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16.宝探し(前編)



今、私達は講堂に集められている。これから行われる新入生歓迎会の説明のためだろう。まだ、宝探しということが公にされていないから、皆それぞれ今年は何だろうと話している。

「私、今年は球技だと思う!」

「いや、まさかの鬼ごっこじゃね?」

「まぁ、でも楽しいのがいいよね!」

確かに楽しいのがいいよねー。それには同感だわ。

「千智!千智は何のレクだと思うー?」

「あー、えっと・・・。」

もう知ってるとは言えない。

「あ!千智・・・。」

翠が声をひそめた。

「もう知ってたりする?」

流石、翠。痛いとこを突く。

「うん。実は。」

「えー。いいなー!何か知りたーい!あ、でも、言わないで!楽しみは取っておきたいから!」

「了解。」

なんと翠らしい意見。まぁ、もうすぐわかるしね。


そうこうしている内に新入生歓迎会が始まった。司会は雪宮先輩。うん。まともな人選だと思う。

「それではこれより新入生歓迎会を始めます。まず、初めに新入生の皆さん。入学おめでとうございます。今日は、入学してから初めての生徒会行事です。心置きなく楽しんで下さい。

それでは今年のレクの内容説明に移ります。生徒会長の星宮君、お願いします。」

あ、会長にバトンタッチだ。

「ここからは私が説明します。まず、今年のレクは、宝探しです。」

会長がそう言った瞬間、講堂がざわついた。

「宝探し!?」

「え、じゃあ、もう宝が隠されてるってこと!?」

「すげー!」

「お静かにお願いします。これより、レクの説明をします。皆様お分かりの通り、宝を探して頂きます。宝はこの学園の高等部の至るところに隠されています。ですが、職員室等の一般的に生徒が立ち入ることの出来ない場所には隠されていません。

そして、宝にはそれぞれポイントがあります。ポイントが高いもの程、見つけにくくなっています。総合ポイントが高かった人を優勝者とし、賞品を授与します。ですが、人道、道徳的に外れた行為をした生徒については、失格の上、別途指導があるので気を付けて下さい。

それでは最後に私からある宝の在処のヒントです。

"光が注ぐ色彩の、絶え間なく流れる追憶の中。

紡がれるのは、我らの記憶。"

もしかしたら、どこかの扉が今日は開くかもしれない。このヒントを手がかりに探しても、全く別のものを探しても構わない。さぁ、宝探しの始まりだ。」

そうして宝探しは始まった。


「なんか、さっきの星宮会長の説明凄かったねー。何か、のってたというかなんというか。」

確かに。案外会長はこういう行事が好きなのかもしれない。

「ほんとね。意外だったかも。」

「そう言えばさ、千智はさっきの会長が言った言葉の意味、わかったー?」

「んー。何となくならだけどね。」

「えっ!何!?何処!?」

「それは秘密。」

「えー!なんでよー。」

「その方が翠が一生懸命に探しそうだから。」

「何それー!」

翠と宝を探しに行こうとしたら、日向先生の声が聞こえた。

「おーい!1-Aの生徒は集合しろー!」

「何だろ?」

「どうしたんだろうね。翠、言ってみよう!」

「うん。」


「よし、全員揃ったな!皆、よく聞いてくれ!我ら1-Aは総合優勝を狙おうと思う!そこで!

ポイント獲得率を上げるために、個々で宝を探して欲しい!」

要するに、勝つための作業効率を上げるために一人で行動しろと?

「えー!何で突然ー。」

「それはな・・・。それぞれの担任で賭けをしているからだ!もちろん、俺はお前達に賭けた!」

そんなことを、堂々と言っちゃう先生に驚きです。

でも、それって私達には利益がないんじゃあ・・・。

「今、自分達には利益がないとか思った奴がいるだろう!だが!俺らだって生徒を利用する様なことはしない!総合優勝者が出たクラスには、クラス全員に1ヶ月分の食堂無料券を配布するぞ!」

「「おぉー!」」

それは凄い。それを聞いて皆の目の色が変わった。

「これでも異論があるやつはいるか?」

誰も手を挙げない。

「じゃあ、健闘を祈る!行ってこい!」

そうして、今度こそ本気の宝探しゲームが始まった。


私は今、惜しむ翠と別れて会長の言葉の指すと思われる場所に向かっている。そして、ラッキーなことに向かう方向に宝箱があった。宝箱の中身は綺麗な石の様なもの。石と言い切るには余りにも綺麗だから、こんな曖昧な表現になってしまう。しかも、色がそれぞれ同じではない。恐らく、色でポイントが違うのだろう。今、私が持っている石の色は、赤、青、緑、そして、黄色だ。宝箱には今まで、1つしか石は入っていなかった。恐らく、このあとも1つしか入っていないんだと思う。ということは、いくつ宝箱を見つけるかがこのゲームの鍵だろう。

そうしている内に目的の場所に着いた。

「やっぱり、温室しか思い付かないんだよね。」

そう。私が来たのは温室。だって、あの言葉から連想したのは温室だったんだもん。そして、温室の扉は開いている。

「今日は何処かの扉が開くかもしれないっていう条件は合っているよね。」

私は気合いを入れて足を踏み入れた。


「光が注ぐ色彩って言うのは、きっと、太陽の光が花に注がれているってことだよね。何たってガラス張りだし。」

問題は、絶え間なく流れる追憶の中か。

「あれ、もう誰か来ちゃったの?」

「え?」

誰かいる?

「あー、藍川ちゃんね。なるほど。」

その言い方は・・・。

「及川先生。どうしてここへ?」

「ん?だってここは、一応は立入禁止区域だからね。監督官としてね。」

「そうですね。一応通常時は立入禁止区域ですもんね。」

「ふふふ。その言い方だと、もう謎は解けたのかな?」

「いえ、まだですが、目星はあります。」

「なら、急いだ方が良いかもね。直に、他の生徒も来るかもよ?ほら。」

私は扉の方に神経を向けた。

「あ!今日は温室開いてる!」

「やっぱり、ここが怪しいよねー!」

「私ら一番乗りじゃない!?」

「やったぁー!」

私は及川先生に向き直った。

「私、もう行きます!」

「うん、健闘を祈るねー。」

「及川先生、ありがとうございましたー!」

私は目星の場所に向かって駆け出した。


「絶え間なく流れる追憶の中。私なら、ここに隠す。」

そこは、昨日掃除した噴水。

絶え間なく流れるはきっと水のこと。そして、追憶と紡がれる会長達の記憶って言うのは、ここで過ごした彼らの想い出のことだと私は思う。それに、噴水の近くにはお茶が出来るように机と椅子がある。きっとここが、想い出の場所なんだと思う。そして絶え間なく流れる追憶の中と言うことは・・・。

「絶え間なく流れている水の中!」

私は噴水の中に手を突っ込んだ。すると、昨日掃除した時にはなかった感触があった。水の中にあったのは宝箱。

「やった。正解。」

箱を開けるとそこには、藍色の石があった。

「あれ?何か、噴水が変?」

噴水が先程とはうって変わって、宝箱を取った側は止めどなく水が流れているのに、逆側はつっかえている様になっている。

「もしかして・・・。」

私は、逆側の噴水の中にも手を突っ込んだ。

「やっぱり。」

もう1つ宝箱があった。

「宝箱は1つじゃなかったんだ。」

もう1つの箱を開けると中には、桜色の石があった。

「綺麗。」

そんなことを思っていると、及川先生の声が聞こえた。

「君達も司君の言葉がわかったのー?」

「はい!そうなんです!」

「私達、司先輩のファンクラブにも入ってて!」

「司先輩のあの言葉にビビっと来たっていうか!」

「そうそう!及川先生、私らが一番乗りですよね!」

あれは、さっきの女子生徒達。急いで良かったかも。

「んー。一番乗りではないかなぁー?」

「えっ!?嘘!」

「そんなぁ!」

「まぁ、ても、まだ宝箱は見つかってないかもね。」

「確かに!ねぇ、急ごう!」

「うん!」

そうして女子生徒は奥に向かって行った。

「よし、私も次に行こう。」

宝箱を元の場所に戻して入口に引き返した。


「藍川ちゃん、良いものあったー?」

入口に着いたら、及川先生がいた。

「及川先生。えぇ。良いものが確かにありました。」

「ならよかった。秘密だけど私的には 、藍川ちゃんを応援しているから頑張ってね。」

「それは、うちのクラスに賭けたって受け止めても?」

「ありゃ、知ってたの?賭け事のこと。」

「えぇ。」

「バレてるなら仕方ない。頑張ってね。」

「まぁ、頑張りますよ。先生のためにも。」

私は、笑ってそう答えた。

「それでは、また。」

「うん、またね。」

そうして私は温室を後にした。

「賭けてるからっていう理由だけじゃないんだけどね。俺が応援しているのは。」

及川の声は温室に響いた。


うーん。次はどこに行こう。他には特に行く場所はないんだよねー。まぁ、フラフラしてれば、何か見つかるかな。


ピンポンパンポーン


「!?」

突然、放送が鳴った。

「あー、あー、マイクテスト、マイクテスト。

よし、聞こえてる!生徒会執行部月宮より、生徒の皆に連絡しまーす!

きっとそろそろ皆、手詰まってきたんじゃない?だからここで、追加のヒントでーす。宝箱は全部で50個あります!そして、現時点で調べた所、まだ見つかっていない宝箱は12個でーす。ちなみに、会長のヒントの宝箱はもう見つかってましたー!見つけた人、流石ー!まだ、見つかってない宝箱は結構見つけにくい場所にあるから、もう一度探した場所を探すのもいいかもねー。とゆー訳で、月宮からの連絡でしたー!皆、頑張ってねー!」


ピンポンパンポーン


樹君・・・。何か、放送を楽しんでる?まぁ、楽しければなんでもいっか。よし、私も残りを頑張ろう!

「藍川さん。」

振り向くとそこには、同じクラスの気の強そうな顔をしている女子。確か名前は、柳沢さん。

「どうしたんですか。柳沢さん。」

「私の名前、知ってたんですね。てっきり、男性の名前にしか興味が無いものと思っていました。」

う。突然の嫌味。まぁ、そう言われても仕方ないけど、でも、1つだけ言うなら翠と樹君以外は昨日家で覚えたからね。

「それでどうかしましたか?」

「いえ、どれくらい石を見つけたのかなと思って。」

宝箱の中身が石と知っているということは、少なからず、1つは宝箱を開けたということだ。

「まぁ、ぼちぼち見つけましたよ。」

私は曖昧に返す。

「そうですか。私は、かなり見つけましたよ。」

凄い。自分でかなりって言ったよ。

「そうですか。良かったですね。では、私は先を急ぐので。」

そう言って彼女の横を通りすぎようとした時、彼女が言った。

「私、貴女のこと気に入らないの。消えてくれないなら、私の邪魔をしないでね。あと、優勝するのはわたしだから。」

これは、宣戦布告?だったら。

「柳沢さん、優勝するのは私ですよ。」

そう笑顔で言ってやった。

悔しそうで何とも言えない顔をしている柳沢さんを他所に私は、今度こそ通りすぎた。


先程の出来事でより一層やる気の出た私は、図書室に向かった。多分、ここにもあると思ったからだ。

案の定、本棚の本が不自然に収めてある。所々、出っ張っている部分がある。恐らく出っ張っている本の後ろに宝箱があるのだろう。

「よいしょっと。」

ようやく、宝箱を取り出すことが出来た。中を開けると、紫色の石があった。

「やった!」

よし、この調子で次も行こう。その前に私は、本を本棚に戻した。


図書室から出て次はどこに行こうと思っていたら、また放送が鳴った。


ピンポンパンポーン


「マイクテスト、マイクテスト。生徒会執行部冬宮より生徒の皆さんに連絡します。

これより、生徒会執行部員が宝を持って学園内を移動します。生徒の皆さんは、執行部員を見かけたら、話しかけて宝を貰って下さい。ただし、宝を受け取るためには、執行部員の要求に応えて下さい。応える事が出来れば、宝は貰えます。ちなみに、どの執行部員も持っている宝は同じ価値のものです。かつ、それぞれ宝は1つずつしか持っていないので、早い者勝ちです。それでは頑張ってください。」


ピンポンパンポーン


取り合えず、次の場所に向かいつつ、生徒会の皆を探せばいいってことかな。まぁ、行き当たりばったりでいっか。適当に廊下を歩いていたら、見たことのある姿が。

「あれは、海君!空君!」

私が呼ぶと、2人は同時にこっちを向いた。

「あっ!千智!」

「頑張ってるー?」

「もちろん!ということで、宝を下さい!」

私は笑顔で言った。

「それじゃあ、僕達の要求に応えて下さい!」

「「どっちがどっちでしょー!」」

「問題の通り、どっちが海でどっちが空か見分けてね!」

「まぁ、千智には簡単かな。」

「だよねー。見分けてるもんねー。」

「さぁ、答えをどうぞ!」

私は一呼吸置いて答えを言った。

「私から見て右が海君で、左が空君!」

「理由は?」

「カラコンを入れて、目の色の微妙な変化を分かりにくくしてるけど、それは私には効かないよ。だって空君には空君の、海君には海君の個性が私には分かるから。」

2人は無言でいた。まさか、間違えた?いや、そんなはずは・・・。

「流石だね!千智!」

「少し感動しちゃった!」

「「大正解でーす!」」

「なので、宝を贈呈しまーす!ちなみに、僕らは1つずつ宝を持っているので最初にクリアした人に両方あげることになってまーす。」

「それじゃ、どうぞー。」

貰ったのは、海色と空色の石。

「ありがとう!私、頑張って優勝するね!」

「うん、応援してるー。」

「じゃあ、またねー!」

「うん、バイバーイ。」

そうして私は2人と別れた。


フラフラと目的地を目指していると翠からの着信。

「もしもし?翠?」

「千智!すぐにグラウンドに来て!今すぐね!」

と言って、電話は切れた。私の返事も聞かずに・・・。まぁ、外に行こうと思っていたからいっか。そうして私はグラウンドに向かった。



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