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18.結果発表



私は司先輩と雪宮先輩と別れて、朝に座った場所に座っている。何でも、時間までに着席をしないと失格になるらしい。そのおかげなのか、5分前でもほとんどの生徒かが着席をしている。

「千智!あれからどうだったー?」

「少しは増えたよ!翠は?」

「私もいくつかは見つけたけど、優勝は無理ね。」

「そっか。」

話していると、宝探し終了のチャイムが鳴った。このチャイムが鳴り終わるまでに着席をしなくてはならない。

「今回は違反者いないみたいだね。」

「そうだね。」

そう、違反者はいなかった。すると、雪宮先輩の声が響いた。

「それでは皆様、お疲れ様でした。結果発表に入りたいと思います。まず、宝を所持している生徒はその場に立って下さい。」

私と翠は立った。周りを見渡すと、ざっと2、30人立っていると思われる。

「その中で、紫の石と温室で見つかる石、その他の石を5つ以上持っているということに1つでも該当したらステージ上まで来て下さい。」

私はステージ確定だ。

「私はステージだけど、翠は?」

「残念、私はアウトよ。千智、いってらっしゃい。」

「そっか。行ってくる!」

私は翠に見送られながら、ステージに向かった。


現在、ステージ上にいるのは8人。これは多いのかな?どうなんだろう?その中には柳沢さんの姿もある。

「それでは、ポイントの掲示に移ります。プロジェクターをご覧下さい。」

いつの間にプロジェクターが出ていたんだろう。プロジェクターを見ると、石の色とポイントの関係性が出ていた。

「宝箱の中に入っている宝で最もポイントが高いのは紫の石です。紫の石を持っておらず、生徒会からの石も持っていない方は降壇して下さい。」

おぉ!一気に3人も降りた!

「次に生徒会が所有していた宝ですが、1つを残し、全て生徒に取られました。ちなみに、残ったのは冬宮君の宝です。」

絶対、冬宮先輩は隠れてたと思う。または、フェロモンを使ってどうにかしたか。

「それでは、それぞれのポイントの掲示をします。まず、紫の石ですが、50ポイントです。ちなみに、プロジェクターにステージ上の各生徒のポイントをすぐに載せますので生徒の皆さんはそれを見て下さい。」

へー、それは凄い。というか、便利。だから私の所に伝令の様に人が来たわけなのか。

「ここから実況は月宮がお送りしまーす!これは凄いっすね。1-A柳沢さん、既に1000ポイントを超えています。」

はい!?柳沢さん、どんだけ見つけたの!?確かにこれなら自画自賛出来るわ。

「そして2位は1-A藍川さん。と言っても、900ポイントの差があります。」

「次に生徒会が所有していた宝のポイントは100ポイントです。」

結構、高い。これならいけるかも!

「ここでポイントを伸ばしたのは藍川さん!優勝争いは柳沢さんと藍川さんの1-A対決になります。」

「藍川さんと柳沢さん以外の生徒は降壇して下さい。」

今、ポイントの合計は私が600ポイントで柳沢さんが1100ポイント。まさか、柳沢さんが樹君の石を持っていたとは・・・。

「これはもう、私の優勝に決まりではないでしょうか?藍川さん。 」

「それはどうしでしょうか。私はまだ諦めていませんから。」

そう、私にはまだ温室の宝がある。

「そうして最後に温室の宝を手に入れたのは何方でしょうか。挙手をお願いします。」

私は手を挙げた。

「貴女だったとは・・・。流石ですね。」

雪宮先輩が微笑みながら言ってくれた。

「嘘!貴女が手に入れていたの!?」

柳沢さんの悲鳴に近い声が聞こえる。

「それでは、温室の宝のポイントの発表です。」

このポイントが優勝者を決める。講堂が一気に静かになった。

「温室の宝のポイントは、1つ300ポイントです!これを踏まえて集計すると、柳沢円香、1100ポイント。藍川千智、1200ポイントで藍川さんの優勝です!」

やった・・・。優勝だぁ!遠くで翠の声がする。

「千智ー!おめでとー!そして、食券をありがとー!」

やっぱり、そこが大きいか。

「藍川!よくやった!これで、俺も安泰だ!」

日向先生、貴方もそっちですか。

「嘘よ。私が負けるなんて。勝って、役員の皆様とデートするはずだったのに・・・。」

柳沢さん、そんな野望があったんだ・・・。ある意味、凄いわ。

「それでは、優勝者の藍川さんに賞品の授与です。藍川さん、貴女の願いは何ですか?」

あ、忘れてた。やばい、何も考えてない。ここは一先ず・・・。

「あの、保留とかありですか?」

何故か、講堂が一気に静かになった。

「嘘だろ、何も願望がなくて優勝したのかよ。」

「保留とか初めてじゃない?」

「あいつ、ある意味凄いわ。」

今度はいきなり騒がしくなった講堂を制するように雪宮先輩が言った。

「保留、ですか。恐らく大丈夫ですよ。」

良かった!今すぐとか言われたら、テンションがおかしくて変なことを言いそうだったから助かった。

「それでは、これで新入生歓迎会を終了したいと思います。皆様、ありがとうございました。」

そうして新入生歓迎会は終わった。


そうして、今は終わりのホームルーム。

「藍川!柳沢!お前たちのお陰で俺は救われた!ありがとう!そして、食券1ヶ月分をこれから配布する!」

「よっしゃー!」

「ラッキー!」

クラスの皆のテンションが異常な気がする。

「千智のお陰で、好きなものが食べれるー!」

まぁ、翠が喜んでくれるならいっか。でもね、翠。

「好きなものくらいなら、私が寮で作ってあげるよ?」

「ほ、ほんとうですかっ!千智さんっ!」

翠、どうした、そのキャラは。

「え、うん。私が作れるものなら。」

「じゃ、じゃあ、取り合えずカレーを作って下さい!」

「カレー?」

「うん!カレーなら手間暇かかんないし、すぐに作れるかなーって。」

まぁ、それには一理あるけど、カレーだって時間をかけた方が美味しいんだからね?

「じゃあ今日、作って待ってる。」

「やったぁ!千智、大好きっ!」

そんな他愛ない会話をしていると、日向先生に呼ばれた。

「藍川、来てくれるか。」

日向先生がいつもと違って真剣だから緊張してしまう。

「あの、何か?」

「このあと、生徒会室に来てくれるか。ちなみに、温室の方だ。」

「何かあったんですか?」

「俺も詳しくは知らないが、司からだ。恐らく、全員が揃うだろう。」

まぁ、どうせ水やりで行くし、拒否はしないんだけどね。

「わかりました。ホームルームが終わり次第、向かいます。」

「あぁ。それと。」

日向先生が少し私に近づいた。

「おめでとう、そしてご苦労様。"千智"。」

言い終わると、先生の手が私の頭に伸びてきたけど、何もせずに戻っていった。

「流石にここではまずいから、後でな。」

そんなに綺麗に微笑まれても!いやそもそも、後でって何!?しかも、名前呼びって何で!?

しばらく私は、顔を上げれなかった。


私は目の前の情況が全くわからなかった。何故、温室でお茶会が開かれているのだろう。突っ立っている私を見つけた樹君が声をかけてきた。

「おっ!主役がやっと来たー!千智、早くこっち来いよ!」

言われるがまま近くに行くと、突然頭を撫でられた。

「ひゃっ!」

驚いたからか、変な声が出てしまった。

「あ、悪い。驚かせるつもりはなかったんだが、さっきの続きだ。」

「ひゅ、日向先生!?」

何故に私は頭を撫でられて!?

「悠、明らかにそれ、セクハラって言うやつだから。」

及川先生がさらっととんでもないことを言った。

「誰だ、生徒会室でセクハラをする奴は。」

そう言って、腕を引っ張られた。

「つ、司先輩!?」

私がそう言うと、司先輩は嬉しそうな顔をした。


「いつまで、茶番劇をしてるんですか。司はスコーンを盛り付けて。先生方は水やりでもしてて下さい。」

あ、陰の支配者もとい、雪宮先輩。

「水やりなら、私が!」

「藍川さんはいいんですよ。こちらの席で紅茶でも飲んでいて下さい。」

「え、でも・・・。」

「このお茶会は藍川さんの優勝を祝うお茶会ですから、主役はゆっくりしていて下さい。」

なんと!?私のためってことですか!?

「わざわざ、すいません。ありがとうございます。」

「いえいえ。このお茶会の言い出しは誰だと思いますか?」

え、誰だろ?樹君とか?

「1年組ですか?」

「いいえ。それが実は、響なんですよ。多分、藍川さんが疲れているからとかなんとか言って、今日突然の開催なんですよ。」

「!?」

私は声にならない声を上げた。だって、竹宮先輩ってあの竹宮先輩だよね?

「本当ですか?」

いや、だって信じられないというか・・・。

「恐らくですけど、藍川さんが先日響にあげた霞草が、相当嬉しかったんだと思いますよ。」

響にはこのことは口止めされていたので秘密に、と言って、雪宮先輩は笑っている。そうだったのか・・・。そんなに喜んでもらえていたとは。また持っていこう。

「何の話だ?」

突然、頭上から響く声。

「た、たたた、竹宮先輩っ!?」

あ、ヤバイ。たが多すぎた。

「たたたた?なんだそれ。」

「何でもないです。」

私は即答した。

「速すぎだろ。そんなことよりお前、どっちが食いたい?」

目の前に差し出されたのは、イチゴのショートケーキとベリーのレアチーズケーキ。

これは、悩む。うーん。散々、悩んだ結果・・・。

「レアチーズケーキが食べたいです。」

「そうか。後で切って持っていく。」

「ありがとうございます!」

私の中で、竹宮先輩の株が急上昇した。


やることが特にないので、紅茶を飲んでいる冬宮先輩と樹君の側の椅子に座った。

「千智はお砂糖入れる?それともミルク?」

「あ、ミルクだけで・・・。ありがと。」

本当に至れり尽くせりだけどいいのかな。

「ゆっくりすればいいんじゃないか?」

そうなのかな。でも悪い様な・・・。

「たまにはいいだろ。」

いや、でも・・・。

「って、えぇ!?」

私、声に出してたっけ!?

「あの、今、読んでました?」

「わかりやす過ぎるからな。」

まさか、冬宮先輩も読心術を?

「悪いが、俺はフェロモンだけだ。かつ、お前にはどんな能力も効かん。」

「ですよね。私、そんなにわかりやすいですかね。」

「まぁ、普通のやつよりはな。」

やっぱり、気を付けよう。


「そう言えば樹君と冬宮先輩は宝探しの時、何処にいらっしゃったんですか?」

「俺は、放送室ー。そこで柳沢に捕獲された。」

捕獲って・・・。

「冬宮先輩は?」

「屋上。」

「え、でも屋上って確か、事務員さんから鍵を借りなきゃいけないんじゃあ?」

それを聞いて冬宮先輩がニヤリとした。

「何のための能力だと思っている?」

冬宮先輩の能力が一番強いと思ったことは秘密にしておこう。


少しして全員が席についた。

「じゃあ、改めて。千智、優勝おめでとう。」

「ありがとうございます。」

なんか、改めて言われると凄く恥ずかしいかも。

「それで、千智。あの件について考えてくれたか?」

司先輩の言うあの件とは生徒会勧誘のことだろう。

「あの件って何だ?」

そう言ってたのは竹宮先輩。

「まだ皆には話してなかったが、俺は今日、千智を生徒会に勧誘した。」

皆、驚いている様だった。まぁ、そうだよね。そして、反対されるのが普通・・・。

「へぇ、いいじゃん。」

え?

「「千智、入りなよ。」」

「生徒会室が華やかになりますね。」

「ノアールも喜ぶ。」

「異論はない。」

「同じく。」

私が言葉を無くしていると司先輩の手が、肩に置かれた。

「だから言っただろう?誰も反対はしないと。」

私は誰かに必要とされることがこんなにも嬉しいことだと初めて知った。


お茶会から帰って、私は部屋でカレーを作っている。生徒会勧誘の件は、考える時間が欲しいと言って、保留にした。だって、ね?ファンクラブとか怖いし。靴とか無くなっても怖いし。まぁ、要するに"覚悟"がまだないということだ。考えてみれば、まだ私はこっちに転生して3日しか経っていない。

生まれ変わって3日というのは、生後まもない赤ちゃんと同じじゃないか!そんな私に乙女ゲームの世界で生きることと、いじめられる覚悟の両方が出来る訳がない。

「私、前世は普通の高校生だったのにな。」

はぁ。何度目かの溜め息が出たところでカレーが完成した。悲しくも、前世の母親が作ったカレーと同じ味がした。


「すごい、すごい、すごいー!これ、千智が作ったんだよね!?すごく美味しいよ!」

「そんなに言わなくても。」

カレーでこんなにもすごいと連呼されたのは初めてだ。恐らく、後にも先にもこの日だけだろう。

「いや、千智はすごい!私なんて、カレーというか、料理をしたら何故か黒いものが出来て終わっちゃうもん!千智は魔法使いだよ!」

いや、翠さん。黒いものを作れる貴女の方が魔法使いだよ。

「はぁー、幸せー。」

「そんなに喜んでくれるなら、作りがいがあるよ。」

「もう、千智!私のところにお嫁に来て!」

「それは遠慮かなー。」

「うっ。振られた!こうなりゃ、やけ食いだ!」

大鍋で作ったから3日くらいかかるかなと思っていたけど、今日で無くなるかも・・・。

「千智さ、元気ない?」

「え?」

「いや、気のせいならいいんだけど、なんかそんな気がして。」

翠に心配をかけさせるとは・・・。

「ごめん、心配をかけて。」

「それはいいんだけどね?何かあった?話せるなら、話してくれる?」

「実は、生徒会に勧誘されてて。」

「ふぁ!?」

「え、ちょ!翠!」

カレーが喉に詰まったみたいなので、私はすぐに水を用意した。水を一気に飲み干した翠は、身を乗り出してきた。

「いいな!羨ましい!そんなことより、返事は!?まさか断ってないよね!?」

そんなにがっつかれるとなんと言うか・・・。

「返事はしてない。保留にした。」

「何で!?すぐにOKすればいいのに!」

「いや、だって・・・。」

「千智は、生徒会の人達のこと嫌い?」

嫌い?

「そんなこと!皆優しいし、面白いし、好きだよ!」

「一緒に居たくない?」

「一緒に居たくないなんて!私は、皆と一緒に居たいよ!」

「それなら、答えはもう出てるよ。」

「え?」

「千智はいろいろ考え過ぎ。少しは1つの面だけを見ればいいんじゃない?」

「1つの面・・・。」

「そっ。今回なら、好きか嫌いかとか、一緒に居たいか居たくないかってこと。」

私は、皆のことが好きで一緒に居たい。これが、答え。

「それで、何かあったら、その時はその時!どーにかなるよ!」

私もいるしねと翠は呟いた。

「ありがと、翠。」

「うん!カレーのお礼だよ。」

そうして私と翠のお喋りは夜遅くまで続いた。



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