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10.招待状



「ふわぁ。」

よく寝た。いや、比喩ではなく本当に。8時間以上寝てしまった。疲れていたんだろうか。

「制服に着替えよ。」

と言っても、まだ6時。準備するには早い時間。嬉しいことにのんびりできる。

「ん?あれ。何この箱。こんな箱あったっけ?」

そう、机の横の棚にある何処か不思議めいた箱。だって、どこか他の物と雰囲気が違う様な気がするし・・・。気になって私は箱に手を伸ばした。


カチャ。


「え、開いてしまった。」

いや、開いて悪いことはないんだけどね。何か悪いことをしてる気になってしまった。

「あ、綺麗。」

箱の中にはネックレスが入っていた。一粒石のネックレスだ。石には装飾が施してあってとても綺麗だ。そして石自体も。見る角度によって色が変化する。それも藍色と桜色の2色だ。どういう色の仕組みかはわからないけれど、見たこともないような美しさに目を奪われた。箱に目を戻すと、4つに折り畳んだ紙と鍵穴のある箱があった。

「箱の中に箱って・・・。」

箱は取り合えず、置いておいて紙を開いてみた。

「えっと?何か文字がある。」



「この・が開い・・ら、貴女・持ち主・す。

肌・離・ずネック・スを着けてあ・て下・い。

も・1つの箱・時が・・ば開くこ・が出・・でしょ・。

貴女は唯・・・のキーなのですから。

私も貴女の味方ですよ。


だ・・・・ず・・い・・・・い。

藍・・な・だ・・


貴女な・・・り・・・ら・」



最初の方は何となく理解が出来る。でも、最後の方は文字が掠れて読めない。これは多分、イベントだ。それも後戻りがもう出来ないやつだと思う。そして読めない所は大切な所。私は物語を紡いでしまったんだと感じる。まぁ、元々絶対に回避とまでは思ってなかったしね。


「ふぅ。乙女ゲームライフ、満喫してみようかな。」

その1歩としてネックレスを着ける。

「やっぱり綺麗。」

ふと、時計を見ると、7時。

「や、ヤバイ、遅刻するっ!」

「千智ー!起きてご飯食べなさーい!」

「はーい!」

私は箱を元の場所に片付けた。


「せ、セーフ。間に合った。」

現在、8時10分。遅刻すると思って急いだら以外と早く着いてしまった。まぁ、寮に荷物を置けたから結果オーライだったけどね。

「千智ー!おはよー。」

「あ、翠!おはよう。」

「ねえ、昨日どうだったの?」

「あー。昨日は・・・。」

「おい、藍川!」

誰かに話を遮られた。確かこの人は沖本君だっけ。

「どうしたの?」

「呼んでる。生徒会の。」

生徒会?樹君かな?

「確かにさっきから廊下が騒がしいし役員の方がいてもおかしくない様子ね。」

そんなになんだー。なんか、最早驚かなくなってきた。

「失礼します。藍川千智さんいらっしゃいますか?」

あれ、この声は・・・。

「雪宮先輩?」

「あ!藍川さん!おはようございます。」

うっ。朝からその笑顔は心臓に悪いです。

「お、おはようございます。」

「すいません、朝っぱらから訪ねてしまって。」

「あ、それは大丈夫ですよ。」

「それで、本題なのですがこちらを受け取って下さい。」

雪宮先輩が差し出したのは桜色でこの学園の校章である桜をモチーフにしたエンブレムが描かれている封筒。

「これは・・・?」

「招待状です。執行部会へのね。」

執行部会?何だろうその会。

「執行部会!?」

翠が突然凄い反応をした。大声で叫んだせいで教室中の皆がこっちを振り返ったけど。

「翠、知っているの?」

「そりゃあ、知ってるよ!執行部会は不定期開催だけど、開催されたら必ず役員全員が集まるっていう会なんだよ!」

どうしてそんなに嬉しそうに話すのかはわからないけれど、何となく理解は出来たよ。

「そんなに大それたことではないんですけどね。」

雪宮先輩も苦笑している。それにしても、教室の内外が騒がしい。生徒会役員、恐るべし。

「それでは私はこれで。長居してすいません。」

「いえ!大丈夫です!」

「では、放課後迎えに来ますね。」

「え!?いや、それは悪いですよ!」

「藍川さん、男性の好意は?」

「す、素直に甘え・・ます。」

雪宮先輩がいたずらっ子の様な笑みを浮かべた。

「はい。では、そういうことで。」

そういって颯爽と出ていった。何かしてやられた感があるけど、まあいっか。

貰った封筒を見て、そう思ってしまった。



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