩を含め全員が信じられないという顔をした。

「まぁ、嘘はついてないみたいだな。」

竹宮先輩は湍水さんの心を読んだらしい。

「あ、竹宮サンは読心術なのかー。いいよなー、読心術とかすごい便利だし。」

「読めない奴もいるけどな。」

そう言って竹宮先輩は私を見た。

「へぇー。そーなんだ。千智ちゃんには効かないんだー。それならなくてもいいかなーなんて。」

湍水さんが冗談を言うような口調で言った。その瞬間、暖かいはずの気温が数度下がった気がした。


「取り合えず、その儀式とやらをさっさとやってしまおう。」

温度が急降下した中、雪宮先輩は冷静だった。

「そうですね。湍水さん儀式をお願い出来ますか?」

すると、湍水さんは笑顔になった。

「無理。」

「はぁっ!?」

「なっ!?」

「えぇっ!?」

流石に私も驚いた。即答でしかも無理って・・・。

「な、何故ですか!?」

「俺もね、千智ちゃんのお願いはすぐにでも叶えてあげたいんだけどさー。儀式は満月の夜じゃなきゃ出来ないんだよねー。」

「満月の夜・・・。」

確か、次の満月の夜は・・・。

「明後日だ。」

冬宮先輩が答えてくれた。

「え、でもその日は・・・。」

私が言いたいことに気付いたのかみんな難しい顔をしている。

「何?何かあんの?」

湍水さんだけは何のことだか解らないようだ。

「明後日の夜、俺達はもうここには居ないはずだ。」

竹宮先輩の声が響く。

「あー、そういうことね。まぁ大丈夫でしょ、その位。ね?会長サン。」

司先輩は話が振られることをわかっていたのか、すんなりと頷いた。

「あぁ。問題ない。」

「じゃあ、明後日の夜に儀式をするってことで。俺のとこの儀式は晴れじゃなきゃ出来ねーから、晴れを願うんだね。晴れなかったら、まぁ、延期だな。」

これは何としてでも晴れてもらわなくては!

「湍水さん、ありがとうございます!」

「千智ちゃんは不思議だね。」

「え?」

「だって、自分のことじゃないのに一生懸命でしょ?それって中々出来ることじゃないんじゃない?」

「そうでしょうか?」

「まぁ、だから俺は手を貸したくなったんだけどさ。じゃ、儀式の準備をするから俺はこれで!千智ちゃん、皆サンまたねー。」

「湍水、ちょっと待て。」

突然、司先輩が湍水さんを呼び止めた。

「ん?どしたの?」

「式の夜は何時に何処に来ればいい?」

「あ、大事なこと忘れてたー。」

湍水さんは笑顔で謝っている。うん。悪いと思ってないよね?

「じゃあー、夜の8時にここ海月の前で!」

「わかった。」

「じゃあ今度こそ、またねー。」

そうして、金色の嵐は過ぎていった。


湍水さんが出ていってから私達は食事を再開した。けれど、心なしか空気が重い。何でだろう。

「千智。」

「は、はい!?」

空気が重い中、突然司先輩に話しかけられてテンパってしまった。

「何故、湍水に独断でついていった?」

「え?」

「自分の危険とか考えなかったのか?」

何か、司先輩は怒ってる?

「湍水さんは大丈夫かなと思って・・・。それに、"色"について知ってるって言ってたので・・・。」

「それなら、"色"について知っているというやつには、のほほんとついていくのか?」

の、のほほん!?のほほんとはしていなかったと思う!多分。

「危険だと思ったら逃げますけど、でも!」

「自分一人で、"色"のことだからって先走るな。」

それは・・・。

「私、一人じゃ頼りないですか。」

思いの外冷たい声になってしまった。そのせいか、しんっとなってしまった。

「そう・・ですか。仲間って言ってくれたのは嘘だったんですか。私、嘘でも皆から貰った言葉は大好きでした。」

そう言って顔を上げると司先輩の悲しそうな瞳と目が合った。何で、そんなに悲しい目をするんですか?私はいたたまれず、海月を飛び出した。


「千智さん!?」

「澪、放っておけ。」

「司!ですが!」

「いいと言っている。」

こうなった時の司は頑固なことを私は知っている。

「司の強情、意地っ張り!」

「なっ!?」

「澪先輩!?」

「皆もわかってますよね!?司がああ言ったのは、千智さんのことが心配だからだって!かつ、仲間じゃないなんて思ってないって!」

皆の雰囲気が少し暗くなった。

「あの時、私が口を挟まなかったのは司からの言葉じゃなきゃ意味がない気がしたからです。それなのに、司は!」

「澪、ストップ。」

「響君、止めないで下さい!」

「このままだと、恐らくヘタレキングが再起不能になる。」

司を見ると、この世の終わりの様な顔をしていた。

「そんな顔をするなら初めから素直に心配だったって言えば良かったのに。」

「うっ。」

「行くなら、さっさと千智さんを追いかけて下さいね。さもなくば、私が行きますよ?」

「「僕らも行くよー!」」

「俺もっすね。」

「同感。」

「ヘタレキングには任せたくない。」

「ちょ、皐先輩。真顔でそのワードはちょっと。」

「む。そうか?」

「ミスマッチ感が半端なくて。」

そう言えば、先程から先生方と聖君の姿がない?

「司、早く行かないと先を越されますよ?という訳で私もこれで。」

「あ、澪!?」

「じゃ、俺らも!」

「樹に海、空!?」

「俺らも行くか?」

「うん。」

「響と皐も!?」

「司、早く見つけないと誰かにお姫様は取られるぞ?」

「響先輩もそんなこと言うんですね。」

「ここまで煽らなければあいつは動かん。」

「まぁ・・。そうですね。」

そうして、生徒会はバラバラに駆け出した。


どうしよう。やってしまった。

気持ちに任せてそのまま言ってしまった。でも、もしもさっき私が言ったことが本当に皆が思っていることだったら?もう、私は皆の所に戻れない。それに、私は最低なことをした。あんな言い方、私が仲間じゃないって思ってる様に聞こえる。

「私、バカだ。」

そう呟き下を向くと、雪宮先輩の貸してくれたTシャツが目にはいる。皆が私を仲間だと思って大切にしてくれていることはわかってる。だけど何処かで、私自身じゃなくて私の能力を見られているのではないかと思ってしまう。私自身じゃなくて、私の能力を信頼していると。

「あー。もう駄目だ。」

すると突然、手を引かれた。

「えっ!?」

そのせいでバランスを崩しそうになったけど、後ろから抱きしめられた。

「千智。」

「日向先生?」

私を抱きしめているのは日向先生だった。

「心配した。だから、戻ろう?」

「私、戻れません。」

安心したからか、一筋だけ涙が零れた。

「だって、私、皆に最低なことをっ、」

「千智、最低なことをしたら謝ればいいんだ。謝ってそれで許してもらってまた仲間を始めればいい。」

「許してもらえるでしょうか。」

「許す許さないも、今回は司にも非がある。お互い様だろう?」

「で、でもっ。」

抱きしめる力が少し強くなった。

「千智が来てから、前より皆に笑顔が増えた。それに、いい意味で皆が変わりつつある。もちろん俺も。それって、千智だから出来たんじゃないのか?千智の能力とか関係なく千智自身だからだったんじゃないか?」

日向先生が言ったのは、私が一番欲しかった言葉。

私の能力じゃなくて私自身。堪えていた涙がもうひとつの目から零れ落ちた。

「だから、戻ろう?」

「は・・・い。」

日向先生が離れたと思ったら、今度は前から先生に抱きしめられた。

「ひゅ、うが先生っ!?」

「涙は俺をハンカチにすればいい。」

いつもなら断るけど、何故か今はすんなりと受け入れることが出来た。

「ごめんなさい。ありがとうございます。」

私は少しの間、日向先生の胸の中で泣いた。その間、先生は私が落ち着くまで抱きしめてくれた。


私は案外、遠くまで来ていたらしく、海月に戻るのではなくホテルに戻ることになった。もちろん既に日向先生によって皆には連絡済みだ。

そして私は今、日向先生に手を引かれて歩いている。夕陽の中の砂浜を手を繋いで歩くなんてロマンチックじゃないか。まぁ、恋人ならだけど。

「綺麗だな。」

「そう、ですね。」

さっきから会話が続かない。だけど、そんなには気まずいとは感じない心地の良い時間。

ホテルが 近くなって来たのが見える。だから私は手を引っ張って日向先生を止めた。

日向先生はどうした?という様な顔をしている。

「ありがとうございました。(・・)先生。」

「っーー。」

「私はもう大丈夫です!」

そうして私は悠先生の手を引いた。悠先生の顔が少し紅いのは夕陽のせいだと思って。けれど、いつの間にか悠先生に手を引かれる形になった。脚の長さとか関係ないよね?そんなことを考えつつ、ホテルの前に行くと皆がいた。司先輩とは目が合うことはなかったけど、皆はいつもと変わらずに受け入れてくれた。

よし!夕ご飯の時に必ず、司先輩と仲直りする!私はそんな目標を掲げてホテルのドアをくぐった。



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