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20年の不実

 この文章は私個人の独善的価値観によって綴られています。ご気分を害される表現が含まれている可能性がありますので、閲覧の際は自己責任でお願いします。





 オウム真理教の起こした地下鉄テロ事件から20年の月日が流れた。

 無宗教、無神論者の多い日本で起きた、通勤時間を狙った未曾有のカルト教団によるテロ。世界大戦中にナチスによって開発された猛毒サリンは、時間を超えて遠い日本で13人の命を奪い、6000人強とも言われる負傷者を出した。

 今のようにネットワークが充実していない世の中で、世間から切り離されたと思い込んだ人々が自己肯定のために逃げ込んだオウムと言う教団。自己肯定はやがて排他主義となり、オウム以外は敵だと洗脳された人々は、自分を救ってくれると信じている教祖のために、殺人をも厭わない狂気の集団に成り下がった。

 そこには選民思想が根底にあり、トランス状態における神秘体験やグンダリニー覚醒と言う、所謂、中二病的エッセンスも多数盛り込まれている。神話による天地開闢以来、日本は宗教を必要としてこなかった。それは縋るべき神を必要としてこなかったからだ。日本古来におけるアニミズム信仰はあったが、それは絶望の中で生み出された世界を救う神ではなく、祈りの対象でしかなかった。

 仏教とヒンドゥー教を適当に混ぜ合わせたイカサマ宗教に、有名大学出身者が幾人も騙されたのは、彼等の孤独と狭量な世界観が為さしめたものだと断言せざるを得ない。

 彼岸の墓参りで訪れた自分の家の宗派も解らず、意味も解さぬまま「南無阿弥陀仏」と唱える日本人は騙されて当然だったのかも知れない。

 このイカサマ教祖はノストラダムスの預言書に自分の名前が載っていないか確かめるために、フランスの古典学者を尋ねるほどのクダラナイ男で、載っていない事実を伝えられるとすごすごと帰国したらしい。

 死刑判決が下って10年。未だに洗脳が解かれずにこの男を尊師と敬う人間は多数存在する。

 オウムと言う闇は20年経った今も、日本に存在し続けているのだ。


 無論、宗教や信仰を否定するつもりはない。世界遺産の多くは宗教施設であり、信仰心が人間の文明を開花させて来た事は疑いのない事実だ。哀しい事に、異教徒を排除してよいと経典に謳っている宗教も多く存在するが、宗教は本来、自分を幸せにするものであるべきで、他人を否定するための道具ではない。そう信じたい。


 教団は名を隠して、信者の獲得を今でも行っている。この事件に立ち会っていない多くの若者たちが、耳触りのよい甘言に騙されない事を望む。

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