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エピローグ
橘は新幹線の中でしょんぼりとしていた。
「なんだ、今日はいやに暗いじゃないか」
佐々木は事件のことが書かれた新聞を折りたたんで前席のポケットにしまった。二日酔いの頭痛が残っていた。
「だって彼女、結婚していたんですよ」
佐々木は飲み会の席で橘の面倒をみていた女性警察官の顔を思い出した。
「それはお前、しょうがないだろ」
何かと思えばそんなことかと佐々木は適当に慰めた。
「僕に気があると思ったのになあ」
「もう忘れろ。ほら、これで好きな弁当でも買ってこい」
「え、おごりですか!」
「コーヒーもな」
橘は車内販売を探しに駆けていった。
「まだ、花より団子か」
佐々木は肩を振るわせて笑った。




