13.色
「まず、俺達のことを話そうと思う。ここにいる全員がそれぞれ自分の"色"を持っているんだ。」
「色?色とはなんですか?」
「俺達にもよくわからないんだが、"色"はそれぞれが持っているものらしい。目の色に似ている、もしくは同じものが自分の"色"らしい。例えば、俺ならオレンジに近いものが自分の"色"だろう。だが、"色"は誰でも持っているものではないらしい。ある特別な能力を持つ者のみが"色"を持てるらしいんだ。」
特別な能力・・・。
「やはり、心当たりがあるのか。」
「っーー!」
会長達は、多分私が何かしらの能力を持っていることを知っている。だから、今日呼んだんだ。
「私の能力は・・・。植物の成長速度を変えれることと、植物を枯らさずに育てられることです。」
「植物の成長に関係する能力か。やはりな。」
「え?」
やはり?どういうこと?
「お前の管理した温室を見た。世話を始めて2日目なのにプランターの花が綺麗に咲いていた。まさかとは思ったんだがな。そうだったとは。」
「そうだったんですか。」
まぁ、そりゃあそうだよね。一夜で花が咲いたら誰でも疑問に持つよね。
「え、ということは、ここにいる皆さんが何かしらの能力を持っているってことですか?」
「そうだな。俺は簡単に言うと、情報操作の能力だ。」
「情報操作?」
「あぁ。まぁ、そのままの意味だが記憶の操作も出来なくもない。」
うわぁ。その能力いいな。凄く役に立ちそう。
「全員の能力については後々知ることになるだろう。話がずれたが、"色"の話をしていたな。俺達は"色"を持っている。だが、今は持っていないんだ。」
え?それってどういう?
「"色"はなくなるものなんですか?」
「いや。"色"は本来なくならない。生徒会になる人間は必ず"色"を持っていたが、これまで"色"を失った者はいない。俺達が初めてだ。」
「あの、先程から思っていたんですけど、"色"を失ったからといって、何か困ることでもあるんですか?」
「"色"を失うと、俺達の本当の役目が出来なくなるんだ。」
「本当の役目?」
「俺達の役目は、この学園の謎を解くことだ。」
謎・・・。この学園の謎って何だろう。
「理事長の一族は開校当時から変わっていないんだが、その最初の理事長がこの学園を作った際、様々な秘密をこの学園に残したらしい。その謎を解くことが俺達の役目なんだ。そして、理事長の望みでもある。だが、どうもその謎を解く際に、"色"が必要らしい。俺達にもよくわからないんだがな。謎については理事長の家に幾つか文献がある。そこに"色"の消失についてもあった。過去には消失については起こってないから、未来予知の形としてだが。そこに、お前のことが書いてあった。」
「え!?」
わ、私!?あ、でも乙女ゲームのヒロインだし、そのくらいはあるのかな?
「な、なんて書いてあったんですか?」
「俺達の代の生徒会の時に、藍色の目、桜色の髪をした女子が現れ、"色"を取り戻すことが出来ると。そして、その女子が秘密を解く鍵だと書いてあった。それが藍川千智、お前だ。そしてそれがお前の役目だ。」
私はそんなに重要な役割を持っていたんだ・・・。
「だから、俺達に力を貸して欲しい。お前の力が必要なんだ。」
これが私の歩み始めた1歩の結果・・・。私はこの世界で進むって決めた。だから・・・。
「はい。私でよければいくらでも力を貸します。こちらこそよろしくお願いします。」
そう言って私は頭を下げた。
生徒会室の空気が少し緩んだ気がした。そうして、会長以外のみんなが口を開いた。
「はぁー。千智が承諾してくれてよかったー。」
「本当ですね。」
「「これで進展があるんじゃなーい?」」
「聖は、女嫌いを治すチャンスじゃないか?藍川とはこれから付き合っていくんだろうし。」
そう言った、竹宮先輩に冬宮先輩は反応した。
「俺が女嫌いなのは体質に問題があるんであって、治せるもんならもう治してますよ。そもそも、藍川に効かなかったのだってある意味、イレギュラーなんですから。」
そう言えば、冬宮先輩の効く、効かないってなんだろう?
「あの、冬宮先輩。私に効かなかったって何がですか?」
「あぁ。言ってなかったな。俺の能力は、異性を魅了することだ。わかりやすく言うと、フェロモンだな。」
ふぇ、フェロモン!そんな能力があるんだ。
「あれ、どうして私には効かないのでしょう?」
「詳しくはわからんが、お前は"特別"だからじゃないか?」
うーん。わかった様なわからない様な。
「にゃーあ。」
「あ、ノアール!」
私の足にノアールが乗ってきた。可愛いー。
「ノアール。おいで。」
雨宮先輩が一声かけると、ノアールは雨宮先輩の足の元へ行ってしまった。残念。
「皐先輩は動物に関する能力なんだよなー。」
と、樹君。
えぇ!動物に関する能力!?それは羨ましい。要するに、動物を愛で放題ということじゃないか。
「お前、今、ベクトルのずれたこと考えただろ。」
「え、なんのことでしょう。」
会長、痛いところをつくな。
「お前の嘘はバレるんだよ。さっさと降参しとけ。」
「あ!もしかして、情報操作には読心術も入っていたり?」
「残念ながら、これは能力とは関係ない。」
うそー。もしかして、私、わかりやすい?
「わかりやすいんだろ。」
また読まれた!
「もう、諦めろ。」
「うぅー。」
上手過ぎて何も言えなくなってしまった。




