トウメイナイト 下
「次は気をつけなさいよね!」
振り返り指を突きつけて念を押して、今度こそ本当に去っていった。
「まったく……アイツはいつもいつも……」
あのセリフももう何度目か、それでもアイツは同じように当番をサボって……また私が怒る……
「はぁ……」
いい加減アイツもちゃんと言うことを聞けばいいのよ。
そうすれば、こうして怒ることもないのに……
それに……
「……」
左手を上に挙げ、手のひらを天井に向けて見ると―――
―――まるでガラスに反射した光のような、薄い透明な糸が薬指に結ばれていた。
物心ついた頃から、この透明な糸は私の手に、指に結ばれていた。
誰かに説明しようにも、透明で見えないし。
取ってしまおうにも、触れることが出来ない。
見えにくいし触れない。全く害は無いんだけど、他の人には無いこれと今の今まで共に過ごしている。
そして、ある一つの答えに行きついた。
この糸の先に……私のナイトがいる。
「うっ……自分で考えてて、ハズカシイ……」
けど、他に思い当たらない。そして、そう望みたい。
これはいわゆる、赤い糸みたいなもの。見えにくい触れない指に巻かれた糸なんて、そうない。
この先に繋がっている人が、私の運命の人……
私の……ナイト。
なのでこれは、赤い糸(透明だけど)。
「でも、どうしても行き着かないのよね……」
指から糸を見ていくと、その透明差が増して、完璧に見えなくなる。
だから相手がどんな人かなんて、分からない……
……って、思ってたんだけど。
「……」
今、歩いてきた方を見る。
……前に、ふと、ほんの出来心で、見てしまった時に。
……見つけて、しまったの。
私の、トウメイナイトを……
ねぇ、アナタは、私のナイトになってくれる?
もちろんだよ、その証をほら、こうして持ってきたんだ
これは…… ?
そうだよ、これで俺とキミを結ぶ
それが繋がっている限り、私達は必ず結ばれる?
そして俺が、キミのナイトになるんだ
二時間前に、投稿した作品の続きとなります。
ただし、こちらを読んでからそちらをご覧になると、見える景色というものも、あります。よろしかったら、そちらもご覧ください。
そしてもし、二時間前から見て下さった方がいらっしゃいましたら、この作品の作り、理解していただければ幸いです。
それでは、