1.転生
最初は短いです。
この先、段々と長くなっていきます。
私は死んだ。
高校の入学式に向かっている最中、歩道に突っ込んで来た車に轢かれたらしい。痛みとかは特に感じなかった。即死だったと思う。
生まれ変われるのなら、高校生活がしてみたい。
「それなら、やればいいよ。」
「え?」
どこからか声が聞こえた。
「おーい、こっちだよ。」
「え?うわ!」
目の前に突然、人が現れた。
「神様に向かってうわ!はないと思うんだよね。」
神様、というには若い、十代前半くらいの男の子がいた。
「あー。なんか考えてるっぽいけど、取り合えず色々と面倒だからもう転生させちゃっていい?」
「え、いやいやいや!駄目ですよ!」
「えっとね、転生先はねー。」
人の話はちゃんと聞こうって習わなかったのかな。
「ここに決めた、乙女ゲームの世界!」
はい?男の子からは普通聞かないワードが聞こえた気がする。
「乙女ゲーム?」
「うん、そう!知らない?乙女ゲーム。」
男の子は普通に知っているものなのかな、乙女ゲーム。
「いや、わかりますけど。あれですよね?逆ハーレムとかになるやつですよね?」
前世で仲の良かった友人がプレイしていたものを思い出す。美麗な男の子たちが、主人公の女の子を取り合う展開を友人は大層好んでいた。
「あー。うん、まぁ、そういうのもあるね。そーいうのが好みな感じ?じゃあ、そーいうのにしとくね。」
望みたくて言ったわけでは断じてない。
「いや、そうじゃなくて!」
「じゃあ、乙女ゲームの世界に転生!!」
「待って、まだ話が!」
目の前の光景が歪み、全方位に体が引っ張られる。感じたことのない浮遊感に私はパニックになった。
「じゃあ、今度こそ幸せになってねー!」
幸せにはなりたいけれども、いや、そうじゃなくて!
でも、まぁ、うん。いきなり死んだとしても、転生出来るだけ幸せなのかも。そう思ったら得した気分になるしそう思おう。
乙女ゲームの世界か。私は友人のようにプレイしていなかったし、どんな感じなのか想像ができない。ただ漠然に、恋愛をするゲームという認識だ。
「そういえばいい忘れたけど、一応、君が主人公だよ。それと、乙女ゲームの世界に転生したら君は高校1年で入学式の日だから。
あと、乙女ゲームで16年生きて培った情報は君の頭の中にあるから心配しないでねー。じゃあ、乙女ゲームの世界にいってらっしゃーい!」
神様、今おっしゃられたことはとても大切なことだったと思います。本当にいい忘れなくてよかったって思います。
そう最後に思って、私は意識を手放した。
だから、神様の最後に言った言葉は私には聞こえなかった。
「僕は君の味方だけど干渉はあまり出来ないんだ。だからこれだけ。応援しているよ。そして、干渉者は僕だけじゃない。気を付けてね。」
少年神の想いは届かずに。




